循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:120

血行再建術後のPAD患者へのリバーロキサバン併用は?/NEJM

 下肢血行再建術を受けた末梢動脈疾患(PAD)患者において、リバーロキサバン+アスピリン併用療法はアスピリン単独療法と比較して、急性下肢虚血・血管疾患による大切断・心筋梗塞・虚血性脳卒中・心血管死の複合エンドポイントの発生率を有意に抑制したことが報告された。ただし、Thrombolysis in Myocardial Infarction(TIMI)分類による大出血の発生率は両群間で有意差はなく、国際血栓止血学会(ISTH)分類による大出血の発生率は、アスピリン単独療法と比較してリバーロキサバン+アスピリン併用療法で有意に上昇した。米国・Colorado Prevention Center(CPC)Clinical ResearchのMarc P. Bonaca氏らが、日本を含む世界34ヵ国の542施設で実施した第III相二重盲検比較試験「VOYAGER PAD試験」の結果を報告した。下肢血行再建術を受けたPAD患者は主要有害下肢/心血管イベントのリスクが高いが、このような患者におけるリバーロキサバンの有効性と安全性は不明であった。NEJM誌オンライン版2020年3月28日号掲載の報告。

血栓回収療法前の再灌流に対するtenecteplase増量の効果(解説:中川原譲二氏)-1214

EXTEND-IA TNK試験において、tenecteplase 0.25mg/kgによる血栓溶解療法は、アルテプラーゼと比較し、脳梗塞患者に対する血栓除去術施行前の再灌流を改善することが示された。これを受けて、EXTEND-IA TNK Part 2試験は、tenecteplase 0.40mg/kgが、0.25mg/kgと比較して、血栓除去術施行前の脳再灌流を改善するかどうか確定することを目的に行われた。本試験は、オーストラリアとニュージーランドの27施設で、2017年12月~2019年7月の期間に登録された患者に対し非盲検下で治療を行い、画像診断および臨床転帰の評価は盲検下で実施した無作為化臨床試験である。対象は、標準的な静脈血栓溶解療法の適格基準である発症後4.5時間未満で内頸動脈/中大脳動脈/脳底動脈の閉塞を有する脳梗塞成人患者300例とした。tenecteplase 0.40mg/kg(最大40mg)群(150例)または0.25mg/kg(最大25mg)群(150例)に無作為化し、それぞれ血管内血栓除去術の前に投与した。

新型コロナで7都府県の健診中断へ/日本人間ドック学会

 2020年4月10日、日本人間ドック学会(理事長 篠原 幸人氏)は健診現場での感染拡大を防ぐため、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に係る緊急事態宣言を踏まえた人間ドック健診等における対応について」を通知した。  7都府県を対象とした「緊急事態宣言」が4月7日~5月6日まで発出されたことにより、国の定める法定健診(特定健康診査・特定保健指導、労働安全衛生法に基づく一般健康診断、学校保健安全法に基づく児童生徒等及び職員の健康診断)は、4月中の実施が見送られる。通知には以下の協力事項が記載されている。

HFrEFへの経口sGC刺激薬、複合リスクを有意に低下/NEJM

 左室駆出率(LVEF)が低下したハイリスクの心不全患者に対し、新しい経口可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激薬vericiguatの投与はプラセボと比較して、心血管死または心不全による入院の複合イベントリスクを有意に低下することが示された。カナダ・アルバータ大学のPaul W. Armstrong氏らが、5,050例を対象に行った第III相プラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果で、NEJM誌オンライン版2020年3月28日号で発表した。LVEFが低下し直近に入院または利尿薬静注を受ける心不全患者におけるvericiguatの有効性は明らかになっていなかった。

腎デナベーション、降圧薬非投与の高血圧に有効/Lancet

 降圧薬治療を受けていない高血圧患者の治療において、カテーテルを用いた腎神経焼灼術(腎デナベーション)は偽手術と比較して、優れた降圧効果をもたらし、安全性も良好であることが、ドイツ・ザールラント大学のMichael Bohm氏らの検討(SPYRAL HTN-OFF MED Pivotal試験)で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2020年3月29日号に掲載された。カテーテルを用いた腎デナベーションは、腎神経の焼灼を介して交感神経活性を抑制することで血圧を低下させる治療法。初期の概念実証研究では降圧効果が観察されているが、血圧がコントロールされていない患者を対象とした無作為化偽対照比較試験では、ベースラインに比べ有意な降圧効果を認めたものの、対照との間には差がなかったと報告されている。

コレステロール降下薬のCutting Edge(解説:平山篤志氏)-1215

1994年にシンバスタチンの投与により心血管死亡が減少するという4S試験の報告以来スタチンによるコレステロール低下は動脈硬化性疾患の発症抑制、とくに冠動脈疾患の発症リスクを低下させてきた。しかし、最大量の強力なスタチンを用いてもコレステロール低下効果には限界があり、残余リスクの一因であった。コレステロール吸収阻害薬エゼチミブ、そしてPCSK9阻害薬の登場により、スタチンの限界を超えてコレステロールを低下することが可能となり、それに伴い心血管イベントの減少がもたらされた。しかし、薬剤の服用中止により、心血管イベントが増加することから、継続的な治療が必要であり、アドヒアランスをいかに維持するかが重要である。

進行性腎障害伴う安定冠動脈疾患に侵襲的戦略は有効か/NEJM

 進行性腎障害を伴う安定冠動脈疾患で、中等度~重度の虚血を呈する患者の治療において、侵襲的戦略は保存的戦略に比べ、死亡および非致死的心筋梗塞のリスクを低減しないことが、米国・ニューヨーク大学のSripal Bangalore氏らの検討(ISCHEMIA-CKD試験)で示された。研究の詳細は、NEJM誌オンライン版2020年3月30日号に掲載された。安定冠動脈疾患患者における血行再建術の効果を評価する臨床試験では、通常、進行性の慢性腎臓病患者は除外される。また、1992年の腎移植候補の患者26例の無作為化試験では、血行再建術は薬物療法に比べ心血管死および心筋梗塞のリスクが低いと報告されているが、この30年間で、これらの治療法は劇的に進歩しており、あらためて侵襲的戦略の有益性の検証が求められている。

下肢非大手術後のVTE予防、リバーロキサバンが有効/NEJM

 下肢の整形外科非大手術を受けた患者では、固定期間中の静脈血栓塞栓症イベントの予防において、リバーロキサバンはエノキサパリンに比べ有効性が優れることが、フランス・パリ大学コシャン病院のC. Marc Samama氏らの検討「PRONOMOS試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2020年3月29日号に掲載された。下肢の整形外科非大手術後は、一過性に移動能力が低下するため、患者には静脈血栓塞栓症のリスクが生じる。直接作用型第Xa因子阻害薬リバーロキサバンは、エノキサパリンと比較して、選択的人工膝関節全置換術または人工股関節全置換術後の症候性静脈血栓塞栓症と全死因死亡の複合のリスクが低いと報告されている。

今年の学術集会はいつ開催されるのか?

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、3月以降多くの学術集会が延期または開催方式の変更を余儀なくされている。  一例をあげると日本整形外科学会学術総会、日本産科婦人科学会学術講演会、日本眼科学会総会、日本医学放射線学会総会、日本麻酔科学会年次学術集会、日本プライマリ・ケア連合学会学術大会などはすでにオンライン(WEB)開催を表明するなど動きをみせている。そのほか、今後のCOVID-19の拡大状況によっては、さらなる延期や従来の会合方式の見直しなどが検討されている。

DAPA-HF試験、非2型DMのHFrEFにもダパグリフロジンが有効/JAMA

 糖尿病(DM)の有無にかかわらず左室駆出率(LVEF)が低下した心不全(HFrEF)患者において、推奨治療へのダパグリフロジンの追加はプラセボと比較し、糖尿病の状態とは関係なく心不全増悪または心血管死のリスクを有意に低下させることが認められた。英国・グラスゴー大学のMark C. Petrie氏らが、20ヵ国410施設で実施した無作為化二重盲検第III相試験「DAPA-HF試験」の探索的解析結果を報告した。HFrEFに対する新たな治療が必要とされている中、選択的ナトリウム・グルコース共役輸送体2(SGLT2)阻害薬は、非DM患者であってもHFrEFに対する治療薬として有効である可能性が示唆されていた。JAMA誌オンライン版2020年3月27日号掲載の報告。