消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:68

急性上部消化管出血の内視鏡検査、最適な施行時期とは/NEJM

 急性上部消化管出血を発症し、再出血または死亡のリスクが高い患者では、消化器科コンサルテーション後6時間以内の内視鏡検査は、6~24時間の検査と比較して、30日死亡率を抑制しないことが、中国・香港中文大学のJames Y.W. Lau氏らの検討で示された。研究の詳細は、NEJM誌2020年4月2日号に掲載された。International Consensus Groupのガイドラインでは、急性上部消化管出血患者には、受診後24時間以内に内視鏡検査を行うよう推奨されている。一方、24時間より短い時間枠内に施行される内視鏡検査の役割は、十分に明らかではないという。

ペムブロリズマブによるMSI-H大腸がん1次治療、無増悪生存期間を改善/Merck

 Merck社は、2020年4月2日、切除不能または転移を有するMSI-H/dMMRの結腸直腸がんに対するキートルーダの1次治療を評価する第III相 KEYNOTE-177試験において、2つの主要評価項目の1つ無増悪生存期間(PFS)を達成したと発表。  独立データ監視委員会(DMC)による中間解析では、化学療法(mFOLFOX6またはFOLFIRI ±ベバシズマブまたはセツキシマブ)と比較し、ペムブロリズマブ単剤療法は統計的に有意で臨床的に意味のあるPFSの改善を示した。

3次医療機関でのがん患者の新型コロナ感染率/JAMA Oncol

 がん患者は治療やモニタリングのために通院機会が多いことから、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染するリスクが高い。さらに化学療法や放射線療法は免疫を抑制する。今回、中国・武漢大学中南病院のJing Yu氏らが、武漢の3次医療機関のがん患者においてSARS-CoV-2感染率と転帰を調査した結果、がん患者の入院および通院がSARS-CoV-2感染の潜在的なリスク因子であることが示唆された。とくに高齢患者(60歳以上)と非小細胞肺がん(NSCLC)患者に感染者が多かったという。JAMA Oncology誌オンライン版2020年3月25日号に掲載。

画像診断での深層学習 vs.専門医、前向き研究やRCT少ない/BMJ

 画像診断に関する前向き深層学習(deep learning)研究や無作為化試験は少なく、非無作為化試験のほとんどは前向き研究ではなく、バイアスのリスクが高く、既存の報告基準から逸脱していることが、英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのMyura Nagendran氏らの検討で示された。また、多くの研究は、データやコード(データの前処置とモデル化に使用)を利用できず、比較群の専門医数が少ないことも明らかとなった。研究の詳細は、BMJ誌2020年3月25日号に掲載された。近年、人工知能(AI)の一部門である深層学習に関する研究の報告が、急速に増加している。これに伴い、AIは医師より能力が優れるとするメディアの見出しが、人々を誇大な宣伝であおり、その加速度的な推進が強く求められている。

固形がんに対するリキッドバイオプシー、「FoundationOne Liquid CDx」の国内申請/中外

 中外製薬は、2020年03月31日、固形がんに関連する包括的ゲノムプロファイリングを提供するリキットバイオプシー検査として、「FoundationOne Liquid CDx(海外製品名)」に対する製造販売承認申請を厚生労働省に行ったと発表。  「FoundationOne Liquid CDx」は米国・ケンブリッジに拠点を置くファウンデーションメディシン社が開発した次世代シークエンサーを用いた包括的ながん関連遺伝子解析システム。進行固形がんの患者を対象とし、血液中の循環腫瘍DNA(ctDNA: circulating tumor DNA)を用いることで、がんの遺伝子変異を検出するリキットバイオプシー検査である。米国では、2018年4月に米国食品医薬品局(FDA)よりBreakthrough Device指定を受けている。

“肛門疾患”丸わかり-内科医にも役立つガイドライン発刊

 肛門疾患と聞くと、多くの方はまず“痔”を想像されるのではないだろうか。医師に相談しにくい病気の1つだが、非専門医の方々は相談を受けたことがあるだろうか? 2020年1月、日本大腸肛門病学会は『肛門疾患(痔核・痔瘻・裂肛)・直腸脱診療ガイドライン2020年版』を発刊。これは2014年に策定された診療ガイドラインの改訂版で、既存の肛門部の三大疾患(痔核・痔瘻・裂肛)とは別に直腸脱の項が追加された。今回、本ガイドラインの作成委員長を務めた山名 哲郎氏(JCHO 東京山手メディカルセンター副院長)から活用ポイントについて聞いた。

抗がん剤の末梢神経障害、凍結手袋の効果は?/Ann Oncol

 凍結手袋(frozen gloves)は、抗がん剤治療に伴う手足などの末梢神経障害の予防に有用なのか。オランダ・Maxima Medical Center Eindhoven and VeldhovenのA.J.M. Beijers氏らは、化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)に対する凍結手袋の予防効果を検討した無作為化試験を行い、凍結手袋を着用した患者と非着用患者でEORTC QLQ-CIPN20スコアに差はみられなかったものの、着用により手の神経障害症状が軽減され、QOLの改善が示されたと報告した。ただし著者は、「今回の試験では着用群の3分の1が治療終了前に試験を中止しており、その点で留意が必要である」と述べ、「今後の研究では、CIPN予防について四肢低体温法に力を注ぐべきであろう」とまとめている。Annals of Oncology誌2020年1月号掲載の報告。

イリノテカン塩酸塩水和物、膵臓がんに国内承認

 日本セルヴィエとヤクルト本社は、イリノテカン塩酸塩水和物(商品名:オニバイド)について、「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な膵癌」を効能・効果として、2020年3月25日、国内製造販売承認を取得しました。  同剤は、有効成分であるイリノテカンをポリエチレングリコール(PEG)で修飾したリポソームに封入した製剤であり、2020年3月現在、世界21ヵ国で販売されている。国内では 2019年3月に日本セルヴィエが製造販売承認申請を行い、この度、承認を取得した。

単一遺伝子異常に伴う炎症性腸疾患、疑うべき臨床所見は?

 小児の炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD)は発症時期によって特徴が異なり、臨床像が多様だ。とくに早期に発症するケースでは、単一遺伝子異常に伴うIBDの頻度が高く、原発性免疫不全症候群の可能性も考慮する必要がある。しかし、その詳細な有病率は明らかになっていない。今回、カナダ・トロント小児病院のEileen Crowley氏らは、小児IBD患者1,005例のゲノムを解析し、単一遺伝子異常に伴うIBDの有病率を決定するとともに、予測可能な臨床所見を検討した。Gastroenterology誌オンライン版2020年2月18日号掲載の報告。

がん10年生存率57.2%に、80%以上のがん種も/全がん協調査

 国立がん研究センターの研究班は3月17日、全国がんセンター協議会(以下、全がん協)加盟の全国32施設における、全がんおよび部位別の、がん生存率最新データを公表した。前回調査と比較して、全がんの5年相対生存率は0.5ポイント増の68.4%、10年相対生存率は0.8ポイント増の57.2%であった。現在、10年生存率の算出と公開を行っているのは同研究班によるもののみで、部位別生存率において相対生存率(がんによる死亡)のほか、実測生存率(全死亡)も提示していることが特徴。