感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:65

ノババックスワクチンに心筋炎・心膜炎の注意喚起/使用上の注意改訂指示

 厚生労働省は7月8日、新型コロナウイルスに対するノババックス製新型コロナウイルスワクチン「組換えコロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン」(商品名:ヌバキソビッド筋注)について、使用上の注意に「重要な基本的注意」の項目を新設し、心筋炎・心膜炎に関して追記するよう改訂指示を発出した。  今回の改訂指示は、第81回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和4年度第6回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)(2022年7月8日開催)における審議結果などを踏まえたものとなる。

モデルナ2価ワクチン候補、BA.4およびBA.5に強力な中和抗体反応示す

 2022年6月22日、Moderna(米国)はオミクロン株に対する2価追加接種ワクチン候補mRNA-1273.214が第II/III相臨床試験において、すべての被験者でオミクロン株亜種BA.4およびBA.5に対する強力な中和抗体反応を示したことを発表した。  今回公表されたのは、初回接種ならびに1回追加接種が行われた被験者にmRNA-1273.214を50μg追加接種したデータである。発表された主な結果は以下のとおり。

新型コロナ、2m超でも感染した事例のリスク因子/BMJ

 英国・UK Health Security AgencyのDaphne Duval氏らは、システマティック・レビューの結果、レストラン、公共交通機関、職場、合唱会場といった屋内環境において2m以上離れていても新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染(airborne transmission)が生じる可能性があり、感染に寄与する可能性がある要因として不十分な換気が特定されたことを報告した。SARS-CoV-2感染リスクは、感染者に近接したとき(2m未満)に最も高くなる傾向があり、スーパースプレッダーでは2m超でも感染する可能性が示唆されていたが、詳しいことは不明であった。著者は、「今回の結果は、屋内環境での感染予防対策、とくに十分な換気の必要性を強調するものである」とまとめている。BMJ誌2022年6月29日号掲載の報告。

新型コロナウイルス感染症は妊婦で重症化しやすく、早産と帝王切開のリスクを上げる(解説:前田裕斗氏)

新型コロナウイルス感染症と妊婦の関係性について、これまで(1)一般女性と比較して妊娠中にとくに罹患しやすいということはない(2)罹患した場合は一般女性よりも重症化しやすい(3)罹患した場合、妊娠合併症(帝王切開や早産など)が増えるなどの可能性が報告されている。なお、上記は母体についての影響の話であり新生児については記載していない。このうち、(2)と(3)については複数の中小規模の研究があるものの、研究組み入れ基準が症状ではなく入院時PCR陽性が条件である、同時期のコホートを比較対象とした研究は少なかった。今回の研究では、同時期の妊娠していない新型コロナウイルス感染者と比べた感染妊婦の重症化リスク、および感染妊婦の中でも重症化しやすい要因、そして非感染妊婦と比較して妊娠合併症が増えるかどうかについて検討している。

感染に伴う発熱などの症状を引き起こすニューロンを特定

 脳内の特定の領域が、ウイルスや細菌の感染に伴う発熱や悪寒、疲労、食欲不振といった症状を引き起こしている可能性が、米ハーバード大学のJessica Osterhout氏らによるマウスを用いた研究で示唆された。研究グループは、「高熱や、食べ物や飲み物を十分に摂取できないなどの症状が患者にリスクをもたらす場合に、こうした症状が生じるプロセスを逆転させる方法を解明することにもつながる研究結果」としている。研究の詳細は、「Nature」に6月8日発表された。  人間が病気になったときには、脳が免疫システムから受け取った情報に反応して症状を引き起こすことは、すでに明らかにされていた。しかし、脳内のどこで、どのようにそれを引き起こすのかについては謎のままだった。

ヘルペスウイルスが2型糖尿病のリスクを高める?

 性器ヘルペスウイルスを含む、ごく一般的なウイルスの感染が、2型糖尿病のリスクを押し上げる可能性を示す研究結果が報告された。ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘン(ドイツ)のAnnette Peters氏らの研究によるもので、詳細は「Diabetologia」に5月11日掲載された。  2型糖尿病の高い有病率の背景には、高齢者人口の増大と肥満の二つが主要因子として挙げられる。これに加えて新たな研究では、二つのヘルペスウイルス(単純ヘルペス2型とサイトメガロウイルス)が、2型糖尿病のリスクを高める可能性があることを示している。単純ヘルペス2型(HSV-2)は性器ヘルペスを引き起こす。一方、サイトメガロウイルス(CMV)は感染しても通常、症状が現れない。ただし、新生児や免疫能が著しく低下している人には、深刻な感染症を引き起こすことがある。感染症を発症しない場合でも、ウイルスは体内にとどまり休眠状態で維持される。

オミクロン株流行中の5~11歳へのワクチン接種、実際の有効性は?/NEJM

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)オミクロン変異株流行中における、5~11歳へのmRNAワクチンBNT162b2(ファイザー製)の2回接種は、SARS-CoV-2感染および症候性新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対し中程度の保護効果を示したことが、イスラエル・Clalit Research InstituteのChandra J. Cohen-Stavi氏らによる検討で示された。これまでオミクロン変異株流行中の5~11歳への、BNT162b2ワクチンのリアルワールドでの有効性に関するエビデンスは限定的だった。NEJM誌オンライン版2022年6月29日号掲載の報告。

オミクロン株時代の未成年者に対するRNAワクチン接種法とは?(解説:山口佳寿博氏/田中希宇人氏)

本論評の主たる対象論文として取り上げたのはFleming-Dutraらの報告で、未成年者(5~17歳)を対象としてBNT162b2(Pfizer社)のオミクロン株に対する感染/発症予防効果を調査したものである。未成年者の分類は国際的に統一されたものはなく、本論評では各製薬会社の分類に準拠し、生後6ヵ月以上~4歳(Pfizer社)あるいは6ヵ月以上~5歳(Moderna社)を幼児、5~11歳(Pfizer社)あるいは6~11歳(Moderna社)を小児、12~17歳(Pfizer社、Moderna社)を青少年と定義する。本論評では、ワクチン接種の最先端国である米国と本邦の現状を比較し、本邦において未成年者のワクチン接種として今後いかなる方法を導入すべきかについて考察する。

新型コロナ感染リスクに影響を及ぼす意外な因子とは

 新型コロナウイルスの感染に影響する可能性のある因子について、新たな研究で意外な結果が報告された。この研究では、食物アレルギーは感染リスクの低下と関連するが、喘息と感染リスクは関連しないことが示された。一方、肥満およびBMIの高さは感染リスクを上昇させることも明らかにされた。さらに、13歳未満の小児の感染リスクは13歳以上のティーンや成人と同等だが、小児の感染の4分の3は無症候性であり、小児のいる世帯では家庭内の感染率が高いことも確認された。米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)の支援を受けて、米National Jewish HealthのMax A. Seibold氏らが実施したこの研究結果は、「The Journal of Allergy and Clinical Immunology」に5月31日掲載された。

マスタープロトコルという研究プログラムの事前登録のあり方(解説:折笠秀樹氏)

マスタープロトコルという研究プログラムが、ここ5年くらいで多くみられるようになりました。最初はがん治療においてでした。がん種ごとに治療薬の比較試験を行うのではなく、分子標的マーカーが陽性か陰性かによって、がん種にこだわらず比較試験が行われました。疾患に対して比較試験を行うという従来方式ではなく、バイオマーカー陽性に対して比較試験を行う方式です。そこでは疾患は何でもよいわけです。これがバスケットデザインと呼ばれるマスタープロトコルです。NCI-MATCHの例が挙がっています。一方、がん種は1つに固定し、その中で数種類のバイオマーカーを取り上げ、バイオマーカーごとに比較試験を組む形の臨床試験です。これをアンブレラデザインと呼んでいます。どのマーカーに反応する治療薬が効果を発揮するかわからないので、どちらかというと探索的目的が強いと思われます。ALCHEMISTの例が挙がっています。