消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:69

FDA、二ボルマブ・イピリムマブ併用、肝細胞がんに迅速承認

 米国食品医薬品局(FDA)は、3月10日、ソラフェニブ既治療の肝細胞がん患者に対するニボルマブとイピリムマブの併用療法を迅速承認した。  この併用療法の有効性は、ソラフェニブ治療で進行した、または不耐性の肝細胞がん患者を対象に実施された多施設コホート非盲検試験CheckMate-040のコホート4で調査された。合計49例の患者に、イピリムマブ3mg/kgとニボルマブ1mg/kgを3週間ごと4サイクル、その後ニボルマブ240mgを2週間ごと、疾患進行または忍容できない毒性が発現するまで投与した。

ICUにおける予防的なPPI投与はH2RAと比べて死亡抑制効果があるのか?(解説:上村直実氏)-1204

ICUに入院して人工呼吸器を装着される患者の多くに対して、致死的な出血性ストレス潰瘍の発症を予防する目的でプロトンポンプ阻害薬(PPI)またはヒスタミン2受容体拮抗薬(H2RA)が使用されている。従来、上部消化管出血予防に対する有用性はH2RAに比べてPPIのほうが優ることが報告されている。しかし、PPIによる予防戦略が院内死亡率の低下についてもH2RAに比べて有用性が高いかどうかは明確になっていない。今回、オーストラリア、カナダ、英国、アイルランド、ニュージーランドの5ヵ国50施設のICUが参加したRCTの結果、上部消化管出血の予防には従来通りH2RAよりPPIが有効であるが、院内死亡率に関しては両者に差がないことがJAMA誌オンライン版に報告されている。

新規RNAi治療薬givosiran 、急性肝性ポルフィリン症のEU承認を取得/アルナイラム

 RNAi治療のリーディングカンパニーであるアルナイラム社は、2020年3月3日、RNAi(RNA interference:RNA干渉)治療薬givosiranが、成人および 12 歳以上の未成年者の急性肝性ポルフィリン症(AHP)治療における、アミノレブリン酸合成酵素1(ALAS1)を標的とする皮下注射剤として、欧州委員会(EC)より製造販売承認を取得したことを発表した。 AHPは、遺伝子変異により肝臓内の特定の酵素が欠如することで生じ、体内のポルフィリンが毒性量まで蓄積する疾患。 重症の腹痛、嘔吐および痙攣などの消耗性の発作を特徴とする希少疾患であり、発作中に麻痺や呼吸停止の可能性もあることから生命を脅かす危険もある。 ALAS1を標的とする RNAi治療薬givosiranは、ALAS1メッセンジャーRNAを特異的に低下させることで、AHPの発作やその他の症状の発現に関連する毒性を減少させる。  

がん患者が過剰摂取しやすいサプリメントは?

 多くのがん患者は、がん診断後に栄養補助食品を使い始める傾向にある。そのため、がんではない人と比べ、どのような栄養補助食品が、がんサバイバーの総栄養摂取量に寄与しているかを検証する必要がある。今回、米国・タフツ大学のMengxi Du氏らは「がんではない人と比較した結果、がんサバイバーへの栄養補助食品の普及率は高く、使用量も多い。しかし、食事摂取量は少ない」ことを明らかにした。研究者らは「がんサバイバーは食事からの栄養摂取が不十分である。とくに高用量を摂取する栄養補助食品の短期~長期的使用による健康への影響について、がんサバイバー間でさらに評価する必要がある」としている。Journal of Nutrition誌オンライン版2020年2月26日号掲載の報告。

慢性膵炎に伴う疼痛に対して内視鏡的治療か早期の外科的治療か?(解説:上村直実氏)-1203

「慢性膵炎に伴う腹痛」に対する治療に関しては、最初に内科的保存治療(脂肪制限食+禁酒+NSAIDs、制酸剤+高用量膵酵素)が施行され、その無効例に対して砕石目的のESWLと主に狭窄部の拡張を目的とした内視鏡的治療(ステント装着および結石除去)が優先され、内視鏡的治療の無効例や再発例に対して外科的治療を選択することが一般的とされていたが、最近報告された観察研究やRCTの結果から外科的治療の有用性が見直されており、今回実施されたオランダの多施設共同RCTの結果、内視鏡的治療を先行して行う方法に比べて早期に実施する外科的治療のほうが、優れた疼痛緩和効果を示したことが再確認されている(Issa Y, et al. JAMA. 2020;323:237-247)。

オラパリブ、BRCA遺伝子変異膵がん維持療法として希少疾病用医薬品に/アストラゼネカ

 アストラゼネカは、3月17日、オラパリブ(商品名:リムパーザ)がBRCA遺伝子変異陽性の治癒切除不能な膵がんにおける維持療法として、希少疾病用医薬品指定を取得したと発表。  海外第III相臨床試験(POLO試験)において、オラパリブは生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異陽性転移性膵がん患者の無増悪生存期間(PFS)の中央値を、プラセボ群3.8ヵ月に対し7.4ヵ月と、ほぼ2倍に延長した。また、POLO試験におけるオラパリブの安全性および忍容性プロファイルは、これまでの試験とほぼ一致していた。

胃がんの家族歴陽性者に対する除菌は胃がんの発生を抑制する―除菌判定が重要(解説:上村直実氏)-1202

ピロリ菌の除菌による胃がんの抑制効果は世界中でのコンセンサスが形成されており、WHOも胃がん予防のための除菌治療を推奨している。しかし、除菌による胃がん抑制効果が一様でないことから、臨床現場で除菌成功者にも胃がんが発見されることがよく経験され、日本ではこの除菌後胃がんに対する対処法が大きな課題となっている。今回、胃がんの発症リスクが高いとされている胃がんの家族歴陽性者を対象として、除菌治療による胃がん発生抑制効果を検討した韓国におけるRCTの結果がNEJM誌に報告されている。

潰瘍性大腸炎の大腸がんリスクに関する北欧の大規模コホート研究(解説:上村直実氏)-1201

10年以上の長期経過を有する潰瘍性大腸炎(UC)が大腸がん(CRC)発症の明らかなリスクであることは従来からよく知られている。しかし、UCの中でもCRCのリスクが異なることは明らかになっていなかった。今回、スウェーデンとデンマークのナショナルデータベースを用いてUC患者10万人と一般住民100万人を対象として、ほぼ50年近くの長期にわたる大規模集団コホート研究の結果がLancet誌に掲載された。特筆すべき結果はUC患者の中でCRCハイリスクの特徴を明らかにした点である。すなわち、発症年齢が低い若年発症型、罹患範囲の広い全大腸炎型、CRCの家族歴陽性者、原発性硬化性胆管炎(PSC)の合併、これら4因子を有する患者はCRCのリスクが高いことを明確に示している。

二日酔いにロキソプロフェンは本当に効くのか~日本人医師のRCT

 二日酔い症状の緩和にロキソプロフェンナトリウム(以下、ロキソプロフェン)が効くという言説。医療関係者ならば耳にしたことがあるかもしれないが、医学的に妥当なのだろうか。  今回、原 正彦氏(日本臨床研究学会 代表理事)が、二日酔いの症状緩和に対するロキソプロフェンの有効性を、医師を被験者としたランダム化二重盲検プラセボ対照試験で検証したところ、頭痛を緩和する一方で全身倦怠感と吐き気は改善しないことが示された。Alcohol誌オンライン版で2020年3月3日に報告。

がん患者のCOVID-19~非がん患者と比べて/Lancet Oncol

 中国およびその他の地域では、SARS-CoV-2による重症急性呼吸器症候群が発生している。がん患者は化学療法や手術などの抗がん治療によって引き起こされる全身性の免疫抑制により、易感染状態であることが多い。そのため、SARS-CoV-2についても感染リスクが高く、さらに感染後も予後不良の可能性がある。  中華人民共和国の国立呼吸器疾患臨床研究センターと国民健康委員会が協力し、中国全土でCOVID-19症例を観察する前向きコホートを設立した。 2020年1月31日のデータカットオフの時点で、31の地方行政区域から2,007例の症例を収集。記録不十分な417例を除外し1,590のCOVID-19症例を分析している。Lancet Oncology誌2020年3月1日号では、その中から、がん患者について分析している。