虚血性脳卒中の血管内治療中のアスピリン・未分画ヘパリンの安全性と有効性の検討(MR CLEAN-MED)(解説:中川原譲二氏)
アスピリンおよび未分画ヘパリンは、虚血性脳卒中の血管内治療において、再灌流とアウトカムを改善するためにしばしば使用される。しかし、その適応に関する抗血栓薬の効果とリスクは明らかではなかった。そこで、虚血性脳卒中患者の血管内治療中に開始した静脈内アスピリンと未分画ヘパリンの両方あるいは片方の安全性と有効性を評価した。MR CLEAN-MED研究グループは、オランダ15ヵ所の医療センターを通じて、非盲検多施設共同無作為化比較試験を2×3要因デザインにて実施した。登録被験者は、発症から6時間以内で血管内治療が可能だった前方循環系の主幹脳動脈閉塞による虚血性脳卒中の18歳以上の患者とした。適格基準はNIHSSスコアが2以上で、CTまたはMRIで頭蓋内出血患者は除外した。Webベースの無作為化法にてブロック化と登録施設の層別化を行い、被験者を無作為に1対1の割合で周術期静脈内アスピリン(300mgボーラス)投与群またはアスピリン非投与群に割り付け、また1対1対1の割合で未分画ヘパリン中等量(5,000 IUボーラス、その後1,250 IU/時を6時間)投与群、同低量(5,000 IUボーラス、その後500 IU/時を6時間)投与群、未分画ヘパリン非投与群に割り付けた。主要アウトカムは、90日時点の修正Rankinスケール(mRS)スコアとした。安全性に関する主要アウトカムは、症候性頭蓋内出血とした。解析はintention to treatベースで行い、治療効果は、ベースライン予後因子で補正後のオッズ比(OR)または共通(common)ORとした。