循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:172

乳製品摂取増加が死亡・心血管リスク低下と関連/Lancet

 低・中所得国21ヵ国を対象とした多様な多国籍コホート研究において、乳製品の摂取が、死亡および主要心血管疾患イベントの低下と関連することが明らかにされた。カナダ・マックマスター大学のMahshid Dehghan氏らが、Lancet誌オンライン版2018年9月11日号で発表した。全脂肪乳製品は飽和脂肪の源であり、血液脂質に悪影響を与え、心血管疾患や死亡を増大すると思われているが、この懸念に関するエビデンスは弱く、また、これまで低所得国および中所得国の健康への乳製品消費の影響に関するデータはほとんど入手できていなかったという。

スタチンによる高齢者のCVイベント1次予防 DM vs.非DM/BMJ

 スタチンは、非2型糖尿病の75歳以上の高齢者の1次予防では、アテローム動脈硬化性心血管疾患および全死因死亡を抑制しないのに対し、2型糖尿病の75~84歳の高齢者の1次予防では、これらの発生を有意に低減することが、スペイン・ジローナ大学のRafel Ramos氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2018年9月5日号に掲載された。スタチンは、75歳以上の高齢者の2次予防において、心血管イベントや心血管死の抑制効果が確立されており、最近の数十年で高齢者への処方が増加しているが、とくに85歳以上の高齢者の1次予防における有効性のエビデンスは不十分だという。

禁煙は「徐々に」でなく「一気に」の裏付け/JAMA

 喫煙者において、タバコのニコチン含有量を即時に減らすほうが、緩徐に減らすよりも、喫煙毒性曝露バイオマーカー値の低下は一貫して有意に大きいことが明らかにされた。また、緩徐に減量した場合とニコチン含有量を減量しなかった場合の同マーカー値には、有意差がなかった。米国・ミネソタ大学のDorothy K. Hatsukami氏らによる二重盲検無作為化並行群間比較試験の結果で、JAMA誌2018年9月4日号で発表された。米国内で販売されているすべてのタバコについて、ニコチン含有量を最小限または中毒性のないレベルにまで減量するための最適な時間的アプローチは、これまで検証されていなかったという。

『減塩パラドックス』Revisit! Populationか、Communityか、Individualか?(解説:石上友章氏)-920

カナダ・マックマスター大学のAndrew Mente氏らの論文。PURE試験の臨床アウトカムと、推定食塩摂取量・推定カリウム摂取量との関連を解析した研究である。食塩の過剰摂取は、高血圧のリスクになり、ひいては心血管イベントのリスクになると信じられているが、本試験の結果は必ずしも定説を支持するものではなかった。顧みれば、本連載(90)の否定された『減塩パラドックス』―降圧の基本は、やはり減塩。での議論が、再び蒸し返されるような事態になるかもしれない。

中国で開発、生分解性ポリマーDESの有効性は?/Lancet

 ステント留置を要する心筋虚血患者において、中国で開発された新たな生分解性ポリマー薬剤溶出性ステント(DES)であるFIREHAWKは、標準ステントであるXIENCE(耐久性ポリマー、エベロリムス溶出)に対し、標的病変不全およびステント内晩期血管径損失が非劣性であることが、米国・イエール大学のAlexandra Lansky氏らが実施した「TARGET All Comers試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2018年9月3日号に掲載された。FIREHAWKのステントプラットフォームは、薄型ストラット・コバルトクロム合金製で、完全生分解性のポリマーから低用量のシロリムスが溶出される。ステント表面に限局性の反管腔側溝を有し、ポリマーの負荷を最小化して血管壁の薬剤濃度が低くなるようデザインされており、これによって抗再狭窄効果と血管治癒効果が最適化され、炎症反応が最小化するという。

院外心停止の気道確保、声門上気道デバイスは有効か/JAMA

 院外心停止の最適な気道管理法は確立されていないという。英国・University of the West of EnglandのJonathan R. Benger氏らAIRWAYS-2試験の研究グループは、院外心停止患者への声門上気道デバイス(SGA)による管理は、気管挿管(TI)と比較して、30日時の機能的アウトカムを改善しないことを示し、JAMA誌2018年8月28日号で報告した。SGAの挿入手技は、TIよりも簡便で迅速に施行可能であり、習熟に要する訓練も少ないため、継続的に臨床で用いられている。観察研究では、TIのほうが延命効果に優れる可能性が示唆されているが、院外心停止の気道管理の最適なアプローチを同定するために、大規模な無作為化試験の実施が求められていた。

小血管で良好な前拡張が得られればDCBはDESと同等に優れる(解説:上田恭敬氏)-919

直径3mm未満の小血管に対するPCIにおいて、良好な前拡張が得られた症例を対象として、12ヵ月のMACE(cardiac death, non-fatal myocardial infarction, and target-vessel revascularization)を主要評価項目とした、DCBのDESに対する非劣性を示すためのRCTの結果が報告された。DCB群に382症例、DES群に376症例が無作為に割り付けられた。

責任病変のみのPCIで心原性ショックを伴うAMIの転帰は?/NEJM

 心原性ショックを伴う急性心筋梗塞(AMI)患者において、責任病変のみに経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行した患者のほうが多枝血管PCIを施行した患者より、30日時点の死亡/腎代替療法のリスクが低く、1年後も両群で死亡率に差はないことが、CULPRIT-SHOCK試験の1年追跡結果で明らかとなった。ドイツ・ライプチヒ大学のHolger Thiele氏らが報告した。同試験では、30日複合リスク(死亡または腎代替療法を要する重症腎不全)について、即時多枝血管PCIより責任病変のみのPCIで低いことが示されていた。NEJM誌オンライン版2018年8月25日号掲載の報告。