腎不全死亡、オンラインHDFが従来血液透析よりリスク低下/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2023/06/30

 

 腎不全患者において、大量血液透析濾過(high-dose hemodiafiltration with on-line production:オンラインHDF)は従来のハイフラックス膜を使用した血液透析(HFHD)と比較して、全死因死亡リスクを低下することが示された。オランダ・ユトレヒト大学病院のPeter J. Blankestijn氏らが欧州8ヵ国の61施設で実施した実用的な無作為化比較試験「CONVINCE研究」の結果を報告した。いくつかの研究で、腎不全患者では標準的な血液透析と比較し、オンラインHDFが有用である可能性が示唆されているが、発表されている研究には限界があり追加データが必要とされていた。NEJM誌オンライン版2023年6月16日号掲載の報告。

3ヵ月以上HFHDを受けている患者を、継続群またはオンラインHDF群に無作為化

 研究グループは、HFHDを3ヵ月以上受けていたオンラインHDF(後希釈HDFで置換液量23L以上)の候補者で、週3回の透析を受ける意思があり、患者報告アウトカム評価を完了することが可能と判断された18歳以上の成人患者を、HFHDの継続(従来透析)群とオンラインHDF群に無作為に割り付け追跡評価した。

 主要アウトカムは、全死因死亡。副次アウトカムは、死因別死亡、致死的または非致死的心血管イベントの複合、腎移植、あらゆる原因の再入院または感染症関連の再入院であった。

全死因死亡率、オンラインHDF群17.3% vs.継続群21.9%

 2018年11月~2021年4月に、合計1,360例が無作為化された(オンラインHDF群683例、継続群677例)。追跡期間中央値は30ヵ月(四分位範囲[IQR]:27~38)。オンラインHDF群において、1セッション当たりの置換液量23±1Lを達成した患者は92%で、平均置換液量は25.3Lであった。

 主要アウトカムの全死因死亡は、オンラインHDF群で118例(17.3%)、継続群で148例(21.9%)に発生し、ハザード比(HR)は0.77(95%信頼区間[CI]:0.65~0.93、p=0.005)であった。

 心血管イベントによる死亡リスク(HR:0.81、95%CI:0.49~1.33)、致死的または非致死的心血管イベントの複合死亡リスク(1.07、0.86~1.33)は、両群で同等であった。

(医学ライター 吉尾 幸恵)

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コメンテーター : 浦 信行( うら のぶゆき ) 氏

札幌西円山病院 名誉院長

J-CLEAR評議員