血液内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:14

移植の予後に、筋肉の「質」が影響する可能性/京都大学

 造血器腫瘍治療で行われる同種造血幹細胞移植(allo-HSCT)において、患者の筋肉の質及び量が移植後の予後に関係する可能性があるという。京都大学の濱田 涼太氏らによる本研究と結果はTransplantation and Cellular Therapy誌オンライン版2022年6月19日号に掲載され、京都大学は7月12日にプレスリリースを発表した。  骨格筋量の減少は、移植後の生存に影響を及ぼすことが複数の研究グループから報告されているが、このような骨格筋量の減少はコンピュータ断層撮影(CT)などを用いて評価されるため、脂肪変性が進行した「質の悪い」骨格筋においては骨格筋量が過大評価されてしまい、正確な評価が出来ていない可能性があるという。

liso-cel、再発・難治性大細胞型B細胞リンパ腫の2次治療に有効か?/Lancet

 早期再発または難治性の大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)の2次治療において、CD19を標的とするキメラ抗原受容体(CAR)-T細胞療法リソカブタゲン マラルユーセル(liso-cel)は従来の標準治療と比較して、無イベント生存期間を約8ヵ月延長することが、米国・コロラド大学がんセンターのManali Kamdar氏らが進めている「TRANSFORM試験」の中間解析で示された。安全性に関する新たな懸念は認めなかったという。研究の成果は、Lancet誌2022年6月18日号に掲載された。

多発性骨髄腫に対する二重特異性抗体薬teclistamabの有用性(MajesTEC-1)/ASCO2022

 再発難治の多発性骨髄腫(RR/MM)に対してBCMAとCD3に対する二重特異性抗体薬teclistamabの有用性を見た第I/II相MajesTEC-1試験。昨年のASH2021(米国血液学会)で発表された本試験の最新データを、米国エモリー大学のAjay K. Nooka氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)で発表し、同日にNEJM誌に掲載された。

IDH2変異の再発・難治AMLに対するenasidenibの効果(IDHENTIFY)/ASCO2022

 IDH2変異(R172K変異)を有する再発・難治性の急性骨髄性白血病(AML)に対して、IDH2阻害薬enasidenibの投与は、従来の治療レジメンに比べて全生存期間(OS)が延長することが第III相試験(IDHENTIFY試験)の追加解析によって示された。フランス・Gustave RoussyのStephane De Botton氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2022)で報告した。  AML患者の8~19%がIDH2変異を有し、IDH2遺伝子変異にはR140Q変異(約75%)とR172K変異(約25%)があることが知られている。IDHENTIFY試験では、IDH2変異陽性の再発・難治性AML患者に対してenasidenib投与と支持療法を行っても、従来の治療レジメンに比べてOSの延長を認めなかった。今回は、対象患者をR140Q変異陽性(R140サブグループ)とR172K変異陽性(R172サブグループ)に分けて、enasidenibの効果について検討した。

多発性骨髄腫患者におけるCOVID-19重症化のリスク因子の検討/ASCO2022

 米国立衛生研究所(NIH)のNational COVID Cohort Collaborative(N3C)データベースを用いた解析により、肺疾患および腎疾患の既往、がん治療などが多発性骨髄腫患者のCOVID-19重症化リスクを高めることが示された。米国・Auburn大学のAmit Kumar Mitra氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2022)で報告した。  高齢者に発症頻度が高い形質細胞腫瘍である多発性骨髄腫は、しばしば免疫不全を呈することから、COVID-19の重症化リスクを高める可能性がある。同研究では、NIHのNational Center for Advancing Translational Sciences(NCATS)が主導する全国一元公開データベースであるN3Cのデータセットを使用し、多発性骨髄腫患者のCOVID-19の重要化や死亡に関連するリスク因子について解析を行った。

2剤以上のTKI治療歴のある慢性期CML、asciminibの96週時点における効果(ASCEMBL)/ASCO2022

 2剤以上のTKI治療歴のある慢性期慢性骨髄性白血病(CML-CP)患者に対して、BCR-ABL特異的アロステリック阻害薬であるasciminibの効果や忍容性は、2年を超えても持続することが示された。米国・Georgia Cancer CenterのJorge E. Cortes氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2022)で報告した。  2剤以上のTKI治療歴を有するCML-CP患者に対するasciminibの投与は、ボスチニブに比べて24週時点での分子遺伝学的大奏効(MMR)率が高いことが、オープンラベルの無作為化第III相ASCEMBL試験によって報告されている。今回は、重要な副次評価項目として設定されていた96週時点の結果について評価した。

再発難治DLBCLに対する二重抗体薬glofitamabの有効性/ASCO2022

 再発・難治のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(R/R DLBCL)は近年、CAR-T細胞療法や薬物複合体であるポラツズマブ ベドチンなどの新薬が登場し、治療成績は向上しているが、それらの治療を経ても再発・難治となる場合もあり、さらなる新薬の開発が望まれている。新たに開発されているglofitamabは、CD20(B細胞)に二価性、CD3(T細胞)に一価性を与える新たな2:1構成のT細胞結合二重特異性抗体薬である。このglofitamabの第II相試験の結果について、オーストラリア・メルボルン大学のMichael Dickinson氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)で発表した。

移植適応のある高リスク多発性骨髄腫に対する4剤併用による寛解導入療法(Dara-KRd)の効果/ASCO2022

 ダラツムマブ(Dara)とカルフィルゾミブ/レナリドミド/デキサメタゾン(KRd)併用による4剤導入療法(Dara-KRd)は、高リスクな新規に診断された移植適応のある多発性骨髄腫(TE-NDMM)患者に対する寛解導入療法として有用であることが、第II相試験(IFM 2018-04)から示された。フランス・University Hospital Hotel-DieuのCyrille Touzeau氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2022)で報告した。

新規抗体薬teclistamab、再発・難治性多発性骨髄腫に有効/NEJM

 新規の抗体製剤teclistamabは、3クラスの薬剤(免疫調節薬、プロテアソーム阻害薬、抗CD38抗体)の投与歴がある再発・難治性多発性骨髄腫の治療において、深く持続的な奏効を高率にもたらし、安全性も良好であることが、フランス・University Hospital Hotel-DieuのPhilippe Moreau氏らが実施した「MajesTEC-1試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2022年6月5日号に掲載された。teclistamabは、T細胞表面に発現しているCD3と、骨髄腫細胞表面に発現しているB細胞成熟抗原(BCMA)の双方を標的とし、T細胞の活性化とそれに続くBCMA発現骨髄腫細胞の溶解を誘導するT細胞再指向型二重特異性抗体で、本試験の用量設定第I相試験で有望な有効性が確認されていた。

RVd±ASCTとレナリドミド維持療法による新規診断多発性骨髄腫の進展抑制効果(DETERMINATION)/ASCO2022

 レナリドミド、ボルテゾミブ、デキサメサゾン併用療法(RVd)の後に自家造血幹細胞移植(ASCT)を行う治療法は、RVdと比較して無増悪生存期間(PFS)を延長するが、6年を超える追跡期間で全生存期間(OS)には差がないことが、第III相無作為化試験であるDETERMINATION 試験の結果から示された。米国・ハーバード大学のPaul G. Richardson氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2022)で報告した。  前処置として高用量のメルファランを投与するASCTは、移植適格の新規多発性骨髄腫(NDMM)患者に対する標準治療とされてきた。その一方で、最近はRVdによる導入療法やレナリドミドによる長期維持療法などの有効性が明らかとなり、移植適格NDMM患者に対する治療法は進化している。同試験では、現在の治療においてもASCTは移植適格NDMMに対する導入療法として有用であるかが検証された。