循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:122

弁膜症治療のガイドライン、8年ぶり改訂/日本循環器学会

 日本循環器学会は2020年3月13日、「2020年改訂版 弁膜症治療のガイドライン」を学会ホームページで公開した。診断や薬物治療も含めて弁膜症における診療全体に言及するとの意味から、これまでの「弁膜疾患の非薬物治療に関するガイドライン」(2012年に一部改訂版が発行)から名称が変更され、全面改訂が行われている。  僧帽弁閉鎖不全症(MR)については、新たに心房性機能性MRの概念が導入されたほか、重症一次性MRの手術適応の判断において、日本独自の参考値が示された。

糖代謝異常者の循環器病診療、2学会合同でステートメントを作成

 日本循環器学会(代表理事:小室 一成)と日本糖尿病学会(理事長:門脇 孝)は、合同で『糖代謝異常者における循環器病の診断・予防・治療に関するコンセンサスステートメント』を作成、発刊した。本ステートメントは、糖尿病と循環器病の密接な関連に鑑み、その病態、治療、予後に関する国内外の最新のエビデンスを踏襲し、双方の専門医が情報共有および相互理解のための指針、さらには両診療科間の紹介基準の提供といった幅広い臨床場面での利活用を想定している。

冠動脈疾患における抗血栓療法にフォーカスしたガイドラインを公開/日本循環器学会

 日本循環器学会は2020年3月13日、「2020年JCSガイドライン フォーカスアップデート版 冠動脈疾患患者における抗血栓療法」を学会ホームページに公開した。本ガイドラインは、2019年に発表された「急性冠症候群ガイドライン(2018 年改訂版)」と「安定冠動脈疾患の血行再建ガイドライン(2018年改訂版)」の2つのガイドラインの抗血栓療法に関して、発表後に多くの重要なエビデンスや新たな概念が発表されたことから、この内容にのみ焦点を当て作成された。

動脈硬化リスクの早期発見、見過ごしがちな値とは/日本動脈硬化学会

 動脈硬化と悪玉コレステロール増加の結びつきをよく知っている患者でも、TG(トリグリセライド、中性脂肪)値の増加は肥満者だけのものと捉えてはいないだろうかー。2020年2月21日、日本動脈硬化学会はプレスセミナー「食後高脂血症と動脈硬化」を開催。増田 大作氏(りんくうウェルネスケア研究センター センター長)が「食後高脂血症」について、矢作 直也氏(筑波大学医学医療系 准教授)が「糖尿病と動脈硬化」について講演した。

毎日1個の卵、アジア人は心血管疾患リスク低下の可能性/BMJ

 卵の中等度の消費(最大1日1個まで)は、心血管疾患全般のリスクを増加させず、アジア人ではむしろリスクを低下させる可能性があることが、米国・ハーバード公衆衛生大学院のJean-Philippe Drouin-Chartier氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2020年3月4日号に掲載された。卵の消費と心血管疾患リスクの関連は、この10年間、激しい議論を呼ぶ主題となっているが、これまでに得られた知見では結論が出ていないという。  研究グループは、卵の摂取と心血管疾患リスクの関連を評価する目的で前向きコホート研究を行い、この研究結果を含めたアップデートメタ解析を実施した(米国国立衛生研究所[NIH]などの助成による)。

魚油サプリ、全死因死亡と心血管疾患死リスクを低下/BMJ

 魚油サプリメントの摂取は、全死因死亡および心血管疾患(CVD)死亡のリスク低下と関連し、一般集団においてCVDイベントに対して最低限の有益性をもたらす可能性があることが示された。中国・南方医科大学のZhi-Hao Li氏らが、大規模前向きコホート研究の結果を報告した。魚油サプリメントは、英国やその他の先進国でよく用いられており、最近の無作為化比較試験13件を対象としたメタ解析で、オメガ3脂肪酸サプリメントと比較して、わずかではあるが有意なCVDの予防効果が示唆された。ただし無作為化試験での魚油サプリメント摂取は、理想的な管理下で評価されたものであり、結果を大規模かつ多様な集団に一般化することは難しいことから、研究グループは、リアルライフ設定での大規模コホート研究で評価を行った。BMJ誌2020年3月4日号掲載の報告。

Impellaは心原性ショックを伴う急性心筋梗塞に対するPCI症例の循環補助にIABPよりも有効か有害か?:入院死亡率と出血合併症率の比較検討(解説:許俊鋭 氏)-1200

Impellaは2008年に米国FDAの製造販売承認を得たが、当初の適応は重症PCIの補助(Supported PCI)であった。日本では米国治験データでIABPとの比較においてImpellaの優位性が認められず、Supported PCIを適応とせず、2012年に心原性ショック(CS)に対するカテーテル型補助人工心臓としての適応で検討されたが、承認には至らなかった。2016年に米国でImpellaのCS適応が承認され、2017年に日本でもCS適応で保険償還された。しかし、急性心筋梗塞(AMI)に起因したCSに対するImpellaの適応や有効性については異論も多々あり、本Dhruva論文(Dhruva SS, et al. JAMA. 2020 Feb 10. [Epub ahead of print])もその代表的な1つである。

経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVR)と外科的大動脈弁置換術(SAVR)の5年の治療成績はどちらが優れているか?(解説:許俊鋭 氏)-1199

TAVRとSAVRの大規模前向き無作為化試験であるPARTNER cohort Aでは、高度外科手術リスク症例に対する5年死亡率でTAVRのSAVRに対する非劣性(67.8% vs.62.4%、p=0.76)が示され(Mack MJ, et al. Lancet. 2015;385:2477-2484.)、CoreValveでは1年死亡率(14.2% vs.19.1%、p=0.04)においてTAVRの優位性が示された(Adams DH, et al. N Engl J Med. 2014;370:1790-1798.)。両者の血行動態の比較でTAVRのほうがSAVRよりも体表面積補正を行った有効弁口面積(iEOA)は大きく、prosthesis-patient mismatch(PPM)の発生率は小さいが、一方、大動脈弁周囲逆流が高率にみられる(Hahn RT, et al. J Am Coll Cardiol. 2013;61:2514-2521.)ことから、長期予後の検討は今日的検討課題と考えられる。

高血圧患者以外でもナトリウム摂取量削減に応じて血圧低下/BMJ

 食事からのナトリウム(塩分)摂取量の削減による血圧の低下には、強力な用量反応関係がみられ、降圧効果は高齢者や非白人、血圧が高い集団で大きいことが、オーストラリア・シドニー大学のLiping Huang氏らの検討で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2020年2月25日号に掲載された。ナトリウム摂取量が多いほど血圧が上昇することは、広範なエビデンスによって示されている。一方、高血圧患者では、血圧に及ぼすナトリウム摂取量削減の効果は明らかだが、他の集団での効果は不確実であり、介入期間の影響も十分には解明されていないという。

脳梗塞へのtenecteplase、投与量で改善の違いは?/JAMA

 主幹動脈閉塞の脳梗塞患者において、tenecteplaseの投与量0.40mg/kgは同0.25mg/kgと比較し、血栓除去術施行前の脳再灌流を改善しなかった。オーストラリア・メルボルン大学のBruce C. V. Campbell氏らが、同国27施設およびニュージーランドの1施設で実施した多施設共同無作為化臨床試験「EXTEND-IA TNK Part 2試験」の結果を報告した。先行して行われたEXTEND-IA TNK試験において、同様の脳梗塞患者に対するtenecteplaseによる血栓溶解療法はアルテプラーゼと比較し、血栓除去術施行前の再灌流を改善することが示されていた。JAMA誌オンライン版2020年2月20日号掲載の報告。