再発・進行子宮頸がん、アテゾリズマブ+ベバシズマブ+化学療法がOS・PFS改善(BEATcc)/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2023/12/14

 

 転移、治療抵抗性、再発のいずれかを有する子宮頸がんにおいて、ベバシズマブ+プラチナ製剤を含む化学療法へのアテゾリズマブの上乗せは、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)ともに有意に延長することが、スペイン・バルデブロン腫瘍学研究所のAna Oaknin氏らが行った研究者主導の第III相無作為化非盲検試験「BEATcc試験」の結果で示された。転移のあるまたは再発の子宮頸がんに対しては、GOG240試験でベバシズマブ+化学療法が標準的な1次治療として確立されており、今回のBEATcc試験(ENGOT-Cx10/GEICO 68-C/JGOG1084/GOG-3030)ではこれに加えて免疫チェックポイント阻害薬の上乗せを評価した。結果を踏まえて著者は、アテゾリズマブの追加について「1次治療の新たな選択肢と見なすべきである」としている。Lancet誌オンライン版2023年12月1日号掲載の報告。

日本、欧州、米国の医療機関92ヵ所で試験

 BEATcc試験は、日本、欧州、米国の医療機関92ヵ所で行われた。対象は測定可能な病変を有し、転移(StageIVB)、治療抵抗性、再発のいずれかを認める子宮頸がんで、未治療、手術・放射線療法が非適応の18歳以上の患者であった。

 被験者は1対1の割合で無作為に2群に分けられ、標準療法(シスプラチン50mg/m2またはカルボプラチンAUC5、パクリタキセル175mg/m2、ベバシズマブ15mg/kg、いずれも3週ごとに投与)、または標準療法にアテゾリズマブ1,200mg(3週ごとに投与)を上乗せするアテゾリズマブ併用療法を受けた。病勢進行、許容できない毒性、患者の離脱もしくは死亡まで治療を継続した。併用化学放射線療法歴の有無、組織学的分類(扁平上皮がん、腺扁平上皮がんを含む腺がん)、プラチナ製剤(シスプラチン、カルボプラチン)で層別化した。

 主要評価項目は2つで、RECISTに基づく治験責任医師評価のPFSと、ITT集団におけるOSとした。

PFS中央値、標準療法群10.4ヵ月、アテゾリズマブ併用群13.7ヵ月

 2018年10月8日~2021年8月20日に、適格性の評価を受けた519例中410例が試験に登録された(アテゾリズマブ併用群206例、標準療法群204例)。ベースラインでの両群の特性は類似しており、年齢中央値はアテゾリズマブ併用群51.0歳(四分位範囲[IQR]:43.0~60.0)、標準療法群52.5歳(43.5~61.0)、ECOG PS0は67%と63%であった。また、410例のうち263例(64%)が手術の有無にかかわらず化学療法既往で、90例(22%)が試験登録時にStageIVBであった。日本人の参加は、アテゾリズマブ併用群30例(15%)、標準療法群26例(13%)。

 主要解析のデータカットオフ時点(2023年7月17日)で、全集団の追跡期間中央値は32.9ヵ月(95%信頼区間[CI]:31.2~34.6)。同時点のPFS中央値は、アテゾリズマブ併用群13.7ヵ月(95%CI:12.3~16.6)、標準療法群10.4ヵ月(9.7~11.7)だった(ハザード比[HR]:0.62、95%CI:0.49~0.78、p<0.0001)。

 また、中間解析(データカットオフ時点)でのOS中央値は、アテゾリズマブ併用群32.1ヵ月(95%CI:25.3~36.8)、標準療法群22.8ヵ月(20.3~28.0)だった(HR:0.68、95%CI:0.52~0.88、p=0.0046)。

 Grade3以上の有害事象の発現は、アテゾリズマブ併用群79%、標準療法群75%。アテゾリズマブ併用群で発現増大が認められた有害事象は、Grade1~2の下痢、関節痛、発熱、発疹だった。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)