内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:239

アトピー検査キットをコロナ重症化判定に適応追加/塩野義

 塩野義製薬は6月7日、アトピー性皮膚炎の重症度を診断する検査キット「HISCL TARC 試薬」について、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)陽性患者の重症化予測の補助を使用目的とする適応追加の承認を同日付で取得したと発表した。COVID-19の発症初期から重症化リスクを判別することで、リスクに応じた最適な措置につなげ、医療体制の逼迫や医療崩壊を回避する一助となることが期待される。現在、保険適用を申請中。  「HISCL TARC試薬」は、2014年にシスメックスと共同開発したTARCを測定する検査キットで、すでにアトピー性皮膚炎の重症度評価の補助を目的とした体外診断用医薬品として使用されている。国立国際医療研究センターによる臨床研究では、COVID-19重症化患者においては、発症初期から血清中のTARC値が低いことが確認されており、1回の測定で患者の重症化を早期に予測できる分子マーカーとしてTARCの有用性が示されているという。

AZ製ワクチン、血小板減少症を伴う血栓症5例の共通点/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するアデノウイルスベクターワクチンChAdOx1 nCoV-19(AstraZeneca製)の接種により、まれではあるが重篤な血栓症が発生する。ノルウェー・オスロ大学病院のNina H. Schultz氏らは、ChAdOx1 nCoV-19初回接種後7~10日に血小板減少症を伴う静脈血栓症を発症した5例について詳細な臨床経過を報告した。著者らは、このような症例を「vaccine-induced immune thrombotic thrombocytopenia(VITT):ワクチン誘発性免疫性血栓性血小板減少症」と呼ぶことを提案している。NEJM誌2021年6月3日号掲載の報告。

2型DMの心血管リスク、スクリーニング普及で変化/Lancet

 糖尿病スクリーニングが広く普及する前に開発された心血管リスク予測式は、スクリーニングで検出された多くの患者の心血管リスクを過大評価することを、ニュージーランド・オークランド大学のRomana Pylypchuk氏らが明らかにした。スクリーニングで発見された最近の糖尿病患者の多くは、腎機能が正常で、血糖降下薬を投与されておらず、心血管リスクは低いことも示された。スクリーニング普及前は、ほとんどの糖尿病患者は糖尿病と診断された時に症候性であり、心血管リスクが高く心血管イベント予防薬を処方すべきと考えられていたが、ニュージーランドで世界初となる全国的な糖尿病スクリーニングが導入されて以降、その受検率は2012年の50%から2016年には90%に増加し、検出される糖尿病患者の多くは無症状で発症早期例が占めるようになったという。著者は、「肥満の増加、スクリーニング検査の簡素化、心血管イベントを予防する新世代の血糖降下薬の導入などにより、糖尿病スクリーニングが増加することは間違いないが、今回の結果は、ほとんどの心血管リスク評価式は現代の糖尿病患者集団において検証し更新する必要があることを強く示唆している」と述べている。Lancet誌オンライン版2021年6月2日号掲載の報告。

モデルナ製ワクチン、現時点でアナフィラキシー・死亡例なし/厚労省

 厚生労働省は6月9日の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会で、5月21日に承認されたモデルナ社のコロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)「COVID-19ワクチンモデルナ筋注」による副反応の報告事例を初めて公表した。それによると、国内での接種が始まった5月22日から30日までの時点で17例の副反応が疑われる症状が報告されていた。いずれも症状の程度は「重くない」と評価され、アナフィラキシーや死亡例は確認されなかった。  公表資料によると、5月22~30日における「COVID-19ワクチンモデルナ筋注」の推定接種者数は、9万241人だった。このうち、49~96歳の男女計17例でワクチン接種による副反応が疑われる症状が医療機関から報告されたという(報告頻度は0.02%)。17例いずれも接種当日に単独もしくは複数の症状が発生しており、皮疹・発疹・紅斑(3例)、血管迷走神経反射、頭痛、浮動性めまい、動悸、そう痒症(各2例)、過敏症、異常感、感覚異常、血圧上昇、悪心・嘔吐、羞明、冷感、咽頭刺激感、口腔咽頭不快感、蕁麻疹(各1例)が報告された。

ファイザー製ワクチン、12~15歳への第III相試験結果/NEJM

 12~15歳の思春期児において、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンBNT162b2(Pfizer-BioNTech製)の安全性プロファイルは良好で、抗体反応は16~25歳よりも上回り、同年代で観察された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン有効率は100%と、高い有効性が示された。米国・シンシナティ小児病院のRobert W. Frenck Jr氏らが、進行中の第III相国際無作為化プラセボ対照試験の結果を報告した。ごく最近まで、新型コロナウイルスワクチンは、16歳未満児への使用は認められていなかった。NEJM誌オンライン版2021年5月27日号掲載の報告。

うつ、不安、気分症状に対するカカオ製品の影響~メタ解析

 チョコレートのようなカカオ由来の製品は、気分や感情などの問題を緩和させることが期待されるが、この効果についてはまだ解明されていない。イタリア・カターニア大学のLaura Fusar-Poli氏らは、カカオ由来製品が抑うつ症状、不安症状、ポジティブ感情、ネガティブ感情に及ぼす影響を調査するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Critical Reviews in Food Science and Nutrition誌オンライン版2021年5月10日号の報告。

アルツハイマー病治療薬aducanumab、FDAが迅速承認/バイオジェン・エーザイ

 国内で承認申請中(2020年12月申請)のaducanumabについて、脳内のアミロイドβプラークを減少させることによりアルツハイマー病(AD)の病理に作用する初めてかつ唯一のAD治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)が迅速承認した。バイオジェンとエーザイが6月8日に発表した。この迅速承認は、臨床的有用性(臨床症状の悪化抑制)の予測可能性が高いバイオマーカーであるアミロイドβプラークの減少に対するaducanumabの効果を実証した臨床試験のデータに基づくもの。なお、今回の迅速承認の要件として、今後検証試験による臨床的有用性の確認が必要とされており、もし、臨床的有用性を確認できなかった場合、承認取り消しの手続きが行われる。

ワクチン接種前の屋内大規模ライブ、抗原検査と予防策で感染者なし

 COVID-19感染拡大を防ぐため、多くの国で屋内での集団イベントが禁止され、経済に大きな影響を与えてきた。2020年年末にスペインで行われた、迅速抗原検査(Ag-RDT)を使った予防策の有効性を評価した試験の結果が、The Lancet Infectious Diseasesオンライン版2021年5月27日号に掲載された。  試験はスペイン・バルセロナのライブ会場で開催され、参加者登録はコンサート当日(2020年12月12日)午前中に行われた(この時点でのスペインのワクチン接種率はほぼ0%:編集部注)。鼻咽腔検体を使ったAg-RDT検査で陰性だった成人1,047例を5時間のイベントに参加する群と、帰宅して通常生活に戻る群に無作為に割り付け(年齢・性別で層別して無作為化)、イベント参加群465例、対照群495例を最終解析の対象とした。

コロナワクチン後の抗体価、上がりやすい因子と上がりにくい因子/千葉大

 千葉大学病院は6月3日、ファイザー社の新型コロナワクチンを2回接種した同病院の職員1,774人の抗体価を調べたところ、ほぼ全員で抗体価の上昇が見られ、同ワクチンの有効性が確認されたと発表した。千葉大によると、ワクチンへの抗体反応を調べる研究としては現時点で最大規模と見られるという。  本研究は、千葉大学医学部附属病院と千葉大学医学研究院が連携して設置した「コロナワクチンセンター」で実施された。ファイザー社の新型コロナワクチン「コミナティ筋注」を接種した同院職員を対象とし、1回目接種前および2回目接種後に各々採取した血液から抗体価を測定した。

片頭痛患者の頭痛日数が不安やうつに及ぼす影響

 片頭痛のマネジメントを行ううえで、高度な障害を有する患者または精神医学的併存疾患リスクの高い患者を特定することは重要である。片頭痛による苦痛は、頭痛の頻度と共に増加するが、1ヵ月当たりの頭痛日数がどの程度になると、障害の重症度が高まるのか、不安や抑うつ症状のリスクが上昇するのかは、よくわかっていない。スペイン・Clinica Universidad de NavarraのP. Irimia氏らは、片頭痛患者における不安や抑うつ症状、障害重症度、QOL低下などのリスクに影響を及ぼす1ヵ月当たりの頭痛日数を推定するため、検討を行った。Scientific Reports誌2021年4月15日号の報告。  片頭痛患者468例(平均年齢:36.8±10.7歳、女性の割合:90.2%)を対象に分析を行った。対象患者のうち、1ヵ月当たりの頭痛日数が15日以上であった患者の割合は、38.5%であった。