認知症に対する非定型抗精神病薬処方、そのリスクは?

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 認知症治療において、興奮症状などを抑制する目的で抗精神病薬が用いられることは少なくない。今後、認知症の増加に伴い、使用頻度がますます増加すると予想されることから、日本老年精神医学会では、認知症に対する抗精神病薬の使用状況について実態調査を行い、死亡率との関係を調べる計画である。

 このたび、カナダ・Women's College HospitalのPaula A. Rochon氏らは住民ベースの後ろ向きコホート研究から、認知症における非定型抗精神病薬投与と重大なイベント発症との関係を調査した。その結果、非定型抗精神病経口薬治療について、認知症高齢者では開始直後の重大イベントの発生リスクが高いこと、また治療開始後30日までの重大イベントについては全体でも階層グループ(ケアや年齢、併存疾患などによる)別にみた場合でも、女性よりも男性のほうが一貫してリスクが高いことが示された。Journal of the American Geriatrics Society誌2013年1月号(オンライン版2013年1月10日号)の掲載報告。

 研究グループは、高齢者の薬物療法における性差について明らかにすることを目的とした。カナダ、オンタリオ州に居住する認知症高齢者で、2007年4月1日~2010年3月1日の間に、新規に非定型抗精神病経口薬治療を開始した2万1,526人(女性1万3,760人、男性7,766人)を対象とした。重大イベントを、治療開始後30日までの入院または死亡と定義し、女性、男性の未調整/調整オッズ比を、全コホートならびに各階層群(治療、年齢、チャールソン併存疾患指数(CCI)、抗精神病薬投与量に基づく)において算出し、比較を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・調査対象の2万1,526人(年齢中央値84歳)のうち、1,889人(8.8%)が重大なイベントを有した。女性は1,044人(7.6%)、男性は845人(10.9%)であった。
・死亡例は、女性363人(2.6%)、男性355人(4.6%)であった。
・30日の追跡調査期間における入院または死亡は、男性のほうが女性よりも多く発生しており(補正オッズ比:1.47、95%CI:1.33~1.62)、その傾向は各階層別にみた場合も一貫していた。
・女性と男性の間での重大イベント発症について、薬剤投与量に準じたリスクの勾配が認められた。

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(ケアネット)

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