医薬品研究をめぐる新聞報道に問題あり、一因に記者の無知

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ケアネット

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ニュースメディアは、患者はもちろん医師にとっても、医薬品研究に関する重要な情報源となっている。しかしニュース記事では、その研究が製薬企業の資金提供を受けて行われたものかどうか、あるいは、記事の中で医薬品の一般名とブランド名が用いられる頻度がどれくらいなのか、すなわち医薬品研究にありがちなバイアスについて、これまで明らかにされていなかった。ハーバード大学医学部のMichael Hochman氏らの研究グループが、医薬品研究に関するニュース記事について、製薬企業による資金提供の有無に関する情報提供、医薬品の一般名使用の頻度を評価するとともに、これらの問題に対する新聞編集者の考え方を調査検討した。JAMA誌2008年10月1日より。

企業による資金提供の明記、医薬品の一般名での記述を調査




2004年4月1日から2008年4月30日の間に刊行された主要医学専門誌5誌に発表された、製薬企業の資金提供を受けたすべての医薬品研究ニュース記事を、全米の新聞とオンライン・ソースから引き出し検討した。同時に、米国内で最も広く購読されている新聞100紙の編集担当者の意識についても調査を行った。

主要評価項目は、報道された研究が製薬企業の資金提供を受けたものかどうかが明らかになっている記事の割合、医薬品名を表記する際に一般名とブランド名のどちらを使ったかの割合とした。

さらに、それらの記事が製薬企業からの資金提供によるものであることを明記した新聞編集者の比率、記事で医薬品名を一般名で表記した編集者の比率(「常に」「しばしば」「時々」「ない」)、そして、これらの問題に関して新聞社が明確な方針を備えている割合も加えた。

編集者の主張と新聞社の方針に大きな開き




医薬品研究に関する306の新聞記事のうち、130(42%、95%信頼区間:37%~48%)が、研究が製薬企業から資金提供を与えられたものであることを報告していなかった。また277の記事が、医薬品について一般名とブランド名の両方を用いていたが、186(67%、61%~73%)は、医薬品に関する記述の少なくとも半分がブランド名だった。

調査に応じた93人の新聞編集者のうち、82人(88%、80%~94%)は、彼らの新聞記事は「常に」「しばしば」製薬企業の資金提供に触れていると答えた。92人中71人(77%、67%~85%)は、自分の原稿では医薬品名を「常に」「しばしば」一般名で表記していると答えた。

一方、これらの問題点に対する方針が文書化されていると回答したのは新聞92紙のうち、わずか3紙(3%、1%~9%)だけだったが、医薬品研究への製薬企業の資金提供の有無は報道していると答えた。なお医薬品名は一般名で記述しなければならないとの方針を明記していたのは93紙中2紙(2%、1%-8%)に過ぎなかった。

これらの結果から研究グループは、「医薬品研究に関する新聞記事ではしばしば、製薬企業の資金提供の事実を報告しなかったり、新聞編集者は主張しているが、医薬品名をあえてブランド名で記述する現実がある」と結論。また、「新聞記者の多くは、この種の問題の重要性を認識していないので、一般名での報道を促進する教育的労力も必要だ」と述べている。

(朝田哲明:医療ライター)

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