呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ

医師でリスクの低いがんは?~日本人の職業とがんリスクの大規模研究

 日本の労働者における職業とがん種別発症リスクの関連を全国規模で調査した、東海大学の深井 航太氏らによる大規模症例対照研究の結果、肉体労働や運輸関連の職業でがんリスクが高いなど、職業による違いがみられ、とくに男性で顕著であることがわかった。一方、医師などの専門職では肺がん、食道がん、胃がん、大腸がんのリスクが低いことが示された。Journal of Occupational and Environmental Medicine誌オンライン版2026年4月14日号に掲載。

抗菌薬が腸内環境を変える期間は想像以上に長い

 抗菌薬は、危険な感染症を治療する重要な薬として知られている。しかし、新たな研究で、抗菌薬はこれまで考えられていた以上に長期間にわたり身体に影響を残す可能性が示された。約1万5,000人の成人を対象とした研究で、特定の抗菌薬が腸内マイクロバイオームに対して、最長で約8年にわたり影響を及ぼすことが明らかになった。ウプサラ大学(スウェーデン)のGabriel Baldanzi氏らによるこの研究結果は、「Nature Medicine」に3月11日掲載された。  この研究では、スウェーデンの3つの大規模コホート研究のデータを統合して、8年間の抗菌薬の使用歴と腸内マイクロバイオームとの関連を検討した。

がんサバイバーの運動習慣、死亡だけでなく要介護化リスクとも関連

 がん医療の進歩により、がんサバイバーは増加しているが、その後の生活機能や自立の維持は重要な課題となっている。今回、日本の大規模データを用いた研究で、がんサバイバーにおける日常的な身体活動が、死亡だけでなく新規の要介護認定リスクとも関連する可能性が示された。研究は、国立循環器病研究センター予防医学・疫学情報部の中塚清将氏、国立長寿医療研究センター老年社会科学研究部の小野玲氏、九州大学大学院医学研究院の福田治久氏らによるもので、詳細は2月16日付で「BMJ Open」に掲載された。

ワクチン接種率向上介入の構成要素ごとの効果を評価(解説:栗原宏氏)

本研究は、ワクチン接種率向上介入を「構成要素」に分解し、その効果をベイズ型コンポーネントネットワークメタ解析で評価したものである。対象は高・中所得国におけるRCT237件、参加者約436万人である。従来の「介入全体の有効性」ではなく、「どの要素が効果に寄与するか」を定量化した点が特徴である。本論文では年齢は数値的区分ではなく、小児・青年・成人の3区分で扱われている。解釈の一例として、接種判断主体の観点から、小児=保護者主体、青年=本人と保護者の混在、成人=本人主体と整理すると理解しやすい。ただし、これは本研究の定義ではなく、筆者による補助的解釈である。

生菌製剤と食物繊維、肺がんに対するICIの効果を増強か/日本呼吸器学会

 がん免疫療法において腸内細菌叢へのアプローチが注目されている。近年、生菌製剤として用いられる酪酸菌Clostridium butyricum MIYAIRI 588株(以下、CBM588)が、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)を用いた進行肺がん患者の全生存期間(OS)の延長と関連していたことが、後ろ向き研究で報告されている1)。また、腎細胞がんでは、無作為化比較試験においても、CBM588がICIによる治療を受ける患者の無増悪生存期間や奏効率の改善に寄与する可能性が示唆されている2,3)。そこで、本邦においても、CBM588の使用の有無と食物繊維の摂取量がICIの効果に及ぼす影響について、前向き観察研究での検討が実施された。

がん患者、24時間以内の死亡予測は可能か

 角膜反射の消失は、末期がん患者において24時間以内に死が差し迫っていることを示す特異的かつ臨床的に有用な徴候であることを韓国・Gyeongsang National University Changwon HospitalのSe-Il Go氏らが明らかにした。BMJ Supportive and Palliative Care誌2026年2月27日号掲載の報告。  研究者らは、末期がん患者における24時間以内の死亡を予測する上で、角膜反射の予後予測的意義を評価することを目的として前向き観察研究を実施。Gyeongsang National University Changwon Hospitalのホスピスセンターに入院し、死期が迫っている進行がん患者665例の分析を行った。

がん薬物療法における皮下注射剤の可能性/日本臨床腫瘍学会

 近年、がん薬物療法領域での皮下注射剤の活用が広がっている。2026年度診療報酬改定では外来腫瘍化学療法診療料への皮下注製剤の加算も認められる見通しとなった。第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2026)では、腫瘍内科医、薬剤師、緩和ケア医、看護師、制度申請者の立場から、皮下注射の現状と課題が多角的に論じられた。  大阪大学の吉波 哲大氏は、腫瘍内科医の立場からがん薬物療法における「時間毒性」の概念を提示した。がん薬物療法においては、骨髄抑制や悪心などの従来型有害事象に加え、経済毒性が近年注目されている。吉波氏は見落とされやすいもう1つの側面として「時間毒性」の重要性を訴える。

医療者の携帯電話が多剤耐性菌を広める!?

 医療従事者の多くが勤務時間中に仕事関連と個人的な目的の両方で携帯電話を使用しており、患者との接触とデバイスの操作を頻繁に切り替えている。しかし、感染予防の観点からみた高頻度接触表面としての携帯電話の役割については、十分に解明されていない。ドイツ・Goethe University FrankfurtのDaniel Hack氏らは、大学病院で医療従事者が使用する携帯電話上の多剤耐性菌の保有率および分子疫学を評価し、非医療従事者が使用する端末との比較検討を行った。Antimicrobial Resistance & Infection Control誌2026年4月4日号掲載の報告。

がん治療中のケモブレイン、運動療法に抑制効果?

 がんやがん治療に伴い生じる認知機能障害を総称して、CRCI(cancer-related cognitive impairment)という。抗がん剤による治療中や治療後の患者に生じる記憶力や集中力、作業能力の一時的な低下を表す「ケモブレイン」は、CRCIの一種である。このほど、新たな研究において、運動ががん患者のCRCIを防ぎ、認知機能を保ちながら日常生活を円滑に送るのに役立つ可能性が示された。英ロチェスター大学医療センター、ウィルモットがん研究所のがん予防・制御研究プログラムで共同リーダーを務めるKaren Mustian氏らによるこの研究結果は、「Journal of the National Comprehensive Cancer Network」3月号に掲載された。

半年に1回投与のデペモキマブ、気管支喘息・鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎の適応で発売/GSK

 グラクソ・スミスクラインは2026年4月15日に、デペモキマブ(商品名:エキシデンサー皮下注100mgペン、エキシデンサー皮下注100mgシリンジ)を発売した。適応は「気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない重症又は難治の患者に限る)」および「鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎(既存治療で効果不十分な患者に限る)」である。  本剤は、既存のヒト化抗IL-5モノクローナル抗体製剤メポリズマブの可変領域と定常領域にアミノ酸変異を導入して開発された製剤である。IL-5に対する親和性の向上および半減期の延長を通じて、26週に1回の投与が可能となった。