オゾン長期曝露は呼吸系の死亡リスクを増大する

提供元:ケアネット

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公開日:2009/03/25

 


オゾンは大気汚染物質の1種であり、有害な健康アウトカムに関与していることが多くのスタディで示唆されている。しかし、大気汚染関連の死亡率とオゾンへの長期曝露との関連を断定できるデータはいまだ得られていない。カリフォルニア大学公衆衛生校環境健康科学部門のMichael Jerrett氏らは、過去のスタディの示唆をもとに、心肺系が原因の死亡リスク、特に呼吸器系が原因の死亡の、オゾン曝露の潜在的な寄与について調査を行った。NEJM誌2009年3月12日号より。

18年間、約12万の死亡例を分析




調査は、American Cancer Society Cancer Prevention Study IIのコホートデータを用いて行われた。これらは米国96都市の大気汚染データと関連づけることができ、分析は、コホート44万8,850例の18年の追跡調査期間中の死亡例11万8,777例について行われた。

分析に用いた1日の最大オゾン曝露濃度に関するデータは、1977年から2000年までの各年4月1日~9月30日までの分を入手。微細粒子物質(≦PM 2.5;直近のレビューで有害な健康アウトカムに影響すると示唆された値、PM:空気力学的直径)濃度に関するデータは、1999年と2000年分を入手し、オゾン濃度と死亡リスクとの関連は、標準多平面コックス回帰モデルを用いて調べられた。

オゾン濃度の増加に伴う、呼吸器系が原因の死亡リスクの有意な増加を実証




1種汚染物質モデル(オゾンデータが入手可能だった96都市とオゾン・微細粒子両データが入手可能だった86都市をベースとする)では、オゾンおよび微細粒子両濃度の増大と心肺系を原因とする死亡リスクの増大とに有意な関連が認められた。

2種汚染物質モデル(オゾン・微細粒子両データが入手可能だった86都市をベースとする)では、微細粒子濃度と心血管系が原因の死亡リスクとの関連、オゾン濃度と呼吸器系が原因の死亡リスクとの関連が認められた。

またオゾン濃度10ppb上昇に伴う、呼吸器系が原因の死亡リスクの相対リスクは1.040(95%信頼区間:1.010~1.067)と推定された。

Jerrett氏らは「我々が行った大規模試験の結果、微細粒子濃度(PM 2.5)を考慮した場合は、心血管が原因の死亡リスクとオゾン濃度との関連を見いだすことができなかった。しかしオゾン濃度の増加に伴って、呼吸器系が原因の死亡リスクが有意に増加をすることを実証することはできた」と結論した。

(武藤まき:医療ライター)