医療一般|page:235

妊婦の定期健診とSARS-CoV-2感染リスクの相関は?/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック時に懸念されたことの1つに、患者の受診自粛がある。しかし、医療機関を訪れることが感染リスクにどう影響するかについては、十分に明らかになっていない。本研究は、米国・Brigham and Women's HospitalのSharon C. Reale氏らの研究チームが、コロナパンデミックの中にあっても定期的な診察が必要だった妊婦を対象に、受診回数がSARS-CoV-2感染のリスクと関連しているかどうかを検証した。JAMA誌オンライン版2020年8月14日号リサーチレターでの報告。  本研究の対象は、2020年4月19日~6月27日(産科患者全員が入院時にSARS-CoV-2のRT-PCR検査を実施した期間)にマサチューセッツ州ボストンの4つの医療機関で出産した2,968例。

治療抵抗性精神疾患治療のための3次医療サービスの有効性

 治療抵抗性統合失調症は、2次医療機関における疾患マネジメントが困難な場合が多い疾患の1つである。再入院や長期介護費用などのリスクを軽減するため、複雑な治療抵抗性精神疾患に対しエビデンスに基づき個別で、集学的な医療を提供する専門の3次医療機関として英国精神疾患ユニット(National Psychosis Unit:NPU)がある。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのCecilia Casetta氏らは、NPUでの治療の長期的な有効性を自然主義的なアウトカムを検討することにより評価した。BJPsych Open誌2020年8月3日号の報告。  精神科病床と一般病床の入院回数、入院日数、緊急度、NPU入院前後に処方された向精神薬の数と抗精神病薬の用量について、ミラーイメージデザインを用いて比較した。CRISシステム、South London and Maudsley NHS Trustデータベース、HESシステムを用いてデータを収集した。

T-DM1、HER2陽性早期乳がんの術後薬物療法に適応追加/中外製薬

 中外製薬は、抗HER2抗体チューブリン重合阻害剤複合体トラスツズマブ エムタンシン(商品名:カドサイラ、以下T-DM1)について、「HER2陽性の乳癌における術後薬物療法」に対する適応追加の承認を8月21日に取得したことを発表した。手術前の薬物療法で病理学的完全奏効(pCR)が得られなかったHER2陽性早期乳がんに対して、術後薬物療法の新たな選択肢となる。  今回のT-DM1の承認は、海外で実施された非盲検ランダム化第III相国際共同臨床試験(KATHERINE試験)の成績に基づく。本試験では、トラスツズマブを含む術前薬物療法でpCRが得られなかったHER2陽性早期乳がん1,486例を対象に、術後薬物療法としてのT-DM1の有効性と安全性をトラスツズマブと比較した。その結果、主要評価項目である浸潤性疾患のない生存期間(IDFS)について、トラスツズマブに対するT-DM1の優越性が認められた(非層別ハザード比:0.50、95%信頼区間:0.39~0.64、p<0.0001)。また、本試験におけるT-DM1の安全性は、転移を有するHER2陽性乳がんにおける治療で認められている安全性プロファイルと同様であり、忍容性が認められた。

デュルバルマブ、進展型小細胞肺がんに国内適応拡大/アストラゼネカ

 アストラゼネカは、2020年8月21日、デュルバルマブ(商品名:イミフィンジ)について、化学療法(エトポシドおよびカルボプラチンまたはシスプラチン)との併用療法で、進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)を適応症に厚生労働省より承認を取得したと発表。  デュルバルマブに対する今回の承認は、デュルバルマブと化学療法との併用療法が、化学療法単独との比較において、統計学的に有意で臨床的に意義のある全生存期間(OS)の延長を示した第III相CASPIAN試験の結果に基づいている。

COVID-19、第1波・第2波の特徴と転帰を比較/JAMA

 COVID-19感染流行において、初期と2度目の流行では、患者の属性や臨床的症状、転帰に違いはあるのか。Center for Outcomes Research(米国・ヒューストン)のFarhaan S. Vahidy氏らによる分析が、JAMA誌オンライン版2020年8月13日号のリサーチレターで報告されている。  著者らは、テキサス州ヒューストンの8病院が使うヘルスケアシステム・Houston Methodistの電子カルテから、PCR検査で陽性となったCOVID-19重症患者を抽出したうえで、年齢、性別、人種/民族、併存症、投薬、ICU入院、死亡率を分析した。第1波は2020年3月13日~5月15日、第2波は5月16日~7月7日までとした。2020年7月7日時点におけるCOVID-19の入院患者のユニーク数は2,904例、第1波が774例、第1波が2,130例だった。

レビー小体型認知症が疑われる患者の初期症状と診断時の特徴

 レビー小体型認知症(DLB)は、さまざまな初期症状がみられるが、多くのDLBの症例に焦点を当てた報告は、これまでほとんどなかった。北海道・砂川市立病院の内海 久美子氏らは、診断時にDLBおよびDLB関連症状が認められた患者234例を対象に、初期症状をレトロスペクティブに評価し、症状プロファイルの性差について検討を行った。Psychogeriatrics誌オンライン版2020年8月2日号の報告。  対象は、2017年に改訂されたDLBの臨床診断に関するコンセンサス基準を満たした、DLBの可能性の高い患者234例。DLBは、ドパミントランスポーターシンチグラフィと123 I-MIBG心筋シンチグラフィで確認した。脳灌流は、SPECTを用いて測定した。これらに加えて、中心および補助的な臨床的特徴を考慮した。

セロクエルとセロクラールとの取り違えに注意

 アステラス製薬とサノフィは、2020年8月、「セロクエル(一般名:クエチアピンフマル酸塩):抗精神病剤」(製造販売:アステラス製薬)と「セロクラール(一般名:イフェンプロジル酒石酸塩):脳循環代謝改善薬」(製造販売元:サノフィ、販売元:日医工、販売提携:日医工サノフィ)について、これらを処方・調剤する際には薬効および販売名を今一度確認すること、また処方オーダーシステムを使用する場合は入力後の内容確認、アラートを表示させるなどの薬剤の選択ミス防止策を検討するよう注意喚起を行った。

COVID-19対策のうがいは是か非か

 8月上旬、大阪府知事の吉村 洋文氏は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策にうがい薬ポビドンヨード液を推奨する緊急記者会見を開いた。この会見の報道を受け、うがいは新型コロナ感染症対策として優先順位は低いなどと発言する一部の専門家もいたが、やはり口腔ケアは感染症対策として重要なのではないだろうかー。2020年8月5日に開催された第2回日本抗加齢医学会WEBメディアセミナーで、阪井 丘芳氏(大阪大学大学院歯学研究科 顎口腔機能治療学教室教授)が「COVID-19と唾液腺~重症化予防のための新たな口腔ケア」について講演し、口腔の衛生管理の重要性について語った。

統合失調症に対する気分安定薬の処方状況~国際的研究

 精神疾患に対する抗精神病薬と気分安定薬の処方状況や投与量を調査した研究は、これまであまりなかった。シンガポール・精神衛生研究所のWai Kwong Lim氏らは、限られた既存のデータと臨床経験に基づき、補助的な気分安定薬の使用と人口統計(年齢など)、臨床的要因(罹病期間など)、抗精神病薬治療の特徴(併用や高用量など)との関連について調査を行った。Human Psychopharmacology誌オンライン版2020年8月1日号の報告。  本研究は、統合失調症の薬物疫学的要因に焦点を当てたアジアリサーチコンソーシアム内で実施された。気分安定薬の併用率や高用量(リチウム換算量1,000mg/日超)、臨床相関などを評価した。

双極性障害の早期発症や治療開始遅延がその後の治療効果に及ぼす影響

 双極性障害の治療アウトカム不良のリスク因子として、早期発症と初回治療開始の遅延の両方がエビデンスで報告されている。米国および欧州の双極性障害患者における、これら2つのリスク因子の発生率とその影響について、米国・ジョージ・ワシントン大学のRobert M. Post氏らが調査を行った。Psychiatry Research誌オンライン版2020年7月3日号の報告。  本研究の参加についてインフォームドコンセントを行い、詳細なアンケートに回答した双極性障害の外来患者967例を対象に、うつ症状または躁症状の発症年齢および初回治療時の年齢を評価した。発症年齢および初回治療開始の遅延について、米国の675例と、オランダおよびドイツ(欧州)の292例を比較し分析を行った。

新型コロナ、前立腺がん患者でアンドロゲン除去療法が感染を抑制か

 イタリアで新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により最も影響を受けた州の1つであるヴェネト州における集団ベースの研究で、アンドロゲン除去療法(ADT)を受けている前立腺がん患者ではSARS-CoV-2感染が抑制された可能性が示唆された。イタリア・パドヴァ大学のM. Montopoli氏らが報告した。Annals of Oncology誌2020年8月号に掲載。  SARS-CoV-2は、ウイルスのスパイク(S)蛋白であるアンジオテンシン変換酵素(ACE)2への結合とTMPRSS2によるS蛋白のプライミングにより細胞に侵入する。そのため、TMPRSS2を阻害すれば、SARS-CoV-2感染を阻害または軽減する可能性がある。

前立腺がん、診断後の肥満は死亡リスクと関連/JCO

 前立腺がん診断後の肥満は、死亡リスクと関連するのか。これまで明らかにされていなかったが、米国・エモリー大学のAlyssa N. Troeschel氏らは大規模コホート研究の結果、限局性前立腺がんなど転移の伴わない前立腺がんの生存者では、診断後の肥満(BMI値30以上)は心血管疾患関連死(CVDM)および全死因死亡の発生頻度が高く、前立腺がん特異的死亡(PCSM)も高まる可能性があることを明らかにした。結果を踏まえて著者は、「診断後の体重増加は、すべての原因および前立腺がんの結果として、より高い死亡率と関連している可能性がある」と述べている。Journal of Clinical Oncology誌2020年6月20日号掲載の報告。

健康問題を有する患者のメンタルヘルス改善のためのオンライン心理的介入~メタ解析

 Webベースの心理的介入は、ここ15年間で大幅に増加している。健康状態に慢性的な問題を有する患者における抑うつ、不安、苦痛症状に対するWebベースの心理的介入の有効性について、オーストラリア・ディーキン大学のV. White氏らが、検討を行った。Psychological Medicine誌オンライン版2020年7月17日号の報告。  1990年~2019年5月1日に公表された研究をMedline、PsycINFO、CINAHL、EMBASE、Cochrane Databaseより検索した。健康状態に慢性的な問題を有する成人における不安、抑うつ、苦痛を軽減することを主要および副次的な目的として実施されたWebベースの心理的介入のランダム化比較試験の英語論文を分析対象とした。結果の評価には、ナラティブ分析および変量効果メタ分析を用いた。

若年性乳がん、高出生体重と親の子癇前症が関連

 若年性乳がんと母親の周産期および出生後における曝露因子との関連について、米国・国立環境衛生科学研究所のMary V Diaz-Santana氏らが調査したところ、母親が妊娠時に子癇前症であった場合と高出生体重の場合に若年性乳がんリスクが高い可能性があることが示唆された。Breast Cancer Research誌2020年8月13日号に掲載。  本研究(Two Sister Study)は姉妹をマッチさせたケースコントロール研究で、ケースは50歳になる前に非浸潤性乳管がんまたは浸潤性乳がんと診断された女性、コントロールは乳がんを発症した同じ年齢まで乳がんではなかった姉妹とした。リスク因子として、母親の妊娠時における子癇前症・喫煙・妊娠高血圧・ジエチルスチルベストロールの使用・妊娠糖尿病、低出生体重(5.5ポンド未満)、高出生体重(8.8ポンド超)、短い妊娠期間(38週未満)、母乳育児、乳幼児期の大豆粉乳摂取を検討した。

マスク・手袋などのPPEによる皮膚疾患をどう防ぐか

 COVID-19感染流行の長期化に伴い、フェイスマスク・手袋をはじめとした個人用防護服(PPE)の長期着用を要因とした医療者の皮膚疾患が報告されている。こうした皮膚疾患への対応と予防策について、Seemal R. Desai氏らがJournal of the American Academy of Dermatology誌のリサーチレターで提言している。  サージカルマスク・N95マスク・ゴーグル・フェイスシールドなどのPPEは、マスク表面やストラップの摩擦によって耳の後ろや鼻梁、あるいは顔全体に接触皮膚炎を引き起こす、という報告がある。

日本人女性の食事パターンとうつ病との関連

 健康的な食事や地中海式の食事のような質の高い食事パターンは、うつ病の予防と関連しているといわれている。昭和女子大学の小西 香苗氏は、西洋的な食事パターンとは異なる健康的な日本の食事パターンが、日本人女性の抑うつ症状と関連しているかについて、調査を行った。Public Health Nutrition誌オンライン版2020年7月17日号の報告。  長野県の20~72歳の日本人女性1,337例を対象に横断的研究を行った。うつ症状は、米国国立精神衛生研究所でうつ病の疫学研究用に開発された自己評価尺度(CES-D Scale)を用いて評価を行った。食事パターンは、検証された簡便な食事歴アンケートを用いて評価し、56食品の摂取量から成分分析を行った。

日本人COVID-19死亡例、80代と2型糖尿病併存で最多

 メディカル・データ・ビジョン株式会社(以下、MDV)は、自社診療データベースから新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の死亡事例を調査。その結果、2020年2月~5月までの期間の死亡者は110例(男性:77例 、女性:33例)で、年代別では80代が4割超を占めていることが明らかになった。また、併存疾患では2型糖尿病が最も多かった。  主な結果は以下のとおり。 ・年代別では、90代が17例(15.5%)、80代が48例(43.6%)、70代が33例(30%)、60代が7例(6.4%)、50代が5例(4.5%)だった。100歳以上と40代から下の年齢層はいなかった。

白斑治療、JAK阻害薬のクリーム剤が有望

 白斑は慢性の自己免疫疾患で、皮膚の脱色とともに生活の質の低下をもたらす。白斑には承認された治療薬がなく、現行の適応外療法の効果は限定的である。改善された治療の開発が待たれる中、JAK阻害薬ルキソリチニブ(本邦では骨髄線維症、真性多血症の適応で承認)のクリーム製剤が、有望な治療選択肢となりうることが報告された。米国・タフツ・メディカルセンターのDavid Rosmarin氏らによる最長52週間にわたる第II相多施設共同二重盲検無作為化対照試験において、ルキソリチニブ・クリームの治療により、かなりの白斑病変で再色素沈着が認められ、忍容性は検討した全投与量で良好であったことが示された。結果を踏まえて著者は、「示されたデータは、ルキソリチニブ・クリームは、白斑患者にとって効果的な治療オプションとなりうることを示すものであった」と述べている。Lancet誌2020年7月11日号掲載の報告。

TN乳がんの術後補助療法、パクリタキセル+カルボプラチンでDFS改善/JAMA Oncol

 手術可能なトリプルネガティブ(TN)乳がんへの術後補助療法において、パクリタキセルとカルボプラチンの併用が標準レジメンより5年無病生存率が有意に高かったことが、無作為化第III相試験(PATTERN試験)で示された。中国・Fudan University Shanghai Cancer CenterのKe-Da Yu氏らが報告した。JAMA Oncology誌オンライン版2020年8月13日号に掲載。  本試験は中国の9施設のがんセンターと病院で実施された。対象患者は2011年7月1日~2016年4月30日に登録し、データはITT集団で2019年12月1日~2020年1月31日に解析した。

二ボルマブ+化学療法、胃がん食道がん1次治療法でOS、PFSを改善(CheckMate-649)/BMS

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、2020年8月11日、ファーストラインの転移性胃がん、胃食道接合部(GEJ)がんまたは食道腺がんを対象に二ボルマブと化学療法の併用療法を化学療法と比較評価したピボタルな第III相CheckMate-649試験において、二ボルマブと化学療法の併用療法が、PD-L1発現combined positive score(CPS)が5以上の患者において、主要評価項目である中間解析での全生存期間(OS)および最終解析での無増悪生存期間(PFS)の両方を達成したことを発表した。二ボルマブと化学療法の併用療法の安全性プロファイルは、ファーストラインの胃がんおよび食道がんの治療において二ボルマブと化学療法の併用療法でこれまでに認められているものと一貫していた。