消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ

膵臓がんの発症リスク、血糖と生活習慣で予測可能か

 膵臓がんは早期発見が難しく、診断時にはすでに進行していることが少なくない。今回、静岡県の健診データとレセプトデータを統合した約64万人規模の解析により、血糖指標であるHbA1cや生活習慣が膵臓がんリスクと関連することが明らかになった。研究は、静岡県立総合病院消化器内科の佐藤辰宣氏、名古屋市立大学大学院医学研究科の中谷英仁氏(現・名古屋医療センター臨床研究センター)、静岡社会健康医学大学院大学の田中仁啓氏らのグループによるもので、その詳細は4月6日付で「Pancreatology」に掲載された。

遺伝性血管性浮腫の疾患認知はまだ不十分/CSLベーリング

 CSLベーリングは、5月16日の「HAE Day」によせて都内でメディアセミナーを開催した。  HAEは、生まれつき血液中にあるタンパク質C1インヒビター(C1-INH)の不足・機能低下が原因で浮腫を生じる疾患。指定難病に認定され、皮膚や腹部(腸)など、全身に浮腫が生じ、とくに咽喉で腫れると呼吸困難に陥り、命に関わるケースもある。わが国には、診断・治療中の患者は430人前後であり、未診療の患者も相当数がいると推定されている。また、海外のデータでは、人口50,000人に1人の割合で患者がいるとされる。なお、同社ではHAEの急性発作の発症抑制薬として、ヒト抗活性化第XII因子モノクローナル抗体製剤ガラダシマブ(商品名:アナエブリ)を発売している。

抗菌薬使用とセリアック病発症に因果関係は認められず

 抗菌薬の使用はセリアック病(CD)の発症と関連付けられてきたが、新たな研究で、この因果関係を支持するエビデンスは認められないことが示された。CD患者では、CDではないきょうだいや一般集団と比較して抗菌薬使用のオッズが高かったものの、腸粘膜が正常な人では、そのオッズはさらに高かったという。ヨーテボリ大学(スウェーデン)のMaria Ulnes氏らによるこの研究は、「Clinical Gastroenterology and Hepatology」に4月27日掲載された。  Ulnes氏は、「CDと抗菌薬使用との間に因果関係は認められなかった。抗菌薬の適正使用が重要であることに変わりはないが、CD発症を恐れて抗菌薬の使用を避ける理由はない」と述べている。

大腸がん、ctDNAによる術後化学療法と投与期間の選択(CIRCULATE・GALAXY後方解析)/ASCO2026

 StageII/III大腸がんにおける術後補助化学療法は複数のレジメンがあり、最適な投与期間も明らかになっていない。米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)では、術後のctDNAを予後マーカーとして、術後補助療法のベネフィットを受ける患者層の特定や最適な投与期間を検討した2つの試験結果が発表された。

PD-L1陽性胃がん、周術期serplulimab療法でEFS改善(ASTRUM-006)/Lancet

 切除可能なPD-L1陽性胃がんまたは胃食道接合部腺がんにおいて、術前S-1+オキサリプラチン(SOX)+術前・術後serplulimabは、術前・術後SOX単独と比較して無イベント生存期間(EFS)を改善し、安全性プロファイルは良好であることが示された。中国・北京大学がん病院・研究所のLin Shen氏らASTRUM-006 Study Groupが無作為化二重盲検多施設共同の第III相試験「ASTRUM-006試験」の結果を報告した。先行研究で周術期免疫化学療法は、胃がんまたは胃食道接合部腺がんにおいてさまざまなアウトカムを示している。

HER2+胃食道腺がん1次治療、zanidatamab+化学療法±チスレリズマブがPFS延長(HERIZON-GEA-01)/NEJM

 HER2陽性胃食道腺がんの1次治療において、従来の標準治療であるトラスツズマブと化学療法の併用と比較して、zanidatamab(HER2の細胞外ドメイン2および4に結合する二重特異性IgG1様抗体)と化学療法の併用は、チスレリズマブ(抗PD-1抗体)の併用、非併用のいずれの場合でも、無増悪生存期間(PFS)を有意に延長し、チスレリズマブとの併用では全生存期間(OS)に関しても有意な有益性をもたらすことが、国立がん研究センター東病院の設楽 紘平氏らHERIZON-GEA-01 Investigatorsが実施した「HERIZON-GEA-01試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2026年5月28日号で報告された。

食道がんに腫瘍溶解ウイルス「テロメライシン」承認、CRT不適患者の新たな選択肢に/オンコリスバイオファーマ

 岡山大学発の創薬ベンチャー・オンコリスバイオファーマは6月8日、同社の開発した腫瘍溶解ウイルス製剤テロメライシン注(一般名:スラタデノツレブ)が、厚生労働省の製造販売の承認を受けたことを発表した。適応は「根治切除および化学放射線療法の適応とならない食道がん」。「条件及び期限付承認」ではなく通常承認となり、再生医療等製品としては異例のケースとなった。  テロメライシンは、テロメラーゼ活性を利用してがん細胞内で選択的に増殖するよう設計された5型アデノウイルス製剤。hTERTプロモーター制御下でウイルス複製関連遺伝子を発現し、正常細胞では増殖せず、がん細胞のみで複製・細胞破壊を引き起こす。岡山大学の藤原 俊義教授らが基礎研究を主導し、長年にわたり臨床開発が進められてきた。

HER2陽性進行胃食道腺がん、zanidatamab+チスレリズマブはPD-L1発現にかかわらず有効(HERIZON-GEA-01)/ASCO2026

 今年1月に行われた米国臨床腫瘍学会消化器がんシンポジウム(ASCO GI 2026)で発表されたHERIZON-GEA-01試験では、HER2陽性局所進行または転移のある胃食道腺がん1次治療において、化学療法に二重HER2標的抗体zanidatamabと抗PD-1抗体チスレリズマブを追加することで、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)の改善が示された。5月29日~6月2日に行われた米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO 2026)では、韓国・延世がんセンターのSun Young Rha氏が、本試験におけるPD-L1サブグループの解析結果を報告した。

大腸がん術後患者の運動プログラム、費用対効果検証でも有益(CHALLENGE)/ASCO2026

 2025年の米国臨床腫瘍学会(ASCO 2025)で発表されたCHALLENGE試験は、大腸がん術後患者に対する構造化運動プログラムが生存期間を延長することを示し、NEJM誌に同時掲載されるなど大きな注目を集めた。  CHALLENGE試験では、StageIIIまたは高リスクStageIIの大腸腺がんで切除術を受け、術後補助化学療法を完了した患者を対象に、標準的な経過観察と健康教育資料の提供のみを受ける群、健康教育資料+3年間の構造化運動プログラム(structured exercise program:SEP)を受ける運動群に1対1の割合で割り付けた。

BRAF V600E変異転移大腸がんに対するEC+FOLFIRI、PFS・OSを改善(BREAKWATER)/ASCO2026

BRAF V600E変異陽性転移大腸がん(mCRC)は予後不良で知られ、従来の1次治療ではFOLFOX系またはFOLFIRI系±ベバシズマブが標準療法として用いられてきた。BREAKWATER試験では、BRAF阻害薬エンコラフェニブと抗EGFRモノクローナル抗体・セツキシマブの併用(EC)+mFOLFOX6が従来の標準療法と比較して、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、奏効率(ORR)を有意に改善したことが報告されている。  一方、実臨床ではオキサリプラチン不適応例に対してFOLFOX に替えてFOLFIRIを併用するレジメンも用いられていることから、BREAKWATER試験では同レジメンとEC+FOLFIRIを比較する「コホート3」が設定された。