北米の院外心停止の発生率と転帰には有意な地域格差

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北米の院外心停止の発生率と転帰には有意な地域格差のイメージ

院外心停止はよく見られる致死的なイベントだが、院外心停止の発生率と転帰は地域の医療政策と関連しているのだろうか。検証にあたった米国・ワシントン大学のGraham Nichol氏らは「有意で重大な地域格差がある」と報告した。JAMA誌2008年9月24日号より。

米国・カナダの10地域で救急医療の対象者を追跡




研究は2006年5月1日~2007年4月30日にかけて、北米の10地域(米国8地域、カナダ2地域)で行われた「Resuscitation Outcomes Consortium(救急蘇生転帰共同事業体)」による院外心停止に関する前向き観察研究の全対象者を退院まで、2008年6月28日時点で利用可能なデータで追跡した。対象者(0~108年歳)は、救急医療サービスシステム(EMS:emergency medical services)スタッフによって、外傷はなく、体外除細動または心臓マッサージ、救急蘇生法が試みられたと評価された者。

主要転帰尺度は発症率、死亡率、致死率と、EMSスタッフにより評価・治療された生存退院患者、および心室細動が初発症状かどうか。

地域ごとの発生率と転帰には有意で重要な格差




10地域の合計人口は2,140万人で、期間中に2万520例の心停止があった。このうち合計1万1,898例(心停止全体の58.0%)は蘇生が試みられ、2,729例(処置されうちの22.9%)は、初発症状が、心室細動、または心室頻拍、心室律動、自動体外式除細動器(AED)によるものだった。

生存退院したのは954例(全体の4.6%)だった。

全地域の心停止発生率(EMS治療を受けた)の中央値は、人口10万人につき52.1(四分位数間領域:48.0~70.1)だった。

生存率は3.0~16.3%と幅があり、中央値は8.4%(5.4~10.4%)だった。

心室細動が初発の中央値は人口10万人につき12.6(10.6~5.2)で、生存率は7.7~39.9%、中央値は22.0%(15.0~24.4%)で、発生率と地域には有意な差があった(P<0.001)。

Nichol氏は「北米10地域では、院外心停止の発生率と転帰に有意で重大な地域差があった。地域格差の縮小には、入院前の救急医療に対して、より資源を配分することを検討すべき」と結論している。

(朝田哲明:医療ライター)

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