腎臓内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:33

透析にコエンザイムQ10、どう関係する?

 酸化ストレスは、末期腎疾患患者の心血管リスク増大に関連している。酸化ストレスを軽減する治療は、透析患者の心血管イベント発生を改善する可能性がある。そこでコエンザイムQ10(CoQ10)が維持血液透析下の患者の酸化ストレスを抑制するかが検討された。American Journal of Kidney Diseases誌オンライン版2016年12月4日号掲載の報告。

尿路結石治療でのα1遮断薬の効果を検証/BMJ

 α1遮断薬は尿管結石の保存的治療に有効であることを、米国・ミシガン大学のJohn M Hollingsworth氏らがシステマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。α1遮断薬は無作為化試験により結石の自然排出を促すことが示唆され、現行のガイドラインでは、同薬を用いた治療を推奨している。しかし最近、厳格な方法論を用いた大規模試験の結果、その治療効果について疑問が呈されていた。なお今回の検討では、α1遮断薬による保存療法のベネフィットは、結石が大きい患者で最大であることも示唆された。研究グループは、「結果は現行ガイドラインを支持するものであった」とまとめている。BMJ誌2016年12月1日号掲載の報告。

小児/青年ICU患者の急性腎障害、重症度と死亡リスク/NEJM

 小児集中治療室に入院中の重症小児・若年成人において、急性腎障害(AKI)の発症頻度は高く、死亡率増加など予後不良と関連している。米国・シンシナティ小児病院のAhmad Kaddourah氏らによる、国際共同前向き疫学研究(Assessment of Worldwide Acute Kidney Injury, Renal Angina, and Epidemiology:AWARE)の結果、明らかになった。結果を踏まえて著者は、「ICU入室時には急性腎障害の系統的な検査が必要である」と強調している。小児および若年成人におけるAKIの疫学的特徴は、これまで単施設および後ろ向き研究で示されてきたが、AKIの定義や重症度などが異なり一貫した結果は得られていなかった。NEJM誌オンライン版2016年11月18日号掲載の報告。

意外に多い重病小児急性腎障害の発症―尿量チェックが大事―(解説:浦 信行 氏)-619

従来より、種々の疾患で重病の状態にある患者は急性腎障害(AKI)を合併しやすく、これが生命予後を脅かすとの指摘がなされている。重病小児におけるAKIの生命予後に関する研究は2つあり、生命予後予測に関して一定の有用性が示されていたが、単一施設後ろ向き観察研究のみに限られていた。本研究は国際的な大規模前向き疫学研究であり、集中治療室(ICU)での治療を要する重病小児~若年成人の4分の1以上の26.9%がAKIを発症し、11.6%の重症のAKIでは死亡リスクの増加を招くことがNEJM誌に報告された。

糖尿病性腎症の有病率、26年間の変遷/JAMA

 1988~2014年の26年間に、米国の糖尿病の成人患者における糖尿病性腎臓病(diabetic kidney disease:DKD)の有病率には有意な変化はなかったが、アルブミン尿は有意に低下し、推定糸球体濾過量(eGFR)低下は有意に増加したことが、米国・ワシントン大学のMaryam Afkarian氏らの調査で示された。研究の成果は、JAMA誌2016年8月9日号に掲載された。DKDは、糖尿病患者で持続的アルブミン尿、持続的eGFR低下あるいはその双方がみられる場合と定義される。以前は、進行性のアルブミン尿に続いてeGFR低下が発現するとされたが、最近では、アルブミン尿の発現前または発現なしにeGFRが低下する例が多く、人口動態や治療の変化の影響が示唆されている。

敗血症性ショックへのバソプレシンの腎不全改善効果は?/JAMA

 敗血症性ショック患者に対する昇圧薬の1次治療では、バソプレシンの腎不全の改善効果はノルエピネフリンを上回らないことが、英国インペリアル・カレッジ・ロンドンのAnthony C Gordon氏らが実施したVANISH試験で示された。研究の成果は、JAMA誌2016年8月2日号に掲載された。敗血症性ショックには感染症治療に加え輸液および昇圧薬の投与が行われる。米国では昇圧薬の1次治療はノルエピネフリンが推奨されているが、バソプレシンは糸球体濾過量の維持や、クレアチニンクリアランスの改善の効果がより高いことが示唆されている。

EMPA-REG OUTCOME試験のサブ解析:SGLT2阻害薬は糖尿病腎症の進展を抑制する(解説:吉岡 成人 氏)-561

SGLT2阻害薬であるエンパグリフロジンが、心血管イベントの既往がある2型糖尿病患者において心血管死、総死亡を抑止することを示したEMPA-REG OUTCOME試験のサブ解析が第76回米国糖尿病学会で発表され、その詳細がNew Engl J Med誌に掲載された(オンライン版2016年6月14日号)。