消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ

膵臓がんワクチン、高リスク者の9割で免疫応答

 膵臓がんは、特に発症リスクを大幅に高める遺伝子変異を受け継いだ人では、「サイレントキラー」となり得る。しかし、こうした高リスク者における膵管腺がん(PDAC)の予防に新たな希望が見えてきた。米ジョンズ・ホプキンス大学シドニー・キンメル総合がんセンターのElizabeth Jaffee氏らは、PDACやその前がん病変で高頻度に認められるKRAS変異を持つ細胞を免疫系が認識して排除するよう誘導するワクチンを開発し、その小規模試験の結果を、「Cancer Discovery」に7月16日付で報告した。試験では、PDACの遺伝的リスクが高い20人のうち18人でワクチンによる免疫応答が確認され、その免疫応答が長期間持続することも示されたという。

コーヒー摂取量が多いほど肝硬変・肝細胞がんリスク低下

 朝のコーヒーの魅力は、カフェインによる目覚め効果だけではないかもしれない。新たな研究で、コーヒーの摂取量が多いほど、肝硬変、肝細胞がん、および肝疾患による死亡リスクが低いことが明らかになった。米シーダーズ・サイナイ医療センター肝がんプログラムのメディカルディレクターを務めるJu Dong Yang氏らによるこの研究結果は、7月1日付で「Clinical Gastroenterology and Hepatology」に掲載された。Yang氏は、「今回の結果は、もともとコーヒーを好み、問題なく飲める人に対して、適度なコーヒー摂取を支持するものだ」と述べている。

選択的Nav1.8阻害薬LTG-001、術後疼痛を軽減/NEJM

 Nav1.8は末梢神経系に発現している電位依存性ナトリウムチャネルで、疼痛シグナル伝達において重要な役割を果たすという。LTG-001は、オピオイドと同等の鎮痛効果をもたらすように設計された、経口投与が可能な非オピオイド系の選択的Nav1.8阻害薬である。米国・Latigo BiotherapeuticsのNeil Singla氏らは、腹壁形成術後に疼痛を訴える患者において、低・高用量のLTG-001はプラセボと比較して、48時間後の疼痛スコアを有意に改善し、高用量ではオピオイドのレスキュー使用量が少ないことを示した。研究の成果はNEJM誌2026年7月30日号に掲載された。

ピロリ菌で大腸がんリスク増、除菌の恩恵を受けやすい人は?

 Helicobacter pylori(H. pylori)感染は大腸がん発症リスクを高める可能性があり、除菌治療が長期的なリスク低減につながる可能性が示された。中国で実施された2つの大規模ランダム化試験の解析により、遺伝的リスクや病原性因子を考慮した層別解析では、除菌の恩恵を受けやすい集団が存在することも明らかになった。北京大学のXuan Han氏らによる研究結果は、Gut誌オンライン版2026年6月30日号に掲載された。  H. pyloriは胃がんや消化性潰瘍の原因菌として知られる一方、近年は慢性炎症や腸内細菌叢の変化などを介して大腸がんにも関与する可能性が指摘されている。今回の解析では、中国・山東省で実施された2つのランダム化試験を対象とした。1つは1995年開始のShandong Intervention Trial(SIT、3,365例、追跡期間29.4年)、もう1つは2011年開始のMass Intervention Trial in Linqu, Shandong Province(MITS、18万284例、追跡期間13.8年)である。MITSでは、宿主の遺伝的リスクとH. pyloriの病原性因子に対する血清陽性率に基づいて大腸がんリスクを評価するケースコホート研究も実施された。

高血圧の日本人、大腸がん発症率が高い

 高血圧と大腸がん発症率の関連については依然として議論されている。今回、静岡社会健康医学大学院大学の水野 仁美氏らが、日本の大規模コホートデータを用いて、高血圧と大腸がん発症率の関連を検討したところ、降圧薬非服用者では男性において高血圧と大腸がん発症率が関連し、降圧薬服用者では女性において高血圧と大腸がん発症率が関連していた。一方、血圧に関する多遺伝子リスクスコアと大腸がん発症率には関連はみられなかった。Hypertension Research誌オンライン版2026年7月28日号に掲載。

医師の4割が抱える歯の悩みとは/医師1,000人アンケート

 近年、口腔疾患は糖尿病、脳梗塞、動脈硬化に伴う心筋梗塞など、全身疾患リスクとの関連性が見いだされたり、高齢者の健康寿命を縮めるさせる10大原因の1つとしても問題視されたりしている。このような状況を踏まえ、日本でも2026年度より『歯周病検診マニュアル2023』1)や歯科健康診査票を用いた歯周病検診がスタートし、国を挙げて国民の歯周病の早期発見・重症化予防に乗り出している。

飲酒中のチェイサーは二日酔いの症状を軽減しない/大分大

 多量の飲酒のあとに起こるいわゆる「二日酔い」を一度は経験したことがある人は多いはず。二日酔いでは、頭痛や倦怠感などの身体症状だけでなく、自動車の運転や就業中の判断力に影響を及ぼすことはよく知られている。症状の軽減策としては、飲酒中の水(いわゆる「チェイサー」)の摂取が知られているが、その効果はどのくらいあるのだろう。このテーマに関して、大分大学の今井 浩光氏(大分大学医学部医学生物学講座および医療倫理学講座 教授)らの研究グループは、チェイサーが体内のエタノールおよびアセトアルデヒドの動態に影響を与えるかどうか、また、翌日の精神運動機能検査や自覚症状において二日酔いの症状を軽減するかどうかを検討した。

脂肪肝は大腸がんの予後不良な肝転移を促進する?

 脂肪性肝疾患(脂肪肝)を有する大腸がん患者では、予後不良なタイプの肝転移が発生しやすいことが、新たな研究で示唆された。研究グループは、「この研究は、がんの進展が、腫瘍細胞そのものだけでなく、脂肪肝に伴う代謝環境の変化による影響も受ける可能性を示したものであり、患者の代謝状態に合わせた個別化治療の開発につながる可能性がある」との見解を示している。VIB-KU Leuven Center for Cancer Biology(ベルギー)のSarah-Maria Fendt氏らによるこの研究の詳細は、7月1日付で「Nature」に掲載された。

閉経前女性のホルモン避妊薬使用、大腸がんと関連なし/BMJ

 現代のホルモン避妊薬の現在または最近の使用は、大腸がん発症リスクに影響を及ぼさなかったことを、デンマーク・Danish Cancer InstituteのIsabella H. Lange氏らが、同国レジストリーを用いたコホート研究の結果で報告した。ホルモン避妊薬は、卵巣がんや子宮内膜がんのリスクを低減させる一方、乳がんのリスクを高めることが知られている。しかしながら大腸がんとの関連については依然として限定的で一貫性がなく、とくに現代のホルモン避妊薬(新規プロゲスチン、プロゲスチン単剤、非経口製剤を含む)が大腸がんのリスクに与える影響は明らかにされていなかった。

進行胆道がん、デュルバルマブ+ゲムシタビン+シスプラチン療法の長期生存利益と一貫した安全性を確認(TOPAZ-1)

 切除不能または転移のある胆道がんに対するデュルバルマブとゲムシタビン+シスプラチン(GC)併用療法の有用性を示した第III相TOPAZ-1試験について、事後解析結果が報告された。事後解析結果が報告された。4年超の追跡においてデュルバルマブ併用群はプラセボ併用群と比較して長期生存利益を維持し、4年生存率は約3倍に達した。ソウル国立大学病院(韓国)のDo-Youn Oh氏らによる本研究は、JAMA Oncology誌オンライン版2026年7月9日号に掲載された。  胆道がんは予後不良であり、多くの患者は切除不能あるいは遠隔転移を伴った状態で診断される。