日本には静脈血栓予防・治療の低分子ヘパリンがないのが痛いね(解説:後藤信哉氏)

医師は目の前の患者の予後の改善に努力する。10年以上の長いスパンで考えることはない。未来を見通して、将来増える疾患への対応を考えるのは製薬企業なのであろうか?ヘパリンは分子量の異なる各種分子の混合物である。吸収、代謝にばらつきがある。静脈投与と容量調節が必須である。低分子成分を抽出すると吸収、代謝が均一な「低分子ヘパリン」を作ることができる。均質な低分子なので「皮下注可能」、「容量調節不要」との利点がある。個別の患者による家庭での自己皮下注の可能性も開ける。静脈血栓の予防、治療のために日本でもフラグミンなどの適応を拡大しておく選択はあったが、選択してこなかった。