感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:18

犬は新型コロナウイルスのにおいをかぎ分けられる

 犬は、医療機関でのRT-PCR検査や自宅で行う抗原検査などの現代のテクノロジーよりも迅速で的確、かつ安価に新型コロナウイルス感染を検出し得ることが、過去2年ほどの間に犬による新型コロナウイルス検出に関して相次いで報告された研究論文のレビューで明らかにされた。米カリフォルニア大学サンタバーバラ校地理学名誉教授のTommy Dickey氏と米BioScent社のHeather Junqueira氏によるこの研究の詳細は、「Journal of Osteopathic Medicine」に7月17日掲載された。  Dickey氏らは、2019年12月から2023年4月の間に発表された、新型コロナウイルスのにおいをかぎ分ける訓練を受けた犬に関する29本の査読済み論文を体系的に収集して、その有用性や安全性、実用性に関する評価を行った。対象論文では、32カ国の400人以上の科学者が、147頭の犬の嗅覚による新型コロナウイルスの検出能力を、3万1,000点以上のにおいのサンプルや直接人間のにおいをかがせることで検討していた。なお、Dickey氏らは、2021年8月にも同じテーマでレビューを実施したが、その際の対象論文はわずか4本であったという。

モデルナのXBB.1.5対応コロナワクチン、追加免疫として承認/厚労省

 厚生労働省は9月12日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のオミクロン株対応ワクチンの一部変更について承認したことを発表した。今回の承認で、モデルナの「スパイクバックス筋注」にオミクロン株XBB.1.5系統のスパイクタンパク質をコードするmRNAを含む1価ワクチンが追加された。2023年7月7日に製造販売承認事項一部変更申請されていたもので、9月20日以降の秋開始接種に使用される。本ワクチンは、世界で急速に拡大し新たな懸念となっているEG.5(エリス)やFL 1.5.1、BA.2.86(ピロラ)といった変異に対しても強固なヒト免疫応答を示している。

高齢COVID-19患者の退院後の死亡および再入院のリスク(解説:小金丸博氏)

今回、65歳以上の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の退院後の長期にわたる転帰を調査した米国の後ろ向きコホート研究の結果が、BMJ誌2023年8月9日号に報告された。高齢者におけるCOVID-19の急性期症状や短期的な転帰についてはよく研究されているが、長期的な転帰については十分判明していなかった。本研究ではインフルエンザの退院患者を対照群として選択し比較した。その結果、COVID-19患者の退院後の全死因死亡リスクは30日時点で10.9%、90日時点で15.5%、180日時点で19.1%であり、インフルエンザ患者と比較して高率だった。再入院のリスクは30日時点で16.0%、90日時点で24.1%でありインフルエンザ患者より高率だったが、180日時点では30.6%で同等だった。再入院は心肺機能の問題で入院することが多く、再入院時の初期診断としては敗血症(セプシス)、心不全、肺炎の順に多く認めた。

コロナ後遺症2年追跡、入院例は依然死亡リスク高い

 コロナ罹患後症状(コロナ後遺症、long COVID)に関するエビデンスは、これまでそのほとんどが感染後1年内のものだった。感染流行から時間が経過し、2年間の追跡データが発表された。米国・VAセントルイス・ヘルスケアシステムのBenjamin Bowe氏らによる本研究は、Nature Medicine誌オンライン版2023年8月21日号に掲載された。  研究者らは米国退役軍人データベースから13万8,818例の感染群と598万5,227例の非感染の対照群からなるコホートを2年間追跡し、死亡と事前に規定した80の急性期後遺症のリスクを推定した。感染群は、急性期における入院の有無でさらに分析した。

モデルナXBB対応コロナワクチン、BA.2.86「ピロラ」にも有効

 米国・Moderna社は9月6日付のプレスリリースにて、同社のXBB対応の新型コロナワクチンが、高度な変異のある新たな変異株のBA.2.86(通称:ピロラ)に対して、中和抗体をヒトで8.7倍増加させることを、同社の臨床試験データで確認したことを発表した。米国疾病予防管理センター(CDC)によると、BA.2.86は、新型コロナワクチンを以前接種した人でも感染する可能性があり、新たなXBB対応ワクチンは重症化や入院を減らすのに有効な可能性があるという。

コロナワクチン、同じ腕に接種vs.違う腕に接種

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症ワクチン「BNT162b2」の2回接種レジメンでは上腕の三角筋に順次投与されるが、2回目の投与を同側の腕に行うか反対側の腕に行うかによる免疫学的影響については、これまでほとんど注意が払われてこなかった。ドイツ・ザールラント大学のLaura Ziegler氏らは、どちらの腕に投与するかがワクチンによって誘導される液性免疫および細胞性免疫に異なる影響を及ぼすかどうかを検討した観察研究の結果を、eBioMedicine誌2023年7月31日号に報告した。

プロスポーツチームを誘致した都市でインフルエンザによる死亡者数が増加

 プロスポーツチームを新たに誘致した都市では、インフルエンザによる死亡者数が急増するという研究結果が報告された。米ウェストバージニア大学ジョン・チェンバース・カレッジ・オブ・ビジネス&エコノミクスのBrad Humphreys氏らによる研究で、詳細は「Sports Economics Review」に6月8日掲載された。  新しい都市にプロスポーツチームを誘致する際には、多額の税金が投入されることが多い。研究グループによると、2000年以降、米国の州政府や地方自治体は、新しいスタジアムの建設に200億ドル(1ドル143円換算で約2兆8600億円)近く、年間にするとおよそ10億ドル(同約1430億円)を投じてきた。これらの投資は、主に政府が債券を発行して調達した補助金で賄われている。

中国のゼロコロナ政策終了直後、超過死亡が急増か

 中国では、コロナパンデミックの開始から厳格なゼロコロナ政策によって罹患率と死亡率は低く抑えられていた。しかし、2022年12月のゼロコロナ政策の解除により、以降2ヵ月間、中国全土の30歳以上において推定187万人の超過死亡が発生したことが、米国・シアトルのFred Hutchinson Cancer Research CenterのHong Xiao氏らの研究チームによる調査で確認された。JAMA Network Open誌2023年8月25日号掲載の報告。  本調査では、北京市の北京大学と精華大学、黒竜江省のハルビン工業大学の2016年1月1日~2023年1月31日までの職員の公開された訃報記事データが用いられた。訃報記事は、年齢、性別、役職、雇用形態(現職、退職)に関係なく、死亡したすべての職員が含まれ、掲載のプロセスはCOVID-19の流行前も流行中も一貫して行われていた。本データから30歳以上の死亡率の相対的変化を推定した。前COVID-19期(2016年1月~2019年12月)、ゼロコロナ政策期(2020年1月~2022年11月)、ポスト・ゼロコロナ政策期(2022年12月~2023年1月)の3つの期間に分け、負の二項回帰モデルを使用した。また、中国のインターネット検索エンジンBaiduにて、総検索量に対する死に関連するワード(葬儀社、火葬、埋葬など)の検索の頻度(Baidu指数:BI)の相対的変化も推計し、大学における30歳以上の死亡率との相関関係も分析した。さらに、これらの数値を基に、中国のその他の地域における超過死亡率を算出した。

第一三共のコロナワクチン、XBB.1.5対応を一変承認申請、2価は第III相で主要評価項目達成

 第一三共は9月6日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する同社が開発中の2価(起源株/オミクロン株BA.4-5)mRNAワクチン「DS-5670」について、追加免疫を対象とした国内での第III相臨床試験で、主要評価項目を達成したことを発表した。また、翌7日付のプレスリリースにて、DS-5670の12歳以上の追加免疫に対するオミクロン株XBB.1.5系統対応の1価mRNAワクチンについて、日本における製造販売承認事項一部変更承認申請を行ったことも発表した。DS-5670については、「SARS-CoV-2による感染症の予防」の適応で、追加免疫を対象に起源株1価ワクチンとして2023年8月に製造販売承認を取得している。

医師によるコロナのデマ情報、どう拡散された?

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック中、ソーシャルメディア(SNS)上で、ワクチン、治療法、マスクなどに関する誤った医療情報が広く拡散されたことが社会問題となった。このような誤情報の拡散には、一部の医師も関わっていたことが知られている。COVID-19の誤情報について、情報の種類や、利用されたオンラインプラットフォーム、誤情報を発信した医師の特徴を明らかにするために、米国・マサチューセッツ大学のSahana Sule氏らの研究チームが調査を行った。JAMA Network Open誌2023年8月15日号に掲載の報告。