小児科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:48

COVID-19診療の手引きの第5版を公開/厚生労働省

 5月26日、厚生労働省は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第5版」を公開した。  同手引きは診療の手引き検討委員会が中心となって作成され、第1版は2020年3月17日に、第2版は5月18日に、第3版は9月4日に、第4版は12月4日に公表され、細かい改訂など随時最新の内容に更新している。  今回の改訂では、前版以降の知見の拡充を行い、とくに血栓対策の治療、投与すべきでない薬剤(ヒドロキシクロロキンなど)の記載、新しく追加承認されたバリシチニブの追加、ファビピラビルの観察研究結果の更新などが反映されている。

tezepelumab、コントロール不良の重症喘息患者に有効/NEJM

 コントロール不良の重症喘息成人/思春期患者の治療において、胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)のヒト型モノクローナル抗体であるtezepelumabはプラセボと比較して、喘息の増悪が少なく、肺機能や喘息コントロール、健康関連QOLの改善効果が良好であることが、英国・Royal Brompton HospitalのAndrew Menzies-Gow氏らが実施した「NAVIGATOR試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2021年5月13日号で報告された。  本研究は、18ヵ国297施設が参加した二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2017年11月~2020年9月の期間に行われた(AstraZenecaとAmgenの助成による)。  対象は、年齢12~80歳で喘息と診断され、スクリーニングの12ヵ月以上前の期間に、中~高用量の吸入グルココルチコイドの投与を受け、インフォームドコンセントの3ヵ月以上前の期間に、経口グルココルチコイドの有無を問わず、少なくとも1剤の長期管理薬の投与を受けていた患者であった。

遺伝性血管性浮腫患者の支援団体が稼働/遺伝性血管性浮腫診断コンソーシアム

 遺伝性血管性浮腫(Hereditary Angioedema:HAE)は、主に遺伝子変異が原因で血液中のC1インヒビターの低下などに起因し、体のいたるところで持続する腫れやむくみを繰り返す疾患である。皮膚手足、顔面、生殖器などが腫れた場合は、一見すると「じんま疹」に似ていることがあるが、強いかゆみを伴わないのが特徴だ。特にのどが腫れた場合、呼吸困難となり、生命の危険を来す可能性があり、早期の確定診断が必要だが、本症と診断されずに、日ごろの症状に苦しむ患者も多い。

自閉スペクトラム症に対する小児精神薬理学~システマティックレビュー

 自閉スペクトラム症(ASD)は、一生涯にわたる重度の神経発達障害であり、社会的費用が高く、患者やその家族のQOLに大きな負荷を及ぼす疾患である。ASDの有病率は高く、米国においては小児の54人に1人、成人の45人に1人が罹患しているといわれているが、社会的およびコミュニケーションの欠陥、反復行動、限定的な関心、感覚処理の異常を含むASDの中核症状に対する薬理学的治療は十分ではない。イタリア・メッシーナ大学のAntonio M. Persico氏らは、ASDに対するベストプラクティスの促進、今後の研究のための新たな治療戦略を整理するため、小児および青年期のASDに対し、現在利用可能な最先端の精神薬理学的治療についてレビューを行った。Progress in Neuro-Psychopharmacology & Biological Psychiatry誌オンライン版2021年4月20日号の報告。

ADHD児のビデオゲーム使用方法と症状との関連

 小児ではビデオゲーム依存症との関連が認められているが、この問題はADHD児にとってとくに重要である。カナダ・モントリオール大学のLaura Masi氏らは、カナダの子供たちにおけるビデオゲーム使用に関する多くのデータを収集し、ADHD児と非ADHD児における違いを調査した。また、依存症とADHD症状との関連を調査し、性別の影響についても評価した。Frontiers in Pediatrics誌2021年3月12日号の報告。  本研究は、多施設(小児精神科)、横断的、探索的、記述的研究として実施された。カナダの4~12歳を対象にADHD群、臨床対照群、コミュニティー対照群について募集を行った。各群の親1人に対し質問票を用いて、プレイ時間、依存性スコア、年齢別の使用状況などのビデオゲーム使用に関するデータを収集した。データの収集は、2016年12月~2018年8月にモントリオールで実施した(280例)。

ポロキサマー188、鎌状赤血球症の血管閉塞性疼痛改善せず/JAMA

 鎌状赤血球症の小児/成人患者における血管閉塞性の疼痛エピソードの治療では、ポロキサマー188はプラセボと比較して、非経口オピオイド鎮痛薬の最終投与までの期間を短縮しないことが、米国・ジョンズ・ホプキンズ大学のJames F. Casella氏らが行った「EPIC試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌2021年4月20日号で報告された。  研究グループは、鎌状赤血球症患者における血管閉塞性の疼痛エピソードに対するポロキサマー188の有効性を再評価する目的で、国際的な二重盲検プラセボ対照無作為化第III相試験を実施した(米国・Mast Therapeutics, Inc.の助成による)。

小児期の低血圧とADHDとの関連~10年間のフォローアップ調査

 注意欠如多動症(ADHD)は、心理社会的障害に関連する小児および青年期の最も一般的な行動障害の1つである。ADHDの基本的な病態生理は、少なくとも部分的に自律神経の覚醒プロセスの欠損と関連している可能性があり、疾患の中核症状に影響を及ぼすだけでなく、覚醒調整の変化に伴い血圧の変動を引き起こす可能性がある。ドイツ・ゲッティンゲン大学医療センターのJan Schulz氏らは、ADHD患者の小児および青年~成人期の長期的な血圧変動を調査した。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2021年2月14日号の報告。

レベチラセタムは、全般/分類不能てんかんの第一選択薬か/Lancet

 全般てんかんおよび分類不能てんかんの治療において、レベチラセタムにはバルプロ酸に匹敵する臨床効果はなく、質調整生存年(QALY)に基づく費用対効果もバルプロ酸のほうが良好であることが、英国・リバプール大学のAnthony Marson氏らが実施した「SANAD II試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2021年4月10日号で報告された。  研究グループは、新たに診断された全般てんかんおよび分類不能てんかんの治療におけるレベチラセタムの長期的な臨床的有効性と費用対効果を、バルプロ酸と比較する目的で、非盲検無作為化第IV相非劣性試験を行った(英国国立健康研究所[NIHR]医療技術評価プログラムの助成による)。

小児高悪性度神経膠腫への遺伝子組み換えヘルペスウイルスG207、第I相試験結果/NEJM

 小児の再発/進行性高悪性度神経膠腫(HGG)患者において、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)G207の腫瘍内投与単独または放射線療法併用は、忍容性が良好であることが認められた。米国・アラバマ大学バーミングハム校のGregory K. Friedman氏らが、第I相試験の結果を報告した。再発/進行性HGGの小児/青年の予後は不良で、これまでの報告では全生存(OS)期間中央値はわずか5.6ヵ月とされている。G207は、HSV-1を用いた遺伝子組み換え腫瘍溶解性ウイルスで、成人HGG患者の第I相試験で腫瘍内投与と単回放射線照射併用の安全性が確認され、前臨床試験において小児脳腫瘍モデルはG207による腫瘍溶解に高い感受性があることが示されていた。小児HGGは、腫瘍浸潤リンパ球がほとんどない免疫学的に“silent”または“cold”tumorであるが、著者は「G207により、免疫学的に“cold”tumorが“hot”tumorに変わった」とまとめている。NEJM誌オンライン版2021年4月10日号掲載の報告。

小児のブルーライトカット眼鏡、使用を推奨せず/日本眼科学会

 2021年4月14日、日本眼科学会、日本眼科医会、日本近視学会、日本弱視斜視学会、日本小児眼科学会、日本視能訓練士協会は合同で「小児のブルーライトカット眼鏡装用に対する慎重意見」と題した声明を発表した。  近年、パソコンやタブレット端末、スマートフォンに触れる時間が長くなっている小児に対してブルーライトカットの眼鏡を奨励する動きがあるが、専門家としてこれに危惧を呈する内容となっている。その主な理由は以下のとおり。