再発急性扁桃炎の咽頭痛への有効性、摘出術vs.保存的治療/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2023/05/29

 

 成人の再発性急性扁桃炎に対する扁桃腺摘出術は、保存的治療と比較して臨床的に有効であり、費用対効果も優れることが、英国・ニューカッスル大学のJanet A. Wilson氏らが同国の国民保健サービス(NHS)国立健康研究所(NIHR)からの委託を受け、英国内27施設で実施した実用的多施設共同無作為化非盲検比較試験「NATTINA試験」の結果で示された。扁桃腺摘出術は、成人の急性扁桃炎患者に一般的に行われているが(英国では年間約1万6,000件)、エビデンスは十分でない。また、扁桃腺摘出術は減少しているが、半面で急性扁桃腺炎の合併症による成人の入院が増加している現状があった。Lancet誌オンライン版2023年5月17日号掲載の報告。

扁桃腺摘出術群vs.保存的治療群に無作為化、2年間の咽頭痛日数を比較

 研究グループは、2次医療機関の耳鼻咽喉科に新規紹介された16歳以上の再発性急性扁桃炎患者を、扁桃腺摘出術群と保存的治療群に、可変長のランダム置換ブロック法を用いて1対1の割合で無作為に割り付けた。

 層別化因子は、募集施設、およびTonsil Outcome Inventory-14スコア(軽症0~35、中等症36~48、重症49~70と定義)を用いて評価した症状重症度であった。扁桃腺摘出群では、無作為化後8週間以内に口蓋扁桃を切除する予定手術を行い、保存的治療群では24ヵ月間標準的な非外科的治療を行った。

 主要アウトカムは、無作為化後24ヵ月間の咽頭痛の日数(週に1回、主にテキストメッセージ[電子メール、電話も可]で報告してもらいデータを収集)とした。主要解析はintention-to-treat(ITT)解析で行われた。

2年間の咽頭痛日数中央、扁桃摘出群23日、保存的治療群30日

 2015年5月11日~2018年4月30日の間に、4,165例が適格性を評価され、適格基準を満たした453例が無作為に割り付けられた(扁桃腺摘出術群233例vs.保存的治療群220例)。そのうち主要アウトカムのデータが得られなかった24例が解析から除外され、429例(95%)が主要ITT解析に組み入れられた(224例vs.205例)。

 患者背景は、年齢中央値23歳(四分位範囲[IQR]:19~30)、女性355例(78%)、男性97例(21%)で、407例(90%)が白人であった。

 24ヵ月間の咽頭痛の日数中央値は、扁桃摘出群23日(IQR:11~46)、保存的治療群30日(14~65)であり、扁桃摘出群が少なかった。部位とベースラインの重症度で調整後の保存的治療群に対する扁桃摘出群の総咽頭痛日数発生率比は0.53(95%信頼区間[CI]:0.43~0.65、p<0.0001)であった。

 扁桃摘出術を受けた231例中90例(39%)に、扁桃摘出術に関連する有害事象が191件発生した。主な有害事象は出血(44例、19%)、主な重篤な有害事象は出血(34例、15%)、感染症(6例、3%)であった。試験期間中に死亡は報告されなかった。

(ケアネット)