消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:3

進行固形がんのリキッドバイオプシーにおける偽陽性/日本臨床腫瘍学会

 血漿検体を用いて遺伝子のシークエンス解析を行うリキッドバイオプシーはがん治療で広く用いられている。血漿中にはがん由来のDNAと共に血液由来のDNAも存在するが、通常は結果に影響しない。しかし、加齢などにより、遺伝子異常を持った血液細胞が増殖するクローン性造血(CH)が起こり、これらをがん由来の遺伝子異常と判断することで起こる偽陽性が懸念されている。

局所進行直腸がん術前治療におけるctDNA活用に期待/日本臨床腫瘍学会

 局所進行直腸がんの術前治療の決定において、血中循環腫瘍DNA(ctDNA)解析の有用性が示唆された。  局所進行直腸がんでは手術後の再発が問題だったが、直腸間膜全切除(TME)手術や術前化学放射線療法 (CRT)によって局所再発のコントロールが実現した。近年では術前化学療法 (NAC)や、CRTに化学療法を追加するTotal Neoadjuvant Therapy(TNT)が登場し、遠隔再発の抑制が報告されている。一方、すべての患者にTNTを行うべきか明確な基準はなく、一部の患者では過剰治療も懸念されている。  そのような中、術後再発予想因子としてctDNAの役割が期待されている。大阪大学の浜部 敦史氏らは、術前治療後ctDNAの状況が局所進行直腸がんの再発に影響するかを検討したCIRCULATE-Japan GALAXY trialの結果を、第21回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2024)で発表した。

転移膵がん1次療法、ゲムシタビン+nab-パクリタキセル追加データ(JCOG1611、GENERATE)/日本臨床腫瘍学会

 膵がん1次治療の最適レジメンを検討する国内第II/III相JCOG1611試験。2023年10月に欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で中間解析結果が発表されたが、2024年2月22~24日に開催された第21回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2024)では、本試験の追加データについてがん研有明病院 肝胆膵内科の尾阪 将人氏が発表した。 <JCOG1611試験の概要> ・対象:切除不能転移膵がん、PS0~1 ・試験群: 【GnP群】nab-パクリタキセル+ゲムシタビン

週3個以上の卵が脂肪性肝疾患と高血圧を予防?

 卵の摂取が脂肪性肝疾患(steatotic liver disease)と高血圧症に対する保護的な効果を示し、週3個以上の摂取でそれらの発症リスクがより低くなることを、イタリア・Saverio de BellisのRossella Tatoli氏らが明らかにした。Nutrients誌2024年1月31日号掲載の報告。  卵にはミネラルやビタミンなどの豊富な栄養素が含まれているが、コレステロール含有量も1個当たり180~225mgと多いため、しばしば生活習慣病の“悪者”扱いされることがある。しかし、これまで卵の摂取と疾患、とくに脂肪性肝疾患のリスクとの関連を分析した研究は乏しく、さらにその結果には一貫性がない。そこで、研究グループは、脂肪性肝疾患や高血圧症の発症リスクに対する卵摂取の影響を調査した。

胃がん1次治療のzolbetuximab、2試験の日本人サブグループ解析結果(SPOTLIGHT・GLOW)/日本臨床腫瘍学会

 CLDN18.2陽性、HER2陰性で、未治療の切除不能な局所進行または転移のある胃腺がん/食道胃接合部腺がん患者において、CLDN18.2を標的とするモノクローナル抗体zolbetuximabは日本において保険承認申請中であり、近日中の承認が見込まれている。この承認申請の根拠となった第III相SPOTLIGHT試験およびGLOW試験の日本人サブグループの解析結果が、第21回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2024)で発表された。

2型糖尿病のNAFLD、CVDや全死因死亡リスク増/BMJ

 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を併発した2型糖尿病(T2DM)患者では、NAFLDが軽症であっても、心血管疾患および全死因死亡のリスクが上昇する可能性があり、非NAFLDとグレード1 NAFLD、非NAFLDとグレード2 NAFLDの間の心血管疾患および全死因死亡のリスク差は、非T2DMよりもT2DMで大きいことが、韓国・CHA Bundang Medical CenterのKyung-Soo Kim氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2024年2月13日号に掲載された。  研究グループは、韓国のT2DM患者において、NAFLDが心血管疾患および全死因死亡のリスクに及ぼす影響を評価する目的で、全国規模の人口ベースの縦断的コホート研究を行った(特定の研究助成は受けていない)。

肝線維化の食い止めに、NASH治療アプリの国内第III相試験開始/CureApp

 いまだに治療法のない生活習慣病であるNASH(非アルコール性脂肪肝炎)の光明の一筋となるか―。CureAppは研究開発中の未承認医療機器であるNASH治療アプリ(以下、本アプリ)の国内第III相臨床試験を2024年1月より開始したことを2月20日の記者会見にて公表した。  本治験は、NASHと診断された患者のうち、生活習慣指導により治療効果が期待できると医師が判断した患者を対象に、治験実施医療機関にて本アプリを併用する診療群(介入群)と医師による生活習慣指導シートと体重記録シートを併用して診療する群(対照群)にわけて、登録後48週時点での有効性と安全性を検証する。主要評価項目は、登録後48週時点における肝線維化の増悪を伴わないNASHが改善した患者の割合(NASHからnon-NASHになった割合)。

ペムブロリズマブ+化学療法の胃がん1次治療、アジア人の成績(KEYNOTE-859)/日本臨床腫瘍学会

 ペムブロリズマブと化学療法の併用は、アジア人の胃がんの1次治療においてもグローバルと同様、良好な結果を示した。  切除不能または転移を有するHER2陰性胃・食道胃接合部腺がんの1次治療におけるペムブロリズマブと化学療法併用を検討した第III相KEYNOTE-859試験のアジア人サブセット解析の結果を、神戸市立医療センター中央市民病院の安井 久晃氏が、第21回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2024)で発表した。

PPIだけでない?P-CABでも胃がんリスク上昇か/東大病院ほか

 ピロリ菌除菌後の胃がん発症とプロトンポンプ阻害薬(PPI)との関連が報告されている。近年、PPIに替わってカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)が用いられているが、P-CABでもピロリ菌除菌者の胃がん発症リスクの上昇が認められたことが、新井 絢也氏(東京大学医学部附属病院 消化器内科)らによって、Clinical Gastroenterology and Hepatology誌オンライン版2024年2月12日号で報告された。  本研究では、約1,100万例の患者情報を有する大規模レセプトデータを用いて、ピロリ菌除菌後患者5万4,055例を抽出し、P-CABによる胃がん発症リスクを検討した。P-CABによる胃がん発症リスクの上昇の有無は、胃がん発症リスクと関連がないとされるヒスタミン2受容体拮抗薬(H2RA)を内服する患者を対照群(H2RA群)とし、傾向スコアマッチングを行うことで評価した。また、感度分析として、P-CABを内服する患者(P-CAB群)とPPIを内服する患者(PPI群)を比較した。

肝がん、乳がんが多い都道府県は?「がんの県民性」を知る

 企業でのがん対策を進めることを目的に厚生労働省が行うプロジェクト「がん対策推進企業アクション」は2月14日、プレス向けセミナーを行った。プロジェクトの推進役である東京大学特任教授の中川 恵一氏が「がんの県民性」をテーマに講演を行った。 ――世界中でも、国や人種によって多いがんと少ないがんがあるが、実は日本国内でも地域ごとに発生するがんの種類にバラツキがある。この要因はさまざまなものがあり、遺伝子、人口構成、食生活などが影響している。そして、最も大きな原因と考えられるのが、ウイルスの偏在と感染だ。