中国でのCOVID-19、第2波の潜在的可能性は/Lancet

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2020/04/16

 

 中国では2020年1月23日に全国的な新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019、COVID-19)拡散防止措置を実施後、国内の主な感染地域における感染者の再生産数(1人の感染者が生産する2次感染者数、Rt)は1未満へと大幅に減少し維持されていたことを、中国・香港大学のKathy Leung氏らが報告した。しかしながら、ウイルス再生産数のリスクは高く、とくに海外から持ち込まれるリスクが高いとして、著者は「潜在的な第2波に備えてRtと致死率の厳格なモニタリングを行いつつ、健康と経済活動の最適なバランスを取ることが必要である」としている。Lancet誌オンライン版2020年4月8日号掲載の報告。

感染症モデルで第2波の可能性を検証

 COVID-19のアウトブレイクを招いた中心地の湖北省武漢市を除くと、中国本土における感染者数は2020年3月18日時点で1万3,415例であり、死者は120例と報告されている。1月23日からは、全国的に大規模な公衆衛生上の介入を実施してアウトブレイクの食い止めを図っており、研究グループは、武漢市以外の主要地域におけるCOVID-19の第1波の感染状況と疾患重症度の評価を行った。

 具体的に北京、上海、深セン、温州およびCOVID-19感染確認者数が多い10の中国地方都市について、瞬間的Rtを推算した。また、北京、上海、深セン、温州と全31地域について致死率(cCFR)を推算した。

 感染症モデル「SIR(susceptible-infectious-recovered)モデル」を用いて、流行第1波後の拡散防止措置緩和による、第2波の可能性を検証した。

第2波後には再度の拡散防止措置が必要に

 調査対象の全市・省において、1月23日に拡散防止措置が実施された後、Rtは大幅に減少し、その後は1未満に維持されていた。

 cCFRは、湖北省で5.91%(95%信頼区間[CI]:5.73~6.09)だったのに対し、湖北省以外では0.98%(0.82~1.16)と、およそ5分の1にとどまっていた。

 また、感染の流行が小規模な段階で介入を緩和すれば、指数関数的に感染者数は増えていく(Rt>1)と推算されたこと、再び積極的拡散防止措置を実施しなければ、緩和以前の状態に戻すことは困難になることが示されたという。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)