消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:80

アカラシアの1次治療、経口内視鏡的筋層切開術が有効/JAMA

 未治療の食道アカラシアの治療において、経口内視鏡的筋層切開術(peroral endoscopic myotomy:POEM)は、内視鏡的バルーン拡張術(pneumatic dilation)に比べ、2年後の治療成功率が有意に高いことが、オランダ・アムステルダム大学のFraukje A. Ponds氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2019年7月9日号に掲載された。症例集積研究により、アカラシアの治療におけるPOEMの良好な結果が報告されている。アカラシアの現在の標準的な1次治療はバルーン拡張術とされ、より侵襲性の高いPOEMや腹腔鏡下 Heller 筋層切開術を1次治療とすることには疑問を呈する意見があり、これらの直接比較には意義があるという。

欧米と日本における切除可能進行胃がんに対する周術期化学療法の大きな乖離(解説:上村直実氏)-1079

日本と西欧における胃がんの化学療法に大きな乖離が存在することを示す研究論文である。日本の胃がん治療ガイドラインでは手術可能な進行胃がんに対する周術期化学療法については欧米とまったく異なるレジメンが推奨されている。すなわち、日本における切除可能な進行胃がんに対する周術期化学療法は主に術後補助化学治療として施行されており、その主役はS-1である。手術可能な進行がんを対象として日本で行われたS-1+ドセタキセル併用療法と標準治療とされていたS-1単独を比較したRCT(JACCRO GC-07試験)において、主要評価項目である3年無再発生存(RFS)率は併用療法群が65.9%、S-1単独群が49.5%であり、前者が有意に優れていた。その結果、現在ではS-1+ドセタキセル併用療法が標準的な術後補助化学治療と考えられる。

アスピリン前投与で免疫学的便潜血検査法の精度は向上しない (解説:上村直実氏)-1078

本邦では、胃がんが減少する反面、大腸がん死亡者数が増加し、がん死亡順位で女性1位、男性3位となり、大腸がんに対する対策として、免疫学的便潜血検査を用いた公的な検診の受診率を上げる方策が模索されている。一方、米国では『10年に1回の全大腸内視鏡検査もしくは毎年のFITを行うことを推奨する』とされている。すなわち、微小ポリープが進行大腸がんになるためには10年必要との仮説を基に、大腸がんの検出に最も精度が高いTCFを10年に1回行うか、簡便で死亡率減少効果が示されているFITを毎年行うかのどちらかで大腸がんによる死亡を防ぐ方針である。毎年1回のFITは簡便で良い方法であるが、前がん病変の検出感度や病変的中率が高くないため、欧米では感度および的中率を上げる種々の工夫が報告されている。

ナルデメジンのわが国におけるオピオイド誘発性便秘に対する効果と安全性/ASCO2019

 オピオイド誘発性便秘(OIC)はオピオイド治療において頻度の高い有害事象の1つであり、ナルデメジン(商品名:スインプロイク)はOIC治療に承認されている末梢性μオピオイド受容体拮抗薬である。わが国の実臨床におけるナルデメジンのOIC患者に対する安全性と有効性を調査したPhase-R OIC試験の結果が、国立がん研究センター中央病院 清水 正樹氏、ガラシア病院 前田 一石氏らにより米国臨床腫瘍学会年次総会ASCO2019で発表された。

ピロリ除菌、親が失敗なら子の失敗リスク高い

 クラリスロマイシン(CAM)耐性Helicobacter pylori(H. pylori)とCYP2C19多型は、何世代にもわたって受け継がれる可能性があり、H. pylori除菌失敗の危険因子として知られている。しかし、親がCAM3剤併用療法による除菌失敗歴を有する患者における失敗リスクを評価した研究はなかった。今回、出口 尚人氏(京都大学/武田薬品工業)らの横断研究により、CAM3剤併用療法での親の除菌失敗歴が子孫の除菌失敗の危険因子であることが示された。Journal of Gastroenterology and Hepatology誌オンライン版2019年7月1日号に掲載。

疼痛・疲労・精神的苦痛の支援を受けたことがない―がん患者の3~5割/JCO

 どれほどのがん患者が疼痛、疲労、精神的苦痛を有し、またそれらに対するケアは行われているのか。米国・がん協会のTenbroeck G. Smith氏らは、地域のがんセンターで治療を受けている患者を対象に、それらの有症率などを調査した。その結果、30~50%のがん患者が、疼痛、疲労および精神的苦痛について、話し合ったり、アドバイスを受けたり、期待した支援を受けたことがないと回答したという。著者は、「これら3つのがん関連症状の管理に関して改善の余地がある」と述べたうえで、それぞれの症状の有症率の高さについても「重要と思われる」と指摘している。Journal of Clinical Oncology誌2019年7月1日号掲載の報告。

潰瘍性大腸炎の炎症の程度を便で診断

 2019年6月26日、アルフレッサ ファーマ株式会社は、体外診断用医薬品として潰瘍性大腸炎(以下「UC」と略す)の病態把握の補助に使用されるカルプロテクチンキット「ネスコートCpオート」が、6月5日に製造販売承認を取得したことを機に、都内で「潰瘍性大腸炎の治療継続における課題とは」をテーマにプレスセミナーを開催した。  セミナーは、日比 紀文氏(北里大学北里研究所病院 炎症性腸疾患先進治療[IBD]センター長)の司会により進行し、同氏は「潰瘍性大腸炎は全世界で500万人の患者が推定され、わが国はアメリカについで患者数が多い国である。潰瘍性大腸炎は現在も原因不明の疾患であり、主な症状は、持続反復する下痢、血便、頻回のトイレなどがあり、活動期と寛解期を繰り返すのが特徴。治療では、5SAS製剤、JAK阻害薬などが使用されている。潰瘍性大腸炎の適切な治療では、病態の正確な把握が必要だが内視鏡検査が広く行われている。しかし、内視鏡検査は侵襲性が高く、患者負担も大きいため、非侵襲性の検査が長らく待たれていた。今回製造販売承認されたネスコートCpオートであれば10分で測定ができ、外来でも有用だと期待しているし、患者にも身体・経済面でメリットがある」と潰瘍性大腸炎の疾患概要と本診断キット開発の意義を説明した。

高齢進行胃がん患者への化学療法、低用量でベネフィット得られる可能性(GO2)/ASCO2019

 高齢でフレイルのある、進行胃・食道胃接合部がん患者において、2剤併用化学療法の用量を減らしても、高用量の場合と同等のベネフィットが得られる可能性が示唆された。米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で、オキサリプラチン+カペシタビン2剤併用療法の適正用量を検討した第III相GO2試験の結果を、英国・エジンバラ大学のPeter S Hall氏が発表した。  進行胃・食道胃接合部がんと診断される患者の中央値は75歳超で、多くがフレイルを有している。しかし、化学療法の標準的な用法用量の多くがフレイルのない、65歳未満の患者を対象とした臨床試験によって定められている。

抗精神病薬使用と胃がんリスクとの関係

 台湾・桃園長庚紀念病院のYi-Hsuan Hsieh氏らは、抗精神病薬使用と胃がんの発症率との関連を明らかにするため、検討を行った。これまで、抗精神病薬の使用と胃がんリスクとの関連は、明らかとなっていなかった。Cancer Medicine誌オンライン版2019年6月10日号の報告。  ネステッド・ケース・コントロール研究を用いて、1997~2013年の台湾全民健康保険研究データベースより、胃がん患者3万4,470例および非胃がん患者16万3,430例を抽出した。交絡因子の可能性を調整するため、条件付きロジスティック回帰モデルを用いてデータ分析を行った。

高齢者進行非小細胞肺がん、膵がん患者に対する早期運動・栄養介入の多施設共同ランダム化第II相試験(NEXTAC-TWO)

 高齢の進行期がん患者の多くは、がん悪液質による疲労、食欲不振、および身体機能の低下を有しているが、効果的な介入が確立されていない。静岡県立静岡がんセンターの内藤 立暁氏らは進行期がんに対する栄養療法および運動療法を組み合わせた早期介入プログラムNEXTAC(The Nutrition and Exercise Treatment for Advanced Cancer program)の第I相試験(NEXTAC-ONE)を実施し、がん悪液質高リスクの高齢患者におけるNEXTACの実現可能性を報告した(Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle, 2018)。この結果に基づきNEXTACによる早期の運動・栄養介入の有効性を評価する多施設共同無作為化第II相NEXTAC-TWO試験が開始された。NEXTAC-TWO試験の実施の背景、設計などについて新潟県立がんセンター新潟病院 三浦 理氏らがBMC Cancer誌オンライン版2019年5月31日号で発表した。