社会政策の寛容性が、幼児死亡率、高齢者超過死亡率を改善

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ケアネット

社会政策の寛容性が、幼児死亡率、高齢者超過死亡率を改善のイメージ



保健医療においては、社会政策をいかに制度設計するかとともに、どの程度の寛容性をもたせるかが重要なことが、北欧で実施されたNEWS(Nordic experience of welfare states and public health)プロジェクトの解析結果により明らかとなった。保健医療に関する重要な社会的決定要因の多くは社会政策の中心をなすものでもある。高所得国はいずれも社会保障プログラムを持つが、その制度設計や寛容性には国によって明確な違いが見られ、これらの差は特に子どもや高齢者の貧困率の各国間のばらつきにおいて明らかだという。スウェーデン・Stockholm 大学/カロリンスカ研究所医療公平化研究センターのOlle Lundberg氏が、Lancet誌2008年11月8日号で報告した。

夫婦共働き家庭支援の寛容性増大により子どもの死亡率が低下




研究グループは、家族政策や年金政策の各国間の違いがどの程度になれば幼児死亡率や高齢者の超過死亡率に差が生じるかについて調査した。

幼児死亡率、高齢者の超過死亡率が、社会政策の特徴や寛容性といかに関連するかを解析した。経済協力開発機構(OECD)加盟18ヵ国における1970~2000年の家族政策および1950~2000年の年金政策について横断的で時系列的なプール解析を行った。

夫婦共働き家庭を支援する家族政策の寛容性が増大するほど子どもの死亡率が低下したのに対し、旧来の就業男性と専業主婦女性の家族を支援する家族政策の寛容性が増大しても幼児死亡率は改善しなかった。夫婦共働き家庭の支援を1%増大させると、幼児死亡率が1,000出生当たり0.04低下した。

基本保障型の年金の寛容性が増大すると高齢者の超過死亡率が低下したのに対し、所得額に比例して支給される所得保障年金の寛容性が増大してもそのような効果は得られなかった。基本保障年金を1%増大させると、高齢者の超過死亡率が男女ともに0.02低下した。

著者は、「保健医療においては、社会政策をいかに制度設計するかとともに、どの程度の寛容性をもたせるかが重要である」と結論し、「それゆえ、保健医療の社会的決定要因への取り組みには、社会政策がきわめて重要となる」と指摘する。

(菅野守:医学ライター)

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