妊娠糖尿病、インスリン+メトホルミン vs.インスリン単独/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2023/12/27

 

 2型糖尿病を有するまたは妊娠初期に2型糖尿病と新規に診断された妊婦において、インスリン療法にメトホルミンを追加しても新生児の複合有害アウトカムは減少しなかった。米国・ノースカロライナ大学チャペルヒル校のKim A. Boggess氏らが、米国の17施設で実施した無作為化二重盲検第III相試験「MOMPOD試験」の結果を報告した。既往または妊娠初期に診断された2型糖尿病を有する妊婦には、インスリンの投与が推奨されるが、インスリンへのメトホルミンの追加により新生児の有害アウトカムが改善する可能性が示唆されていた。JAMA誌2023年12月12日号掲載の報告。

妊娠22週までの2型糖尿病(新規診断を含む)を有する妊婦が対象

 研究グループは2017年6月~2021年11月に、単胎妊娠10週0日~22週6日で2型糖尿病を有する、または23週より前にインスリンを必要とする糖尿病と診断された、18~45歳の成人女性を対象とした。施設、妊娠週数(18週未満、18週以上)、糖尿病診断時期(既往、妊娠初期)で層別化し、メトホルミン(1,000mg)群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付けた。全例がインスリンの投与を受け、それぞれ割り付けられた試験薬を出産まで1日2回経口投与した。

 主要アウトカムは、周産期死亡(妊娠10~20週の胎児死亡、20週以上の死産、または出生後28日以内の新生児死亡)、妊娠37週以前の早産、新生児低血糖、出生時外傷(臍動脈pH<7.05、肩甲難産)、光線療法を必要とする高ビリルビン血症、在胎不当過大児、在胎不当過小児、2,500g未満の低出生体重児といった、新生児複合有害アウトカムであった。

 事前に規定した副次アウトカムは、母体の低血糖と出生時の新生児脂肪量。また、主要アウトカムに関して、母体のBMIが30未満vs.30以上、2型糖尿病既往vs.妊娠初期の2型糖尿病診断、無作為化時の妊娠週数18週未満vs.18週以上23週未満で、サブグループ解析を行うことが事前に規定された。

新生児複合有害アウトカムの発生率は71% vs.74%

 2017年6月~2021年11月に、スクリーニングを受けた2,667例中831例が無作為化された。695例が出産し追跡調査を完了した後、データ安全性モニタリング委員会は無益性により試験の中止を勧告し、登録は同年11月に中止された。追跡調査は2022年5月に終了した。

 無作為化された831例のうち、試験薬を少なくとも1回服用した794例が主要解析に組み入れられた(メトホルミン群397例、プラセボ群397例)。平均(SD)年齢は32.9(5.6)歳、234例(29%)が黒人、412例(52%)がヒスパニックであった。

 主要アウトカムの発生は、メトホルミン群で280例(71%)、プラセボ群で292例(74%)に認められ、両群間に有意差はなかった(補正後オッズ比[OR]:0.86、95%信頼区間[CI]:0.63~1.19)。

 両群において多く認められた主要アウトカムのイベントは、妊娠37週以前の早産(それぞれ34%、37%)、新生児低血糖(39%、42%)、および在胎不当過大児(26%、36%)であった。在胎不当過大児については、プラセボ群と比較したメトホルミン群でのイベントが少なかった(補正後OR:0.63、95%CI:0.46~0.86)。

 事前に規定された副次アウトカム、ならびにサブグループ解析は、両群間で同等であった。

 なお著者は、「インスリンへのメトホルミンの追加で観察された在胎不当過大児のオッズ比減少の効果については、さらなる検討が必要である」と述べている。

(ケアネット)

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コメンテーター : 小川 大輔( おがわ だいすけ ) 氏

おかやま内科 糖尿病・健康長寿クリニック 院長

J-CLEAR会員