内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:147

骨を強くする効果が見込めるチーズとは?

 ヤールスバーグチーズのスライスを毎日2枚ほど食べるだけで、骨粗鬆症を予防できる可能性のあることが、ノルウェーの小規模研究で示唆された。研究を実施したスケッテン医療センター(ノルウェー)のHelge Einar Lundberg氏らは、「こうした骨に対するチーズの効果はヤールスバーグチーズのみで得られ、1日当たり57gの摂取で骨の健康を守るには十分と思われる」と報告した。この研究結果は、「BMJ Nutrition, Prevention & Health」に8月2日発表された。  ヤールスバーグチーズとは、ノルウェー東部のヤールスバーグ産の牛乳から作られた、マイルドなセミソフトチーズのこと。Lundberg氏によると、ヤールスバーグチーズとカマンベールチーズは含有する脂肪分やタンパク質が似ているが、ヤールスバーグチーズは、メナキノン(MK)とも呼ばれるビタミンK2を豊富に含む点がカマンベールチーズとは異なる。中でも、ヤールスバーグチーズに含まれる特定の細菌種が産生する長鎖MK-9とMK-9(4H)が豊富だという。MK-9(4H)を産生する細菌は、1, 4-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸(DHNA)と呼ばれる物質も産生する。DHNAは複数の研究で、骨がもろくなるのを防ぐとともに、骨形成における中心的な役割を担うタンパク質(オステオカルシン)の増加をもたらすことが示されている。

国内での3回接種によるBA.5への有効性など追加、コロナワクチンに関する提言(第5版)修正版/日本感染症学会

 日本感染症学会(理事長:四柳 宏氏[東京大学医科学研究所附属病院長])は、8月30日に同学会のホームページで「COVID-19ワクチンに関する提言」の第5版を一部変更・加筆した第5版修正版を公開した。  今回の修正版では、わが国におけるBA.5に対する3回目接種の有効性や5~11歳へのワクチンの有効性の情報を追加したほか、現時点の知見を追加している。 【1. わが国で承認されているCOVID-19ワクチン】 ・5~11歳への接種にも努力義務を課すことが決定され、臨時接種対象者すべてに努力義務が課されることになった。 ・COVID-19ワクチンは他のワクチンと13日以上の間隔をあけて接種することとされていたが、インフルエンザワクチンに関しては接種間隔に関する制約がなくなり、同時接種も可能となった。

乳幼児の新型コロナ感染、約4割が無症状

 学校や保育所において小児の新型コロナの集団感染が多発しているが、小児は感染しても無症状であることが多く、感染防止には症状のスクリーニングでは不十分であることがわかったという。ジョンズ・ホプキンズ・ブルームバーグ公衆衛生大学院のRuth A Karron氏らによる本研究は、JAMA Network Open誌2022年8月31日号に掲載された。  この前向きコホート研究では、2020年11月24日~2021年10月15日に、0~4歳の子供が1人以上いるメリーランド州の175世帯の690人に対して調査を実施した。登録から8ヵ月間、参加者は毎週症状に関するアンケートに回答し、PCR検査によってSARS-CoV-2感染の有無を確認した。

エバシェルドの追加など、コロナ薬物治療の考え方14版/日本感染症学会

 日本感染症学会(理事長:四柳 宏氏)は、8月30日に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬について指針として「COVID-19に対する薬物治療の考え方第14版」をまとめ、同会のホームページで公開した。  今回の改訂では、チキサゲビマブ/シルガビマブ(商品名:エバシェルド)の追加のほか、治療薬の削除など整理も行われたほか、最新の知見への内容更新が行われた。

HEPAフィルター空気清浄機により新型コロナウイルス除去に成功/東大

 東京大学医科学研究所と国立国際医療研究センターは、8月23日付のプレスリリースで、河岡 義裕氏らの研究により、HEPAフィルターを搭載した空気清浄機を用いることで、エアロゾル中に存在する感染性の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を経時的に除去できることが実証されたことを発表した。なお本結果は、mSphere誌オンライン版8月10日号に掲載された。  本研究は、東京大学と進和テックの共同で行われた。本研究に用いられたHEPA(high-efficiency particulate air)フィルターは、米国環境科学技術研究所の規格(IEST-RP-CC001)で、0.3μmの試験粒子を99.97%以上捕集可能なフィルターとして定義されている。HEPAフィルターのろ過効果を検証するため、コンプレッサーネブライザーでSARS-CoV-2エアロゾルを試験チャンバー内に噴霧して満たした後、HEPAフィルター搭載の空気清浄機を毎時12回換気の風量で5分間、10分間、35.5分間稼働させた。所定の稼働時間後、チャンバー内のSARS-CoV-2エアロゾルをエアサンプラーで採取し、プラークアッセイを用いて、サンプル中の感染性ウイルス力価を測定した。さらに、1価の銅化合物を主成分とし、活性酸素を発生させてフィルター面に付着したウイルスを不活性化することができる抗ウイルス剤のCufitec(R)を塗布したHEPAフィルターを用いた場合でも、同様の条件で感染性ウイルス力価を測定した。

浴槽入浴が糖尿病患者の治療を後押し?

 湯に漬かる入浴(浴槽入浴)の頻度が高い糖尿病患者は、血糖コントロールの指標であるHbA1cが良好であるというデータが報告された。国立国際医療研究センター国府台病院糖尿病・内分泌代謝内科の勝山修行氏らの研究によるもので、詳細は「Cardiology Research」6月発行号に掲載された。HbA1c以外に体格指数(BMI)や拡張期血圧も、浴槽入浴の頻度が高い患者の方が良好だという。  サウナや浴槽入浴の頻度が、心血管イベント発生率と逆相関することが既に報告されている。ただし、これまでに国内で行われた研究は解析対象者数が少なく、また、心血管イベントの既知のリスク因子を網羅的に解析した研究は見られない。勝山氏らは、同院の外来糖尿病患者約1,300人を対象とする横断研究を実施し、この点を検討した。  2018年10月~2019年3月に同院を受診し、入浴の習慣に関するアンケートに回答した糖尿病患者のうち、2型以外の糖尿病、および必要なデータが欠落している患者を除外して、1,297人を解析対象とした。解析対象者の主な特徴は、平均年齢66.9±13.6歳、男性55%、BMI25.9±5.3、HbA1c7.17±1.14%で、冠動脈疾患の既往者が6.6%、脳卒中の既往者が5.5%含まれていた。また、99.9%は自宅に浴槽付きの風呂を有していた。なお、季節による入浴頻度への影響を抑えるため、アンケート実施期間を冬季に限定した。

人工関節置換術後のVTE予防、アスピリンvs.エノキサパリン/JAMA

 股関節または膝関節の変形性関節症で人工関節置換術を受けた患者における静脈血栓塞栓症(VTE)の予防では、アスピリンはエノキサパリンと比較して、90日以内の症候性VTEの発現率が統計学的に有意に高く、死亡や大出血、再入院、再手術の頻度には差がないことが、オーストラリア・インガム応用医学研究所のVerinder S. Sidhu氏らが実施した「CRISTAL試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌2022年8月23日号に掲載された。  CRISTAL試験は、人工股関節置換術(THA)および人工膝関節置換術(TKA)に伴うVTEの予防における、アスピリンのエノキサパリン(低分子量ヘパリン)に対する非劣性の検証を目的とするレジストリ内クラスター無作為化クロスオーバー試験であり、2019年4月~2020年12月の期間に、オーストラリアの31の病院で参加者の登録が行われた(オーストラリア連邦政府の助成を受けた)。

インフルエンザと新型コロナ:動脈血栓の視点ではどっちが怖い?(解説:後藤信哉氏)

新型コロナウイルス感染症の特徴として、深部静脈血栓症・肺塞栓症などの静脈血栓症リスクの増加が注目された。静脈血栓症リスクは、新型コロナウイルス以外の感染症でもICU入院例では高かった。インフルエンザなど他のウイルス感染と比較して、新型コロナウイルスにはACE-2受容体を介して血管内皮細胞に感染するとの特徴があった。血管内皮細胞は血管内の血栓予防にて死活的に重要な役割を演じている。新型コロナウイルス感染により血管内皮細胞の機能が障害されれば、微小循環の過程にて血小板、白血球が活性化し全身循環する血液の血栓性は亢進する。静脈血栓症以外に、心筋梗塞・脳梗塞などの動脈血栓リスクも新型コロナウイルス感染後に増加すると想定された。また、新型コロナウイルス感染症例の心筋梗塞、脳梗塞リスクの増加を示唆する論文も多数出版されている。

世界初の高血圧治療補助アプリが保険適用/CureApp

 CureAppの開発した治療アプリ「CureApp HT 高血圧治療補助アプリ」が2022年9月1日に保険適用された。高血圧領域での治療アプリの保険適用は世界初。保険診療において、治療アプリ・血圧測定・医師の指導による「三位一体の6ヵ月指導プログラム」の処方・提供が可能となり、患者ごとに行動変容を促して生活習慣を修正することが期待されている。  本アプリを用いた治療の流れは、まず医師が診察においてアプリ利用の合意を得て処方コードを発行し、患者がアプリをインストール・セットアップすることから始まる。通院と通院の間は行動目標の実践や家庭血圧などの記録をアプリがサポートし、医師はその記録情報をもとに治療の継続や見直しを行う。アプリと血圧計はBluetooth接続され、情報が医師と共有される。  患者の自己負担額は、3割負担の場合で月々2,490円(初回のみ2,910円)で、初診・再診料などの他の診察費用は別途必要となる。

サル痘患者に遭遇する前に…押さえておきたい鑑別方法とワクチン接種の注意点

 国内でも症例がじわじわと増えているサル痘。皮膚病変だけではなく、扁桃炎や口腔病変が報告され、ペットからの感染リスクも出てきているというから、医療者はいつ自分が感染者対応に追われるかわからない。そんな時のためにもサル痘やそのワクチンの知識を蓄えておく必要がありそうだ。8月2日にはKMバイオロジク社の天然痘(痘そう)ワクチンLC16「KMB」にサル痘の効能追加が承認され、順次、感染リスクの高い医療者への接種が見込まれる。しかしこのワクチン、添付文書の用法・用量を見てみると“二叉針を用いた多刺法により皮膚に接種”となかなか特徴的である。