糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:178

〔CLEAR! ジャーナル四天王(82)〕 2型糖尿病患者に対して冠動脈カルシウム・スコアは有用な検査か?

 従来の冠危険因子の中でも糖尿病の危険度は高く、高血圧や脂質異常症の治療ガイドラインのリスク層別化でも糖尿病のリスク比重はより重く設定されている。すなわち、糖尿病である対象者は心血管疾患発症の一次予防よりも二次予防に近い治療管理の適応となる。このような状況で、糖尿病患者の中でもより高リスクのグループを同定できないかとの数多くの試みがなされている。

ペンニードル 32Gテーパーが内径を広くする改良を発表

 ノボ ノルディスク ファーマは4日、糖尿病治療や成長ホルモン治療などの自己注射に使用する「ペンニードル 32Gテーパー」を改良したと発表した。針の細さ(外径)を32G(ゲージ)に維持しつつ、内径を30Gの針と同程度に広くすることで、注入時に必要な力が約30%減少した。  ペンニードル 32Gテーパーは、2005年、世界で最も細いペン型注入器用注射針として発売された。ペンニードル 32Gテーパーは現在、インスリン製剤やGLP-1製剤、成長ホルモン製剤などの自己注射に使用されている。インスリン注射においては1日に数回注射する必要がある患者もいるため、自己注射の痛みを軽減する必要がある。そのためは針の細さが重要となるが、針を細くすることで強度が損なわれたり、内径が狭まることにより流入量が少なくなり、注入時に強い力が必要になったり、痛みが増したりする。同社ではペンニードル 32Gテーパーに2006年、針折れを防ぐために針の根元の構造を改良し、今回はさらに、内径を広くする改良を加えたという。

冠動脈石灰化スコア、2型糖尿病患者のリスク評価に有用/BMJ

 冠動脈石灰化(CAC)スコア≧10の2型糖尿病患者は、<10の患者に比べ全死因死亡および心血管イベントの複合転帰の発生リスクが有意に高いことが、カナダ・マウントサイナイ病院(トロント市)のCaroline K Kramer氏らの検討で示された。一般人口を対象とした大規模な前向き試験により、CACスコアは心血管イベントの発生を予測し、リスクの再評価に有用なことが示されているが、これらの試験の多くは糖尿病患者を除外しているため、2型糖尿病患者におけるCACスコアの役割は不明であった。糖尿病患者の心血管リスクは広範にわたることから、CACスコアの転帰予測能の評価が求められていた。BMJ誌オンライン版2013年3月25日号掲載の報告。

高力価スタチン服用者、急性腎障害による入院リスクが高い/BMJ

 慢性腎障害がみられない患者の場合、高力価スタチン服用者は低力価スタチン服用者に比べ急性腎障害による入院率が有意に高いことが、カナダ・ブリティッシュ・コロンビア大学のColin R Dormuth氏らの検討で示された。スタチンの腎臓に対する有害作用の可能性を示唆する研究がいくつかあるが、スタチンによる急性腎障害に関する検討はこれまで行われていなかったという。BMJ誌オンライン版2013年3月20日号掲載の報告。

抗精神病薬多剤併用による代謝関連への影響は?

 統合失調症患者の治療において、2剤以上の抗精神病薬を併用することは少なくない。しかし、多剤併用による治療は単剤治療と比較し、副作用発現率の上昇などデメリットも大きい。このデメリットには、耐糖能異常やインスリン抵抗性などの薬剤性代謝関連の副作用も多く含まれるが、その生理メカニズムは十分に解明されていない。Heidi N. Boyda氏らは、抗精神病薬の多剤併用と代謝関連副作用との関係を検討するにあたり、動物実験での結果が実臨床に結び付くかを検証した。Experimental and clinical psychopharmacology誌オンライン版2013年1月28日号の報告。

SSRI、インスリン抵抗性から糖尿病への移行を加速!

 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の長期使用では、肥満症および糖尿病のリスク増大が知られているが、これまで、SSRIがインスリン抵抗性の直接的な誘発因子であるのかといった病態生理学的意義については、ほとんど明らかとなっていなかった。今回、イスラエル・ワイツマン科学研究所のRoi Isaac氏らによるマウス試験の結果、SSRIが膵臓のβ細胞におけるインスリン・シグナル伝達を直接的に阻害している所見が示された。著者は、「SSRIはインスリン抵抗性の状態から顕性糖尿病への移行を加速している可能性がある」と結論している。