救急科の海外論文・最新ニュースアーカイブ

制限輸液/早期昇圧薬は、敗血症性ショックの生存を改善するか/NEJM

 Surviving Sepsis Campaignなどの国際的なガイドラインでは、敗血症による低血圧が確認されてから3時間以内の体重1kg当たり少なくとも30mLの静脈内輸液を弱く推奨しているが、昇圧薬投与の開始時期については具体的な推奨を行っていないという。オーストラリア・モナシュ大学のSandra L. Peake氏らは「ARISE FLUIDS試験」において、敗血症性ショックで救急診療部を受診した成人患者では、輸液量を制限し早期に昇圧薬を投与するアプローチは、輸液量を多くし昇圧薬の投与を遅らせるアプローチと比較して、90日時点での非入院生存日数の増加にはつながらないことを示した。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2026年6月11日号で報告された。

急性感染症患者の鉄欠乏性貧血、鉄剤は投与する?/Blood

 鉄欠乏性貧血に対する静注鉄は速やかな鉄補充が期待できるが、急性感染症患者の場合は、病原体への鉄供給により感染を悪化させる可能性が懸念されている。そこで、米国・Charleston Area Medical CenterのHaris Sohail氏らは、鉄欠乏性貧血を有する急性感染症患者を対象に、静注鉄投与と生存、ヘモグロビン(Hb)値の回復などとの関連を検討した。その結果、静注鉄投与は検討したすべての感染症で14日および90日生存率の上昇と、Hb値の良好な回復に関連していた。本研究結果は、Blood誌2026年5月21日号に掲載された。

高齢の糖尿病を有する人の薬物治療の限界はどこか/日本糖尿病学会

 第69回日本糖尿病学会年次学術集会(会長:下村 伊一郎氏[大阪大学大学院医学系研究科 内分泌・代謝内科学 教授])が、5月21~23日の日程で、大阪国際会議場、リーガロイヤルホテル大阪をメイン会場に開催された。  今回の学術集会は「IMAGINE いのち輝く 糖尿病の医療・医学を共に目指して」をテーマに、41のシンポジウム、143の口演、ポスターセッション、会長特別企画による講演、特別企画「糖尿病とともに生活する人々の声をきく」などが開催された。

MSSA菌血症、セファゾリンは抗ブドウ球菌ペニシリンに非劣性/NEJM

 メチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)菌血症患者において、90日死亡率に関して抗ブドウ球菌ペニシリン(flucloxacillinまたはクロキサシリン)に対するセファゾリンの非劣性が認められ、急性腎障害の発生率はセファゾリンで低かった。カナダ・マギル大学のTodd C. Lee氏らStaphylococcus aureus Network Adaptive Platform(SNAP)Trial Groupが、多施設共同無作為化非盲検非劣性試験「SNAP試験」の結果を報告した。黄色ブドウ球菌菌血症は死亡率が高い。MSSA菌血症の治療において、セファゾリンと抗ブドウ球菌ペニシリンのどちらが望ましいかは明らかになっていなかった。NEJM誌2026年6月18日号掲載の報告。

病院機能集約化の賛否は年代・病床数・診療科で異なる?/医師1,000人アンケート

 地域医療構想に基づき、地域内に点在している複数の病院が有する特定の医療機能を拠点となる一部の病院に集め、医療資源を効率的に配置する病院機能の集約化が進められている。それにより、医療の質の維持・向上や、医療者の労働環境の改善が期待されるが、集約化の対象となる診療科に勤務する医師は好意的に捉えているのか。CareNet.comでは、20床以上の病院の内科、外科、小児科、産婦人科、腫瘍科、救急科勤務の医師1,000人を対象に「医療機関の経営状況や病院機能の集約化」に関するアンケートを行った(実施日:2026年5月18~19日)。

NY市のカビ対策プログラムで喘息による救急外来の受診が25%減

 ニューヨーク市が実施したカビ対策プログラムによって、公営住宅の住民の間で喘息関連の救急外来(ED)受診数が減少したことが、新たな研究で示された。ニューヨーク市では2019年、集合住宅内のカビを原因とする喘息に苦しんでいた住民らが集団訴訟を起こしたことを受け、カビ対策プログラム「カビバスターズ(Mold Busters)」を構築した。研究を実施した米テキサス大学オースティン校のNina Flores氏らによると、同プログラムによって喘息関連のED受診数が25%減少したという。この研究は、米国胸部学会年次学術集会(ATS 2026、5月15~20日、オーランド)で発表された。

慢性期外傷性脳損傷に初の再生医療 バンデフィテムセル発売/サンバイオ

 サンバイオが開発した細胞治療薬バンデフィテムセル(商品名:アクーゴ)が慢性期外傷性脳損傷(TBI)の治療に承認・発売された。2026年6月に行われた「アクーゴ脳内移植用注発売メディアセミナー」で紹介された基礎と臨床の専門家の知見を詳報する。  再生医療においては幹細胞が非常に大きな役割を果たす。幹細胞には体を構成するほぼすべての組織に分化可能な多能性幹細胞(iPS細胞やES細胞)と一定の限られた細胞種に分化する体性幹細胞(間葉系幹細胞、造血幹細胞、神経幹細胞など)がある。体性幹細胞は生体組織に存在するため、選択的に増やすあるいは分離することで再生医療に活用できる。

遺伝性血管性浮腫の疾患認知はまだ不十分/CSLベーリング

 CSLベーリングは、5月16日の「HAE Day」によせて都内でメディアセミナーを開催した。  HAEは、生まれつき血液中にあるタンパク質C1インヒビター(C1-INH)の不足・機能低下が原因で浮腫を生じる疾患。指定難病に認定され、皮膚や腹部(腸)など、全身に浮腫が生じ、とくに咽喉で腫れると呼吸困難に陥り、命に関わるケースもある。わが国には、診断・治療中の患者は430人前後であり、未診療の患者も相当数がいると推定されている。また、海外のデータでは、人口50,000人に1人の割合で患者がいるとされる。なお、同社ではHAEの急性発作の発症抑制薬として、ヒト抗活性化第XII因子モノクローナル抗体製剤ガラダシマブ(商品名:アナエブリ)を発売している。

HSV脳炎後の自己免疫性脳炎に注意、2026年GLでフロー新設/日本神経学会

 2026年3月、『細菌性髄膜炎診療ガイドライン2014』と『単純ヘルペス脳炎診療ガイドライン2017』を統合した『細菌性髄膜炎・単純ヘルペス脳炎診療ガイドライン2026』(日本神経学会・日本神経感染症学会監修、南江堂)が発刊された。  5月20~23日に開催された第67回日本神経学会学術大会の生涯教育セミナーにおいて、本ガイドライン作成委員会委員長を務めた中嶋 秀人氏(日本大学医学部内科学系神経内科学分野 主任教授)が「細菌性髄膜炎・単純ヘルペス脳炎診療ガイドライン2026の改訂のポイント」と題して講演を行った。講演レポートとして、「細菌性髄膜炎」を取り上げた前編に続き、後編では「単純ヘルペス脳炎」、そしてガイドライン外の重要なトピックである「水痘・帯状疱疹ウイルス中枢神経感染症」について紹介する。

細菌性髄膜炎・HSV脳炎GL改訂、経験的治療の薬剤選択を見直し/日本神経学会

 2026年3月、『細菌性髄膜炎診療ガイドライン2014』と『単純ヘルペス脳炎診療ガイドライン2017』を統合した『細菌性髄膜炎・単純ヘルペス脳炎診療ガイドライン2026』(日本神経学会・日本神経感染症学会監修、南江堂)が発刊された。今回の改訂では、ワクチン定期接種化による起炎菌の変遷、薬剤耐性菌の動向、FilmArray髄膜炎・脳炎パネルに代表される遺伝子検査の普及などを反映し、初期治療から退院後のフォローアップに至る一連の流れが大幅に刷新されている。