脳梗塞発症後4.5~24時間のtenecteplase、転帰改善せず/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2024/02/29

 

 多くの患者が血栓溶解療法後に血栓回収療法を受けていた脳梗塞の集団において、発症から4.5~24時間後のtenecteplaseによる血栓溶解療法はプラセボと比較して、良好な臨床転帰は得られず、症候性頭蓋内出血の発生率は両群で同程度であることが、米国・スタンフォード大学のGregory W. Albers氏が実施した「TIMELESS試験」で示された。tenecteplaseを含む血栓溶解薬は、通常、脳梗塞発症後4.5時間以内に使用される。4.5時間以降のtenecteplaseの投与が有益であるかどうかについての情報は限られていた。研究の詳細は、NEJM誌2024年2月22日号で報告された。

北米112施設の無作為化プラセボ対照比較試験

 TIMELESS試験は、米国の108施設とカナダの4施設が参加した二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験であり、2019年3月~2022年12月の期間に患者の無作為割り付けを行った(Genentechの助成を受けた)。

 年齢18歳以上、最終健常確認から4.5~24時間が経過した脳梗塞で、発症前に機能的自立(修正Rankin尺度[mRS、スコア範囲:0~6点、点数が高いほど機能障害が重度で6点は死亡を示す]のスコア0~2点)を保持していた患者を、tenecteplase(0.25mg/kg、最大25mg)を投与する群、またはプラセボを投与する群に無作為に割り付けた。脳梗塞は、NIHSSスコアが5点以上で、中大脳動脈M1/M2部または内頸動脈の閉塞を有し、灌流画像で救済可能組織を確認した患者であった。

 主要アウトカムは、90日後のmRSの順序スコアとした。

副次アウトカムの正式な仮説検証は行わず

 458例を登録し、tenecteplase群に228例(年齢中央値72歳[四分位範囲[IQR]:62~79]、女性53.5%)、プラセボ群に230例(73例[63~82]、53.5%)を割り付けた。354例(77.3%)が、血栓溶解療法後に血栓回収療法を受けた。最終健常確認から無作為化までの時間中央値は、tenecteplase群が12.3時間(IQR:9.2~15.6)、プラセボ群は12.7時間(8.7~16.5)であった。

 90日後の時点でのmRSスコア中央値は、tenecteplase群が3点(IQR:1~5)、プラセボ群も3点(1~4)だった。90日時のプラセボ群に対するtenecteplase群のmRSスコア分布の補正共通オッズ比は1.13(95%信頼区間[CI]:0.82~1.57)であり、両群間に有意な差を認めなかった(p=0.45)。

 有効性の主要アウトカムに有意差がなかったことから、副次アウトカムの正式な仮説検証は行わなかったが、90日時の機能的自立(mRSスコア≦2点)の割合は、tenecteplase群が46.0%、プラセボ群は42.4%であり(補正オッズ比:1.18、95%CI:0.80~1.74)、24時間後の再疎通の割合はそれぞれ76.7%および63.9%(1.89、1.21~2.95)、血栓回収療法後の再灌流の割合は89.1%および85.4%(1.42、0.75~2.67)であった。

死亡:19.7% vs.18.2%、症候性頭蓋内出血:3.2% vs.2.3%

 安全性のアウトカムの解析では、90日時の死亡がtenecteplase群19.7%(43例)、プラセボ群18.2%(39例)、36時間以内の症候性頭蓋内出血はそれぞれ3.2%(7例)および2.3%(5例)で発生した。また、有害事象、重篤な有害事象、有害事象による試験からの脱落の発生にも両群間に差を認めなかった。

 著者は、「発症から4.5時間以内のアルテプラーゼ投与について検討したさまざまな試験における静脈内投与から動脈穿刺までの時間中央値は25分であり、本試験では15分と短かったが、血栓回収療法前の再疎通の割合は同程度であった」としている。

(医学ライター 菅野 守)

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コメンテーター : 後藤 信哉( ごとう しんや ) 氏

東海大学医学部内科学系循環器内科学 教授

J-CLEAR理事