感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:79

5~11歳の新型コロナ重症度、インフルやRSウイルスと比較すると?

 新型コロナワクチン接種の対象が5~11歳に拡大されたが、この年代の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症度は、同年代のインフルエンザやRSウイルス感染症と比較すると高いのか、低いのか。米国医療研究品質局(AHRQ)のWilliam Encinosa氏らは、米国の11州での入院患者データを用いて分析した横断研究の結果を、JAMA Pediatrics誌オンライン版2022年2月21日号リサーチレターに報告した。  米国で5~11歳に対するファイザー社の新型コロナワクチンの緊急使用許可が出された2021年10月までに、この年齢層の小児でSARS-CoV-2感染と診断されたのは180万人、死亡者は143人で、入院は8,000人以上だった。本研究では米国内の11州1,333病院における、2021年第1四半期(1~3月)のCOVID-19、COVID-19による小児多系統炎症性症候群(MIS-C)、インフルエンザ、RSウイルス感染症による入院患者データを調査。COVID-19流行期には感染者が少なかったため、インフルエンザとRSウイルスについては10年間の平均的な感染者数であった2017年第1四半期のデータも用いられた。

オミクロン株、既感染者における再感染予防効果は?/NEJM

 SARS-CoV-2の既感染は、これまでアルファ株、ベータ株、デルタ株に対し、高い再感染予防効果を示すことがわかっているが、オミクロン株は従来株よりも免疫を回避することも明らかになっている。既感染による予防の有効性を変異株別に推定した研究が、NEJM誌オンライン版2022年2月9日号のCORRESPONDENCEに掲載された。  カタールで行われたこのケースコントロール研究は、全国のSARS-CoV-2データベースからCOVID-19の検査結果、ワクチン接種、臨床感染データ、関連する人口動態に関するデータを抽出した。このデータベースにはこれまでカタールで行われた全PCR検査結果、ワクチン接種、入院および死亡例が含まれた。

コロナワクチンの効果低下、変異だけが理由ではない/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンを接種した成人では、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のデルタ変異株(B.1.617.2)が優勢となった時期には、ワクチンの感染防御効果が低下しており、変異株別の感染防御効果の違いとは別個に、mRNAワクチンの有効率は経時的に減少する可能性があることが、米国疾病予防管理センターのAmadea Britton氏らの調査で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2022年2月14日号に掲載された。  本研究は、デルタ変異株が優勢となる以前の時期(前デルタ期:2021年3月13日~5月29日)と、その後の優勢となった時期(デルタ優勢期:2021年7月18日~10月17日)で、症候性SARS-CoV-2感染症とワクチン接種以降の日数の関連の評価を目的とする、test-negativeデザインを用いた症例対照研究である(米国疾病予防管理センターの助成を受けた)。

新型コロナ感染、1年間の精神疾患リスクは?/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者は、同時期のSARS-CoV-2非感染者および歴史的対照者と比較して、さまざまな精神疾患(不安障害、うつ病性障害、ストレスおよび適応障害、オピオイド使用障害、オピオイド以外の物質使用障害、神経認知機能低下、睡眠障害など)のリスクが高いことが、米国・VAセントルイス・ヘルスケアシステムのYan Xie氏らによるコホート研究で明らかとなった。著者は、「COVID-19生存者のメンタルヘルス障害に対する取り組みは優先課題である」とまとめている。BMJ誌2022年2月16日号掲載の報告。  研究グループは、米国退役軍人省のデータを用い、2020年3月1日~2021年1月15日の間に少なくとも1回、SARS-CoV-2のPCR検査が陽性であった人(16万9,240例)を特定し、このうち陽性確認から30日後に生存していた人(COVID-19群15万3,848例)の転帰を調べ(追跡期間終了日:2021年11月30日)、精神疾患の発症リスクを2つの対照群と比較した。対照群は、COVID-19群と同時期にSARS-CoV-2の感染が確認されていない同時期対照群(563万7,840例)と、COVID-19流行以前の歴史的対照群(585万9,251例)である。  COVID-19と精神疾患発症との関連は、事前に定義した共変量およびアルゴリズムで選択された高次の共変量の両方に関して調整した逆確率重み付け法により、追跡期間中のハザード比(HR)と、各群における1年推定発生率の差に基づく1,000人当たりの1年間の補正後リスク差ならびにその95%信頼区間(CI)を算出した。

コロナ重症化リスクを低減、パキロビッドパック第II/III相試験結果/NEJM

 重症化リスクがあるワクチン未接種の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)成人患者に対し、ニルマトレルビル+リトナビル(商品名:パキロビッドパック)はプラセボと比較し、入院または死亡のリスクを約89%低下させ、安全性に明らかな懸念は認められなかった。米国・ファイザー社のJennifer Hammond氏らが、国際共同第II/III相プラセボ対照無作為化二重盲検試験「EPIC-HR試験」の結果を報告した。ニルマトレルビルは、経口投与可能なSARS-CoV-2のメインプロテアーゼ(Mpro)阻害剤で、in vitroにおいて幅広い種類のコロナウイルスに対し強力なMpro阻害活性およびウイルス複製阻害作用を示し、マウスモデルにおいて経口投与により肺のSARS-CoV-2力価がプラセボに比べ有意に低下することが示されていた。NEJM誌オンライン版2022年2月16日号掲載の報告。

妊娠中のコロナワクチン2回接種、乳児の入院61%予防効果/CDC

 母親が妊娠中にCOVID-19ワクチンを2回接種することで、生後6ヵ月未満の乳児の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染による入院を61%予防する効果があることが、米国の研究チームの調査で明らかになった。研究結果は、米疾病対策センター(CDC)のMorbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)2022年2月15日号に掲載。  これは米国の研究チームOvercoming COVID-19が、2021年7月1日~22年1月17日、米国17州20の小児病院において実施したケースコントロール研究である。生後6ヵ月未満の入院乳児379例が対象で、このうちCOVID-19による入院が176例(症例群)で、COVID-19以外による入院が203例(対照群)だった。乳児の母親は、妊娠中にファイザー製またはモデルナ製のコロナワクチンを2回接種完了と、未接種の2グループに分類。症例群で母親がワクチンを接種していたのは16%(28/176例)だったのに対し、対照群で母親がワクチンを接種していたのは32%(65/203例)だった。

COVID-19入院患者へのロナプリーブ、血清抗体の有無で有効性に差/Lancet

 COVID-19入院患者において、カシリビマブ・イムデビマブ(商品名:ロナプリーブ)の抗体カクテル療法は、血清陰性患者(液性免疫反応が起きていなかった患者)の28日死亡率を低下させたが、血清陽性患者の28日死亡率は低下しなかった。無作為化非盲検対照プラットフォーム試験「RECOVERY試験」の結果を、英国・オックスフォード大学のPeter W. Horby氏らRECOVERY試験共同研究グループが報告した。カシリビマブ・イムデビマブは、SARS-CoV-2スパイクタンパク質の受容体結合ドメイン上にあるそれぞれ異なる部位に非結合的に結合することにより、SARS-CoV-2の宿主細胞への侵入を阻害するモノクローナル抗体で、COVID-19外来患者における有効性が報告されていた。Lancet誌2022年2月12日号掲載の報告。

国内オミクロン株感染者139例の臨床的特徴/感染研

 国立感染症研究所は、国内におけるオミクロン株の疫学的・臨床的特徴を迅速に把握することを目的として、検疫および国内にて初期に探知されたオミクロン株症例について、積極的疫学調査を行った。18日、第5報として収集されたすべての結果が報告された。 【対象症例】  2021年11月29日~2022年1月12日までに本調査の協力医療機関に入院し診療を行った新型コロナウイルス感染者の中から、ゲノム解析によりオミクロン株感染が確定した139例。 【調査方法】  退院後に調査票を用いて、基本情報、渡航情報、ワクチン接種歴、基礎疾患、入院時のバイタルサイン・臨床症状、入院期間中に観察された臨床症状、合併症、入院中の治療、入院経過・退院時転帰などの情報を収集し、疫学的記述を行った。

LINEチャットボットでコロナの隔離期間を自動計算

 新型コロナワクチンに関する情報提供を行う医師らが組織する「一般社団法人コロワくんサポーターズ」は提供するLINEボットサービス(関連記事:副反応は大丈夫?新型コロナワクチンの疑問に答えるLINEボット)の新機能として「コロナ待機期間 自動計算システム」を追加した。  これまでワクチン接種の対象者や副反応の不安に対し、チャットボット機能を使った情報提供をしてきたが、今回の新機能は「コロナ陽性者・濃厚接触者」「症状あり・なし」「陽性判定日」等の情報を入れることで隔離解除日を自動計算して教えてくれる。利用はLINE上で「コロワくんの相談室」を検索して友達追加するだけ、と簡便だ。

コロナ感染での獲得免疫、ワクチン接種で1年以上持続/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンのSARS-CoV-2感染予防効果について、英国・Health Security AgencyのVictoria Hall氏らが、医療従事者約3万6,000例を対象に行った前向きコホート試験の結果、BNT162b2(Pfizer-BioNTech製)の2回接種の有効率はChAdOx1 nCoV-19(AstraZeneca製)と比べて高率だが短期間であり、6ヵ月を過ぎると大きく低下することが示された。また、感染者の獲得免疫は、感染後1年で減衰するものの、ワクチン接種によって1年以上高率のままであることも示された。NEJM誌オンライン版2022年2月16日号掲載の報告。  SARS-CoV-2への感染とワクチン接種による免疫獲得と感染予防の期間と有効性を明らかにするため、研究グループは、英国内でルーチンのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査を受けていた医療従事者3万5,768例を対象に前向きコホート試験を行った。  ワクチン初回接種から10ヵ月以内のワクチン有効性と、既感染による獲得免疫について、感染確定者のワクチン接種の有無別、また既感染で階層化することで評価した。  既感染の有無、ワクチンの種類と接種間隔、人口統計学的特性、および職場におけるSARS-CoV-2曝露で補正を行ったCox回帰モデルを用いて評価した。