喫煙、固形燃料使用の抑制で、COPD、肺癌、結核の疾病負担が低下

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ケアネット

喫煙、固形燃料使用の抑制で、COPD、肺癌、結核の疾病負担が低下のイメージ



喫煙および固形燃料の使用を抑制すれば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)と肺癌の疾病負担が低下し、結核の効果的なコントロールが可能になることが、中国で行われた多リスク因子モデル研究で判明した。2002年の調査によれば、COPDは中国人の死因の第2位を占め、肺癌は第6位、結核は第8位であり、約200万人(全死亡の20.5%)がこれらの疾患で死亡している。一方、中国人男性の半数が喫煙者であり、一般家庭の70%以上が薪、作物残渣、石炭などの固形燃料を暖房や調理に用いているという。アメリカHarvard大学公衆衛生学部疫学科のHsien-Ho Lin氏が、Lancet誌2008年10月25日号(オンライン版2008年10月4日号)で報告した。

リスク因子の動向により将来の死亡率や発生率が受ける影響のシナリオを構築




本研究の目的は、リスク因子の動向によってCOPD、肺癌、結核の死亡率や発生率にどのような影響が生じるかを予測することである。典型的なデータソースを用いて過去の喫煙および家庭の固形燃料使用の傾向を推定し、将来にわたる一連のシナリオを構築した。

中国で実施された疫学研究のメタ解析や大規模試験のデータから、病因としてのリスク因子が疾患に及ぼす影響を評価した。COPDと肺癌に及ぼすリスク因子の有害な影響の経時的な累積、および結核感染リスクへの疾患罹患率の依存度を考慮したうえで、将来のCOPDと肺癌による死亡率および結核の発生率をモデル化した。試験方法およびデータ選択に対する試験結果のsensitivityを定量化した。

30年間で2,600万人のCOPD死、630万人の肺癌死が回避可能




中国では、現在の喫煙および固形燃料使用の状況が2003~2033年も維持されると仮定した場合、この間に6,500万人がCOPDで、1,800万人が肺癌で死亡すると予測される。COPDによる死亡の82%、肺癌死の75%が喫煙と固形燃料の複合的な影響を受けると考えられた。

2033年までに喫煙および固形燃料の使用が段階的に完全に停止されれば、2,600万人のCOPD死および630万人の肺癌死が回避可能と推算された。中等度の介入を行えば、COPD死が6~31%、肺癌死は8~26%低減されると考えられる。

2033年の結核の予測年間発生率は、2033年までに喫煙と固形燃料の使用が完全に停止されると仮定した場合に、対象の80%に直接監視下短期化学療法(DOTS)が継続的に施行されれば14~52%低減され、DOTS継続施行率が対象の50%であれば27~62%、20%であれば33~71%低減されると予測された。

研究グループは、「喫煙および固形燃料の使用を抑制すれば、COPDと肺癌の疾病負担の予測値が実質的に低下し、結核の効果的なコントロールに寄与する可能性がある」と結論し、「次なる重要なステップは、地域住民ベースの介入試験を実施するとともに、経済、エネルギー、健康部門の関連機関の政策対話を進めることである」と指摘している。

(菅野守:医学ライター)

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