現在開発中の4週間型パリペリドン持続性注射剤の実力は?

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2012/06/27

 



リスペリドンの活性代謝物であるパリペリドン。現在、日本で使用可能なパリペリドンは徐放錠のみだが、海外では経口剤のほかに、パリペリドンパルミチン酸エステル(パリペリドン持効性注射剤)も使用可能であり、幅広い統合失調症患者に使用されている。Nussbaum氏らはこのパリペリドン持効性注射剤の臨床効果を評価し、Cochrane Database Syst Revオンライン版 2012年6月13日に報告した。

Cochrane Schizophrenia Group's Register(2009年11月)を検索し、無作為化試験(RCT)を含む参考文献をパリペリドン製造業社、FDA、当該試験の著者の協力のもとさらに詳しく調査した。参考文献は独自に選択し、批判的な評価を行い、データを抽出したうえでITT(intention-to-treat)解析により分析した。統計学的に有効性および安全性を評価可能なサンプル数をもとに、有益アウトカムおよび有害アウトカムにつながる治療必要数、リスク比(RR)および95%信頼区間(CI)を算出した。また、連続データについては平均差(MD)を算出した。

主な結果は以下のとおり。

・パリペリドン持効性注射剤とプラセボを比較した5試験より、2,215例を抽出した。

・パリペリドン持効性注射剤を投与した患者では初期の脱落が少なく(n=2,183、5RCTs、RR:0.76 [CI:0.07~0.84]、NNTB :9 [CI:7~14])、どの用量でも全体的な改善が認められない症例は有意に少なかった(n=1,696、4RCTs、RR:0.79 [CI:0.74~0.85]、NNTB:7 [CI:5~9])。

・再発を調査した1試験において、パリペリドン持効性注射剤の再発リスクは低かった(n=312、1RCTs、RR:0.28 [CI:0.17~0.48]、NNTB:5 [CI:4~6])。また、再発を有害事象として扱ったほかの試験においても、再発リスクは低いと考えられる(n=1,837、4RCTs、RR:0.55 [CI:0.44~0.68]、NNTB:10 [CI:8~14])。

・パリペリドン持効性注射剤は興奮または攻撃性との関連は低く(n=2,180、5RCTs、RR:0.65 [CI:0.46~0.91]、NNTB:39 [CI:25~150])、抗不安薬併用も少なかった(n=2,170、5RCTs、RR:0.89 [CI:0.83~0.96]、NNTB:16 [CI:11~44])。

・パリペリドン持効性注射剤は男女ともに血清プロラクチン値の有意な上昇を認めた。 これら短期間の試験における性機能不全は認められなかった。

・パリペリドン持効性注射剤を投与した患者ではプラセボ群と比較して有意な体重増加が認められた(n=2,052、5RCTs、MD:1.34 [CI:0.97~1.70])。

・パリペリドン持効性注射剤とリスペリドン持効性注射剤をそれぞれフレキシブルドーズで使用し比較した2試験によると、パリペリドン持効性注射剤の平均用量は4週毎に73.3㎎と104.6mgであり、リスペリドン持効性注射剤はそれぞれ2週毎に35.3mgと31.7mgであった。両薬剤間で試験の早期中止に差はなく(n=1,969、2RCTs、RR:1.12 [CI:1.00~1.25])、精神症状の再発率にも統計学的に差はなかった(n=1,961、2RCTs、RR:1.23 [CI:0.98~1.53])。また、死亡率にも有意な差は認められなかった(n=1,967、2RCTs、RR:3.62 [CI:0.60~21.89])。

・パリペリドン持効性注射剤投与患者では抗コリン薬との併用が有意に少なかった(n=1,587、2RCTs、RR:0.67 [CI:0.55~0.82]、NNTB:13 [CI:10~24])。

(ケアネット 鷹野 敦夫)

関連医療ニュース
 ・パリペリドンはリスペリドンより安全性プロファイルが良好
 ・厚労省も新制度義務化:精神疾患患者「社会復帰」へ
 ・「再発予防」がポイント! 精神疾患の治療目標を考える