ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:222

ICDのVT検出インターバル、長期vs.標準設定/JAMA

 植込み型除細動器(ICD)について、心室不整脈(VT)検出インターバルを30~40に設定すると、標準設定の18~24と比べ、ATPやショック発生リスク、不適切なショック発生リスクのいずれもが、有意に減少することが明らかになった。一方で、死亡率については両者で有意差はなかった。イタリア・Humanitas Clinical and Research CenterのMaurizio Gasparini氏らによる無作為化単盲検試験「ADVANCE III」の結果で、著者は、「標準設定よりも長期インターバルの設定とする戦略は、適正な選択肢となりうる可能性がある」と結論している。JAMA誌2013年5月8日号掲載の報告より。

造血器腫瘍患者への予防的血小板輸血戦略は出血の減少に結びつく/NEJM

 造血器腫瘍患者に対して、出血予防を目的とした血小板輸血戦略は、予防的血小板輸血を行わない場合と比較して出血の減少に結びつき、有用であることが、英国・オックスフォード大学のSimon J. Stanworth氏らによる無作為化試験の結果、明らかにされた。これまで、造血器腫瘍患者における予防的血小板輸血のベネフィットは明らかになっていなかった。一方で、最近の予防的血小板輸血に関する試験では、以前のように輸血量ではなく、臨床アウトカムとしての出血に重点を置くようになっており、研究グループは、造血器腫瘍患者のための時代に即した治療戦略を検討するため、予防的輸血を行わないとする指針が、行うとする指針に対して出血の頻度に関して非劣性であるのか試験を行った。NEJM誌2013年5月9日号掲載の報告より。

ICD手術時、ワルファリン継続でも安全であることを確認/NEJM

 経口抗凝固療法を受けている患者へのペースメーカーや植込み型除細動器(ICD)の手術時に、ヘパリンに変更する橋渡し療法(bridging therapy)と比較して、ワルファリン療法を継続する戦略は、臨床的に有意なデバイスポケット血腫(device-pocket hematoma)の発生を顕著に減少することが、カナダ・オタワ大学心臓研究所のDavid H. Birnie氏らによる多施設共同単盲検無作為化試験の結果、報告された。ペースメーカーやICDの手術を要する患者では、14~35%と多くの患者が長期の経口抗凝固療法を受けている。現行ガイドラインでは、これら患者について、血栓塞栓症イベントのため高リスク患者についてはヘパリンに変更する橋渡し療法が推奨されているが、デバイスポケット血腫のリスクがかなりあること(17~31%)が問題視されていた。NEJM誌オンライン版2013年5月9日号掲載の報告より。

プライマリ・ケアでの肺炎診断、症状と徴候による診断がベスト/BMJ

 プライマリ・ケアにおいて、急性の咳症状から肺炎を予測するには、軽度あるいは重度の患者では症状と徴候に基づくクリニカルルールが最も適していることが、オランダ・ユトレヒト大学医療センターのSaskia F van Vugt氏らによる検討の結果、示された。また、CRP>30mg/Lの至適カットオフ値の情報は診断情報を改善するが、プロカルシトニン(PCT)値は診断には役立たないことも示された。BMJ誌オンライン版2013年4月30日号掲載の報告。肺炎の診断については症状と徴候の精度を検討した試験はあるが、プライマリ・ケアでの適用のエビデンスは乏しかった。一方で、CRPやPCTの検査値を加味した場合の診断精度は不明であった。

脳卒中およびTIAのリスク評価に有効な新アルゴリズム「Q Strokeスコア」/BMJ

 英国・パーク大学のJulia Hippisley-Cox氏らは、脳卒中やTIA非既往の一般集団の同リスクを推定するための新たなアルゴリズム「Q Strokeスコア」を開発した。同スコアは、プライマリ・ケアで用いることを目的としたもので、従来のCHADS2などと比較検証した結果、より有効であることを報告した。特に抗凝固療法が必要となる可能性がある心房細動を有する患者においてリスクスコアを改善することが示された。今後は、プライマリ・ケアでの使用に値するのか費用対効果の検証が必要であるとまとめている。BMJ誌オンライン版2013年5月2日号掲載の報告より。

遺伝性骨疾患とWNT1遺伝子変異の関連が明らかに/NEJM

 遺伝病である若年性骨粗鬆症と骨形成不全症はWNT1遺伝子変異と関連し、WNT1は骨形成のシグナル伝達経路の主要分子であり、骨量調節における重要なリガンドであることが、フィンランド・ヘルシンキ大学のChristine M. Laine氏らの検討で示された。近年、骨の形成や維持におけるWNTシグナル伝達経路の役割が広く研究されているが、主要な伝達物質である低密度リポ蛋白受容体関連蛋白(LRP)5/6を介する経路のWNTリガンドはみつかっていなかった。NEJM誌オンライン版5月9日号掲載の報告。

再発性下肢蜂窩織炎、ペニシリン投与で再発リスクは半減/NEJM

 下肢蜂窩織炎の再発予防を目的としたペニシリン投与は、再発リスクをおよそ半減することが示された。ただしその効果は投与期間中においてであり、投与中止後は徐々に漸減した。英国・ノッティンガム大学病院のKim S. Thomas氏らが、274例を対象に行ったプラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果で、NEJM誌2013年5月2日号で発表した。

身体的障害の介護施設入所者のうつ病、複合的治療プログラムで効果/Lancet

 オランダ・ナイメーヘン・ラットバウト大学メディカルセンターのRuslan Leontjevas氏らは、うつ病に対する介入プログラムとして開発された、多職種による複合的治療プログラム「Act in Case of Depression」(AiD)について、身体的障害の介護施設入所者についてはうつ病改善の効果があることを報告した。一方で、認知症の介護施設入所者のうつ病については、同プログラムによる効果は認められなかったという。約800例の介護施設入所者を対象に、stepped-wedge法による無作為化比較試験を行い明らかにしたもので、Lancet誌オンライン版2013年5月2日号で発表した。

Dダイマー検査の年齢調整カットオフ値、静脈血栓塞栓症の診断精度を改善/BMJ

 臨床的に静脈血栓塞栓症(肺塞栓症、深部静脈血栓症)の疑いが高くない50歳以上の患者に対するDダイマー検査のカットオフ値として、従来の基準値に代えて年齢調整値を用いると、高い感度を維持したまま特異度が改善され、高精度に本症の除外診断が可能になることが、オランダ・ユトレヒト大学病院のHenrike J Schouten氏らの検討で示された。Dダイマーは血栓形成に対し高い感度を示すため、臨床的に静脈血栓塞栓症の可能性が高くない患者における本症の除外診断に有用とされるが、可能性が高い患者では本検査の結果にかかわらず画像検査を要する。一方、Dダイマーは加齢にともなって上昇するため、高齢患者の診断に従来のカットオフ値を用いると偽陽性率が上がり、特異度が低下することから、新たなカットオフ値として年齢調整値の導入が進められている。BMJ誌オンライン版2013年5月3日号掲載の報告。

少女へのHPVワクチン、2回接種で効果十分?/JAMA

 少女(9~13歳)へのHPVワクチン接種による免疫獲得について、6ヵ月間隔で2回の接種を受けた群が、6ヵ月以内で3回接種を受けた若い女性(16~26歳)に対し非劣性であったことが、カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のSimon R. M. Dobson氏らによる無作為化試験の結果、示された。カナダでは2007年に、学校で接種が受けられる4価HPVワクチンプログラムが導入されたが、当初から高コストの問題が懸案事項となっており、2回投与の可能性が模索されていたという。Dobson氏らは、コスタリカで行われた先行研究で少女への2回投与による免疫獲得の成績が良好であったことを踏まえて、本検討を行った。JAMA誌2013年5月1日号掲載の報告より。

ケアホーム高齢者のうつ傾向、運動療法による介入では改善しない/Lancet

 ケアホームに入所するうつ症状を呈する高齢者に対し、中程度の強度の運動プログラムを行ったが、症状の改善は認められなかったことが、英国・ウォーリック大学のMartin Underwood氏らによる集団無作為化試験の結果、報告された。結果を踏まえて著者は「これら虚弱高齢者の精神的治療については、何か別の戦略が必要である」と指摘している。Lancet誌オンライン版2013年5月1日号掲載の報告より。

ソホスブビル、既治療の遺伝子型2、3型HCV感染患者に有効/NEJM

 ペグインターフェロン(PEG)+リバビリン(RBV)療法が適応外または無効な、遺伝子型2、3型C型肝炎ウイルス(HCV)感染患者に対し、ソホスブビル(SOF)+RBV療法は高い有効性と安全性を示すことが、米国ワイルコーネル大学(ニューヨーク市)のIra M. Jacobson氏らの検討で明らかとなった。欧米では現在、これらの患者の治療選択肢として承認されたレジメンはない。ソホスブビルはHCV特異的NS5Bポリメラーゼのヌクレオチド誘導体阻害薬で、in vitroではすべての遺伝子型のHCVを抑制し、第II相試験で2、3型HCV感染患者に対する有効性が確認されている。NEJM誌オンライン版2013年4月23日号掲載の報告。

鳥インフルH7N9型ウイルスの感染源を同定、症状はH5N1型に類似/Lancet

 2013年2月、中国東部地域で鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスのヒトへの感染が発生し、感染者と家禽との接触が確認された。浙江大学医学部(杭州市)のYu Chen氏らは、同定した感染患者4例の感染源が同省の市場の家禽である可能性が高く、臨床症状は高い致死性を示すH5N1型ウイルス感染と類似するとの調査結果を、Lancet誌オンライン版2013年4月25日号で報告した。

選択的エストロゲン受容体調節薬、高リスク女性の乳がん1次予防に長期効果/Lancet

 高リスク女性の乳がん1次予防において、選択的エストロゲン受容体調節薬(SERM)はその発症を長期的に抑制することが、英国・ロンドン大学クイーンメアリー校のJack Cuzick氏らの検討で示された。タモキシフェンによる術後補助療法では対側乳がんの発症率が大幅に低下し、SERMによる骨粗鬆症女性の骨折予防試験でも乳がんの抑制効果が示唆されている。早期のメタ解析では、SERMによる高リスク女性の乳がんリスク低下効果が示唆されているが、その持続期間は明らかにされていなかった。Lancet誌オンライン版2013年4月30日号掲載の報告。

シタグリプチン、2型糖尿病の全原因入院・死亡に影響せず/BMJ

 DPP-4阻害薬シタグリプチン(商品名:ジャヌビア、グラクティブ)は、新規に治療を開始した2型糖尿病患者において、他の血糖降下薬に比べ全原因に起因する入院や死亡のリスクを増大させないことが、カナダ・アルバータ大学のD T Eurich氏らの調査で示された。DPP-4阻害薬の安全性に関するベネフィットは、いくつかのプール解析で示されている。一方、実臨床におけるあらゆる原因に起因する入院や死亡などの広範なアウトカムに及ぼすシタグリプチンの影響を評価した大規模試験はこれまでなかったという。BMJ誌オンライン版2013年4月25日号掲載の報告。

房室ブロックで左室駆出率50%以下、両室ペーシングがアウトカム良好/NEJM

 房室ブロックで左室駆出率が50%以下の患者には、ペースメーカーや植込み型除細動器装着後、右室ペーシングよりも両室ペーシングを実施したほうが、アウトカムが良好であることが示された。米国・バッファロー大学のAnne B. Curtis氏らが、無作為化試験「BLOCK HF」試験の結果、報告した。房室ブロック患者では右室ペーシングにより適切な心拍数の達成が可能であるが、右室心突部ペーシングの割合が高いと既存の左室収縮機能障害や心不全を促進する可能性が示唆されていた。研究グループは、両室ペーシングはこの問題を回避し、心不全の発症を減弱する可能性があるとして本検討を行った。NEJM誌2013年4月25日号掲載の報告より。

コクラン・レビューの著者、未公開データ入手を試みた人の半分強で有用データ入手/BMJ

 コクラン・レビューの著者で、未公開データを入手する努力をした人の多くが、主に治験責任者から、有用データを入手できたことが判明した。デンマーク・ノルディックコクランセンターのJeppe Bennekou Schroll氏らが、コクラン・レビューの著者6,000人弱を対象に行った横断研究の結果、報告した。一方で、今回の調査の回答率が37%と低かったことを挙げ、著者は「回答をしなかった著者は、未公開データの入手努力をしなかった可能性が高い」と指摘している。また、製薬企業や規制当局から新たに入手できた未公開データはわずかであったという。BMJ誌オンライン版2013年4月23日号掲載より。

既報試験のバイアスリスク評価はどうあるべきか?/BMJ

 英国・MRC臨床試験ユニットのClaire L Vale氏らは、既報試験をメタ解析に組み込む適切な方法論として、バイアスリスク評価を既報試験に基づき行う評価手法が信頼できるものであるかを検証した。現在、Cochraneシステマティックレビューの際にはCochraneバイアスリスクツールで評価を行うことが必須とされている。長じてその評価が、メタ解析への既報試験の包含判定方法として示唆されており、Vale氏らは同ツールによる評価が妥当なのかを検討した。BMJ誌オンライン版4月22日号掲載の報告より。

妊娠中のバルプロ酸使用、子どもの自閉症リスクが増大/JAMA

 妊娠中の母親が抗てんかん薬バルプロ酸(商品名:デパケンほか)を使用すると、子どもの自閉症スペクトラム障害および小児自閉症のリスクが上昇することが、デンマークAarhus大学病院のJakob Christensen氏らの検討で明らかとなった。妊娠中の抗てんかん薬の使用により子どもの先天性奇形や認知発達遅滞のリスクが上昇することが示されているが、他の重篤な神経心理学的異常のリスクについてはほとんど知られていないという。バルプロ酸は妊娠可能なてんかん女性にとって唯一の治療選択肢となる場合がある一方で、出生前の胎児が曝露すると自閉症のリスクが増大する可能性が指摘されていた。JAMA誌2013年4月24日号掲載の報告。

腸内細菌叢代謝産物TMAO、心血管リスクの新たな予測因子に?/NEJM

 トリメチルアミン-N-オキシド(TMAO)は、食事中のホスファチジルコリンが腸内細菌叢により代謝されて生成し、血中や尿中のTMAO値の上昇は主要な有害心血管イベントの予測因子となる可能性があることが、米国・クリーブランドクリニックのW.H. Wilson Tang氏らの検討で示唆された。リン脂質であるホスファチジルコリン(レシチン)は食事由来の主要なコリン供給源で、コリンは脂質代謝や細胞膜形成のほか、神経伝達物質アセチルコリン合成の前駆体など、代謝に関わるさまざまな役割を担う。同氏らは最近、動物実験で、食事由来ホスファチジルコリンのコリン部分の腸内細菌代謝と冠動脈疾患の間には、アテローム性動脈硬化を促進する代謝産物であるTMAOの産生を介する機構的な関連があることを明らかにした。NEJM誌オンライン版2013年4月25日号掲載の報告。