腎細胞がん術後補助療法、エベロリムスは無再発生存期間を改善せず(EVEREST)/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2023/08/15

 

 腎摘除術後の再発リスクが高い腎細胞がん患者において、術後補助療法としての哺乳類ラパマイシン標的タンパク質エベロリムスはプラセボと比較して、無再発生存期間を改善せず、Grade3/4の有害事象の頻度が高かったことが、米国・オレゴン健康科学大学Knightがん研究所のChristopher W. Ryan氏らが実施した「EVEREST試験」で示された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2023年7月28日号で報告された。

米国の無作為化プラセボ対照第III相試験

 EVEREST試験は、米国の398の大学および地域の研究センターで実施された二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2011年4月~2016年9月の期間に患者の無作為化が行われた(米国国立衛生研究所[NIH]などの助成を受けた)。

 年齢18歳以上の腎細胞がんで、腎臓の外科的完全切除術を受け、切除断端陰性の患者を、エベロリムス10mgまたはプラセボの1日1回経口投与を54週間施行する群に、1対1の割合で無作為に割り付けた。

 主要評価項目は、無再発生存期間(無作為化の日から最初の再発または全死因死亡の日までの期間)であった。

 1,499例を登録し、エベロリムス群に755例(年齢中央値58歳、男性69%、白人91%、超高リスク例55%)、プラセボ群に744例(58歳、70%、90%、55%)を割り付けた。全体の90%が根治的腎摘除術を、残りの10%が腎部分切除術を受け、17%が非淡明細胞がんであった。

超高リスク群では、無再発生存期間が有意に良好

 フォローアップ期間中央値76ヵ月(四分位範囲[IQR]:61~92)の時点で、両群とも無再発生存期間中央値には到達しなかった。5年無再発生存率は、エベロリムス群が67%(95%信頼区間[CI]:63~70)、プラセボ群は63%(60~67)であり、層別log-rank検定でp値は0.050であったが、ハザード比(HR)は0.85(95%CI:0.72~1.00、p=0.051)と、事前に規定された有意差の閾値(p=0.044)を満たさなかった。最も頻度の高い再発部位は肺で、次いでリンパ節だった。

 また、超高リスク群では、エベロリムス群で無再発生存期間の有益性が認められた(HR:0.79、95%CI:0.65~0.97、p=0.022)が、中~高リスク群では有益性はなかった(0.99、0.73~1.35、p=0.96)。

 両群とも全生存期間中央値には到達せず、有意な差はなかった(層別HR:0.90、95%CI:0.71~1.13、p=0.36)。5年全生存率は、エベロリムス群が87%(95%CI:84~89)、プラセボ群は85%(82~87)だった。

 Grade3以上の有害事象は、プラセボ群が11%(79/723例)で発現したのに対し、エベロリムス群は46%(343/740例)と頻度が高かった。エベロリムス群で高頻度の有害事象として、口内炎(64%)、倦怠感(56%)、下痢(33%)、斑状丘疹状皮疹(31%)が、検査値異常として、高トリグリセリド血症(53%)、高コレステロール血症(49%)、貧血(42%)、高血糖(35%)がみられ、同群で高頻度のGrade3以上の有害事象は、口内炎(14%)、高トリグリセリド血症(11%)、高血糖(5%)であり、治療関連死は認めなかった。

 著者は、「全生存期間への影響を判断するには、より長期の調査を要する。本試験の結果は、術後補助療法としてのエベロリムスの使用を支持しないが、超高リスク例で示唆された無再発生存期間の有益性は、この患者群においてエベロリムスのさらなる研究を進めるべきかの検討を正当化する」としている。

(医学ライター 菅野 守)