「抑うつ+過度な飲酒」その影響は? 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2013/06/10 多くの若者にとって、過度な飲酒はアルコール乱用の典型であり、とくに抑うつ症状を有する者によく見られる。それにもかかわらず、抑うつと過度な飲酒が合わさった際の神経心理学的アウトカムへの影響はほとんど知られていなかった。オーストラリア・シドニー大学のDaniel F. Hermens氏らは、この影響を検討した結果、抑うつに過度な飲酒が加わると視覚的学習能力、記憶力、精神的な柔軟性が低下することを報告した。Psychiatry Research誌オンライン版2013年5月28日号の掲載報告。 本研究は、抑うつを有する過度な飲酒者(binge-drinkers)が、抑うつ単独あるいは過度な飲酒単独と比べ、神経心理学的機能障害がより顕著であるか否かを検討することを目的とした。18~30歳の支援を求めている若者で、最近抑うつ症状が認められたbinge-drinkers(43例)またはnon-bingers(48例)について、神経心理学的検査を実施した。また、2つの健常対照群(binge-drinkers:24例、non-bingers:21例)を追加登録して、同様の検査を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・抑うつを有するbinge-drinkersは、抑うつ単独または過度な飲酒単独の場合に比べ、一貫して質的コントロールは不良であった。 ・抑うつを有するbinge drinkersでは視覚的学習能力と記憶力が有意に低下していた一方で、精神的な柔軟性については低下傾向がみられた。 ・抑うつ単独または過度な飲酒単独は、対照と比べ神経心理学的状態に有意な差はみられなかった。 ・以上を踏まえて著者は、「抑うつ症状を有する若年者に対しては、過度な飲酒に着目した治療戦略が、不良な長期臨床アウトカムの背景にある神経生物学的変化の予防に寄与しうることが示唆される」と結論している。 関連医療ニュース うつ病や不安障害患者は、季節性の症状変化を実感! 日本人のうつ病予防に期待?葉酸の摂取量を増やすべき 仕事のストレスが大きいほど、うつ病発症リスクは高い:獨協医科大学 (ケアネット) 原著論文はこちら Hermens DF et al. Psychiatry Res. 2013 May 28. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 複雑性黄色ブドウ球菌菌血症へのdalbavancin週1回投与、標準治療に非劣性/JAMA(2025/08/27) 若年者の大腸がん検診受診率を上げる方法は?(解説:上村 直実 氏)(2025/08/27) T-DXd、化学療法未治療のHER2低発現/超低発現の乳がんに承認取得/第一三共(2025/08/27) アカラブルチニブ、マントル細胞リンパ腫に承認取得/AZ(2025/08/27) 最低賃金上昇へは診療報酬の期中改定対応を要望/日医(2025/08/27) 玄関付近に植物のある家に住んだほうが日本人のうつ病リスクが低い(2025/08/27) 肥満症には社会全体で対応し、医療費を削減/PhRMA、リリー(2025/08/27) 医師の終末期の選択、95%が延命治療を拒否(2025/08/27) 幼児期の重度う蝕、母親の長時間インターネット使用と関連か(2025/08/27)