リハビリテーション科の海外論文・最新ニュースアーカイブ

プレハビリテーションが高齢患者の脊椎固定術後の合併症を抑制

 プレハビリテーションは、術後の回復を促進する目的で術前に体力や健康状態を向上させる介入で、近年、外科医を中心とする医師の注目を集めている。こうした中、新たな研究で、脊椎固定術の前に4週間のプレハビリテーションプログラムを受けた75歳以上の患者では、術後90日以内の合併症リスクが18%低かったことが示された。首都医科大学(中国)附属宣武医院整形外科部長のShibao Lu氏らによるこの研究結果は、「Annals of Internal Medicine」に6月16日掲載された。Lu氏は、「本研究は、構造化された多面的プレハビリテーションが、高齢者における脊椎固定術後の合併症を減少させる上で有効な方法となり得ることを示した」と述べている。

中年期の筋トレ習慣が糖尿病リスク低下につながる

 中年期を通して筋力トレーニングを続けている人は、2型糖尿病(T2DM)のリスクが42%低いことが明らかになった。さらに、筋トレとともに有酸素運動を行い、テレビ視聴時間が短い人では、より大きなリスク低下が認められた。浙江大学(中国)のTianyue Zhang氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Network Open」に6月22日掲載された。  有酸素運動によるT2DMのリスク抑制に関しては豊富なエビデンスがあるのに対して、筋トレのエビデンスは多くなく、特に長期間の前向き研究に基づく知見は少ない。Zhang氏らはこの点について、米国の看護師健康調査(NHSおよびNHS II)と医療従事者対象調査(HPFS)のデータを用いた検討を行った。

レトロなビデオゲームが脳卒中後の上肢の機能を改善か

 脳卒中患者の上肢(腕、手)の機能回復に、1990年代スタイルのレトロなゲームが役立つ可能性があるようだ。スクリーン上のヘリコプターを操縦して動くターゲットを攻撃するなどのタスクを行うビデオゲームを通して脳卒中患者の筋肉を再訓練することで、脳卒中後に見られる筋の同時収縮パターンが減少し、上肢機能が改善する可能性が示された。米ノースウェスタン大学神経学・神経科学教授のMarc Slutzky氏らによるこの研究の詳細は、「Neurorehabilitation and Neural Repair」に6月8日掲載された。

脊髄刺激療法で脳卒中後の上肢機能改善を確認

 脊髄への電気刺激により、脳卒中患者の上肢(腕や手)の機能が改善する可能性があるようだ。重度の運動障害を有する脳卒中患者7人を対象としたパイロット試験で、4週間にわたる脊髄刺激療法(spinal cord stimulation;SCS)により、上肢の筋力が平均32%向上し、痙縮も軽減したことが示された。痙縮とは、脳卒中や脊髄損傷後の後遺症であり、自分の意思とは無関係に筋肉が収縮して関節が固くなる運動障害である。米ピッツバーグ大学脊髄刺激研究室長のMarco Capogrosso氏らによるこの研究結果は、「Nature Medicine」6月4日号に掲載された。

術後の歩数は回復を左右する?

 手術から回復中の患者にとって、散歩は順調な術後回復を促す簡単な方法となるかもしれない。新たな研究で、術後の1日当たりの歩数が術前と比べて1,000歩増加するごとに、入院期間が短縮し、合併症リスクが低下することが示された。このような歩数の増加と転帰改善との関連は、患者の全身状態にかかわりなく、さまざまな種類の手術で認められたという。米オハイオ州立大学ウェクスナー医療センターのTimothy Pawlik氏らによるこの研究結果は、「Journal of the American College of Surgeons」に5月6日報告された。

骨折・転倒予防、CaとビタミンDに効果認めず~メタ解析/BMJ

 これまでの系統的レビューでは、カルシウムおよびビタミンDは、単独では骨折の減少をもたらさず、これらを併用しても結果に一貫性はなく、転倒に対するビタミンDの効果にもばらつきがみられる。それにもかかわらず、ガイドラインなどは筋骨格系の健康維持にビタミンD(±カルシウム)の補充を推奨し、2000年代初頭以降、これらの処方量は大幅に増加しているという。カナダ・CIUSSS du Nord-de-l’Ile-de-MontrealのOlivier Masse氏らは、骨折および転倒の予防において、カルシウム、ビタミンD、またはこれらを併用した栄養補充製品の有益性はほとんど、あるいはまったく認められないことを示した。研究の成果は、BMJ誌2026年5月20日号で報告された。

プレハビリテーションにより術後合併症が減少

 手術前に、運動や栄養管理をベースにしたプレハビリテーションを実施することで、術後合併症のリスクが大幅に低下することが、新たな研究で明らかになった。そのようなプレハビリテーションを実施した患者では、術後の入院期間も半日程度短縮したという。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)デヴィッド・ゲフィン医科大学のJustine Lee氏らによるこの研究結果は、「Journal of the American College of Surgeons」に4月29日掲載された。Lee氏は、「今回の結果は、特に合併症リスクの高い患者や、手術前に追加のサポートが有益と考えられる患者に対するプレハビリテーションプログラムの有用性を裏付けるものだ」と述べている。

イヌリンにより変形性膝関節症の痛みが軽減か

 腸内環境を整えることで関節炎の痛みが和らぐかもしれない──そんな研究結果が報告された。変形性膝関節症(OA)患者を対象としたランダム化比較試験で、難消化性食品成分であるプレバイオティクスの摂取が痛みの軽減に寄与する可能性が示された。英ノッティンガム大学NIHRノッティンガム生物医学研究センターのAfroditi Kouraki氏らによるこの研究は、「Nutrients」に2月24日掲載された。  研究グループは、腸の健康を改善することがOAの新しい治療法になる可能性があると考えている。Kouraki氏は、「この研究は、朝食やヨーグルトにサプリメント(以下、サプリ)を加えるだけで、痛みが和らぎ、身体機能も改善される可能性があるという、わくわくするような可能性を示した」とニュースリリースで述べている。

在宅医療・介護の場で見逃してはいけない骨粗鬆症/日本シグマックス

 整形外科領域などで衛生材料や診療機器、サポーターなどの開発・販売を行う日本シグマックスは、2026年3月24日に都内で「在宅医療・介護で見過ごされがちな『骨粗鬆症』リスクと転倒・骨折予防の重要性」をテーマにメディアセミナーを開催した。  骨粗鬆症は自覚症状に乏しく、発見が遅れがちな疾患であり、転倒・骨折をきっかけに要介護へ移行するケースも多く、医療・介護双方で課題となっている。同社の代表取締役社長の鈴木 洋輔氏は、これらの課題の解決に「超音波医療機器の開発や機械の小型化といった知識の導入により、治療に貢献する製品を研究開発していく」と展望を述べている。

脊髄損傷患者の運動制御と感覚フィードバックを同時に一部再現

 脊髄を損傷すると、手足の動きを制御する能力(運動制御能力)と、手足からの感覚情報を脳へフィードバックする能力(感覚フィードバック)の2つの重要な能力が失われる。運動制御能力と感覚フィードバックの双方向の情報伝達機能は、脚や腕を協調させて動かす上で不可欠である。新たな研究で、脊髄損傷部位の上下両方に電気刺激を与えることで、運動制御能力を高めるとともに感覚フィードバックの代替となる感覚を再現できる可能性が示された。米ブラウン大学工学分野のDavid Borton氏らによるこの研究結果は、「Nature Biomedical Engineering」に3月11日掲載された。