呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:99

コロナ重症化リスクを低減、パキロビッドパック第II/III相試験結果/NEJM

 重症化リスクがあるワクチン未接種の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)成人患者に対し、ニルマトレルビル+リトナビル(商品名:パキロビッドパック)はプラセボと比較し、入院または死亡のリスクを約89%低下させ、安全性に明らかな懸念は認められなかった。米国・ファイザー社のJennifer Hammond氏らが、国際共同第II/III相プラセボ対照無作為化二重盲検試験「EPIC-HR試験」の結果を報告した。ニルマトレルビルは、経口投与可能なSARS-CoV-2のメインプロテアーゼ(Mpro)阻害剤で、in vitroにおいて幅広い種類のコロナウイルスに対し強力なMpro阻害活性およびウイルス複製阻害作用を示し、マウスモデルにおいて経口投与により肺のSARS-CoV-2力価がプラセボに比べ有意に低下することが示されていた。NEJM誌オンライン版2022年2月16日号掲載の報告。

小型非小細胞肺がんの術式 区域切除vs.肺葉切除(JCOG0802/WJOG4607L)/日本臨床腫瘍学会

 小型(2cm以下)末梢非細胞肺がん(NSCLC)における区域切除と肺葉切除を比較した無作為化非劣性比較試験が実施され、区域切除の非劣性が示された。  現在は、2cm以下のNSCLCにおいても標準外科療法は肺葉切除である。より切除範囲の小さい区域手術は呼吸機能を温存できるため、小型NSCLCに適用できれば恩恵は大きいとされる。しかし、両群を比較した無作為化試験は行われていなかった。

COVID-19入院患者へのロナプリーブ、血清抗体の有無で有効性に差/Lancet

 COVID-19入院患者において、カシリビマブ・イムデビマブ(商品名:ロナプリーブ)の抗体カクテル療法は、血清陰性患者(液性免疫反応が起きていなかった患者)の28日死亡率を低下させたが、血清陽性患者の28日死亡率は低下しなかった。無作為化非盲検対照プラットフォーム試験「RECOVERY試験」の結果を、英国・オックスフォード大学のPeter W. Horby氏らRECOVERY試験共同研究グループが報告した。カシリビマブ・イムデビマブは、SARS-CoV-2スパイクタンパク質の受容体結合ドメイン上にあるそれぞれ異なる部位に非結合的に結合することにより、SARS-CoV-2の宿主細胞への侵入を阻害するモノクローナル抗体で、COVID-19外来患者における有効性が報告されていた。Lancet誌2022年2月12日号掲載の報告。

国内オミクロン株感染者139例の臨床的特徴/感染研

 国立感染症研究所は、国内におけるオミクロン株の疫学的・臨床的特徴を迅速に把握することを目的として、検疫および国内にて初期に探知されたオミクロン株症例について、積極的疫学調査を行った。18日、第5報として収集されたすべての結果が報告された。 【対象症例】  2021年11月29日~2022年1月12日までに本調査の協力医療機関に入院し診療を行った新型コロナウイルス感染者の中から、ゲノム解析によりオミクロン株感染が確定した139例。 【調査方法】  退院後に調査票を用いて、基本情報、渡航情報、ワクチン接種歴、基礎疾患、入院時のバイタルサイン・臨床症状、入院期間中に観察された臨床症状、合併症、入院中の治療、入院経過・退院時転帰などの情報を収集し、疫学的記述を行った。

LINEチャットボットでコロナの隔離期間を自動計算

 新型コロナワクチンに関する情報提供を行う医師らが組織する「一般社団法人コロワくんサポーターズ」は提供するLINEボットサービス(関連記事:副反応は大丈夫?新型コロナワクチンの疑問に答えるLINEボット)の新機能として「コロナ待機期間 自動計算システム」を追加した。  これまでワクチン接種の対象者や副反応の不安に対し、チャットボット機能を使った情報提供をしてきたが、今回の新機能は「コロナ陽性者・濃厚接触者」「症状あり・なし」「陽性判定日」等の情報を入れることで隔離解除日を自動計算して教えてくれる。利用はLINE上で「コロワくんの相談室」を検索して友達追加するだけ、と簡便だ。

コロナ感染での獲得免疫、ワクチン接種で1年以上持続/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンのSARS-CoV-2感染予防効果について、英国・Health Security AgencyのVictoria Hall氏らが、医療従事者約3万6,000例を対象に行った前向きコホート試験の結果、BNT162b2(Pfizer-BioNTech製)の2回接種の有効率はChAdOx1 nCoV-19(AstraZeneca製)と比べて高率だが短期間であり、6ヵ月を過ぎると大きく低下することが示された。また、感染者の獲得免疫は、感染後1年で減衰するものの、ワクチン接種によって1年以上高率のままであることも示された。NEJM誌オンライン版2022年2月16日号掲載の報告。  SARS-CoV-2への感染とワクチン接種による免疫獲得と感染予防の期間と有効性を明らかにするため、研究グループは、英国内でルーチンのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査を受けていた医療従事者3万5,768例を対象に前向きコホート試験を行った。  ワクチン初回接種から10ヵ月以内のワクチン有効性と、既感染による獲得免疫について、感染確定者のワクチン接種の有無別、また既感染で階層化することで評価した。  既感染の有無、ワクチンの種類と接種間隔、人口統計学的特性、および職場におけるSARS-CoV-2曝露で補正を行ったCox回帰モデルを用いて評価した。

IPF合併肺がんに対するニンテダニブ+化学療法(J-SONIC)/日本臨床腫瘍学会

 特発性肺線維症(IPF)は高率に肺がんを合併する。IPF合併肺がんの大きな問題はIPFの急性増悪であり、ときに急速な呼吸不全から致死的となる。しかし、IPF合併例は進行非小細胞肺がん(NSCLC)の臨床試験のほとんどで除外されている。  北九州市立医療センターの大坪孝平氏らは、IPF合併進行NSCLCに対し、ニンテダニブ+化学療法と化学療法単独を比較したJ-SONIC試験を、わが国の複数の臨床試験グループ間で行った。J-SONIC試験はIPF合併肺がんでは、世界初となる第III相無作為化比較試験である。

アテゾリズマブによるNSCLCアジュバント アジア人の成績(IMpower010)/日本臨床腫瘍学会

 完全切除非小細胞肺がん(NSCLC)における化学療法アジュバント後のアテゾリズマブを評価した無作為化第III相非盲検試験IMpower010のアジア人解析を、静岡県立静岡がんセンターの釼持広知氏が第19回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2022)で発表。全体集団と同じく、アジア人集団でもアテゾリズマブの良好な成績が示された。 ・対象:Stage IB~IIIAで術後化学療法(プラチナ+ペメトレキセド/ドセタキセル/ゲムシタビン/ビノレルビン)、21日ごと最大4回サイクル)受けた完全切除NSCLC患者(ECOG PS 0~1) ・試験群:アテゾリズマブ1,200mg/日 3週ごと16サイクル(Atezo群) ・対照群:ベストサポーティブケア(BSC群) ・評価項目 [主要評価項目]治験責任医評価の無病生存期間(DFS)と全生存期間(OS)

オンライン?現地?学会参加状況と今年の開催希望/会員医師アンケート

 新型コロナウイルス感染流行の影響で、この2年あまり、学術集会はオンライン・ハイブリッド形式での開催が主流になっている。オンライン化によって医師の学術集会への参加状況は変わったのか。2020年の調査(急増するオンライン学会、参加経験と満足度は?/医師1,000人に聞きました)に引き続き、会員医師1,000人に昨年の参加状況や今年以降に希望する開催形態を聞いた。  「2021年に参加した学術集会の総数」を聞いた質問では、「2」との回答者が最多(22%)だったが、「0」との回答者が13%いる一方で「10以上」との回答者4%いるなどバラツキが見られた。

オミクロン株に対するコロナ治療薬の効果を比較検証/NEJM

 オミクロン株が世界中で猛威を振るう中、新型コロナウイルスの新たな治療薬の開発が進んでいる。国立感染症研究所の高下 恵美氏ら研究グループが、7種類の抗体薬と3種類の抗ウイルス薬について、in vitroでのオミクロン株に対する効果について検証した。本研究の結果は、NEJM誌オンライン版2022年1月26日号のCORRESPONDENCEに掲載。  今回、研究対象となった薬剤は、臨床試験中、FDA(米国食品医薬品局)で承認済み、日本で承認済みのものが含まれる。検証の結果、抗体薬のetesevimab・bamlanivimab併用とカシリビマブ・イムデビマブ併用(商品名:ロナプリーブ)のオミクロン株に対する中和活性は、著しく低いことがわかった。