心的外傷を負ったインドネシアの小児に対する精神保健介入

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ケアネット

心的外傷を負ったインドネシアの小児に対する精神保健介入のイメージ

武力紛争に巻き込まれた中・低所得層の児童に対する、精神保健面の介入の有効性は明らかではない。貧困と不安定な政治状況では、対処は困難である。宗教紛争で住民に多数の犠牲者が出たインドネシア・ポソ県で活動するオランダのNGO「Health Net TPO」のWietse A. Tol氏らは、紛争で心的外傷を負った小児のために、学校ベースの介入を試み、その成果を報告した。JAMA誌2008年8月13日号より。

405例にグループ介入を行い、待機群と成果を比較




被験者は、同県で紛争が起きた地域から無作為に選んだ学校に通う平均年齢9.9歳(標準偏差:1.3)の小児で、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と不安障害を露呈している495例(包含率81.4%)。学校ベースのグループ介入は、5週間にわたる15セッションで、心的外傷に対応する行動や共同での遊び、創造的で表現力に富む構成要素を含んでおり、地元で訓練された助手によって行われた。

介入は2006年3~12月に行われ、介入の1週間後と6ヵ月後に、非盲検法で治療の成果を比較。精神医学的症状は「Child Posttraumatic Stress Scale」と「Depression Self-Rating Scale」および「Self-Report for Anxiety Related Disorders 第5版」「Children's Hope Scale」などに基づいて評価した。

PTSDは改善したが抑うつ症状には効果なし




治療群は待機群より、PTSDの症状が有意に改善されていた(平均変化差:2.78、95%信頼区間:1.02~4.53)ほか、待機群より、希望を持ち続けることも認められた(-2.21、-3.52~-0.91)。しかし、ストレスに起因する身体症状の変化(0.50、-0.12~1.11)、抑うつ症状(0.70、-0.08~1.49)、不安障害(0.12、-0.31~0.56)、機能障害(0.52、-0.43~1.46)などには、治療群と待機群に有意な差異は認められなかった。

紛争の影響にさらされた小児に対して、学校ベースの介入はPTSDを減らし、希望を持ち続けられるようになるなど一定の効果は認められた。しかし、抑うつ症状や不安症状、機能障害などには改善が認められなかったと結論している。

(朝田哲明:医療ライター)

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