進行卵巣がん、後腹膜リンパ節郭清は必要か/NEJM

提供元:
ケアネット

進行卵巣がん、後腹膜リンパ節郭清は必要か/NEJMのイメージ

 進行卵巣がんの手術において、腹腔内腫瘍が肉眼的に完全切除され、術前・術中ともにリンパ節が正常な患者への骨盤・傍大動脈リンパ節の系統的郭清は、非郭清例と比較して全生存(OS)期間および無増悪生存(PFS)期間のいずれをも延長させず、術後合併症の頻度は高いことが、ドイツKliniken Essen-MitteのPhilipp Harter氏らが行ったLION試験で示された。研究の成果は、NEJM誌2019年2月28日号に掲載された。肉眼的完全切除例に対する骨盤・傍大動脈リンパ節の系統的郭清がもたらす生存への有益性は、その可能性を示唆する後ろ向きの解析がいくつかあるが、無作為化試験のエビデンスは限られているという。

郭清の有無でOSを比較する無作為化試験
 研究グループは、進行卵巣がん肉眼的完全切除例における骨盤・傍大動脈リンパ節の系統的郭清に関する前向き無作為化対照比較試験を実施した(Deutsche ForschungsgemeinschaftとAustrian Science Fundの助成による)。

 対象は、年齢18~75歳、新規に進行卵巣がん(国際産婦人科連合[FIGO]分類IIB~IV期)と診断され、全身状態(ECOG PS)が0/1で、肉眼的完全切除を受け、術前・術中ともにリンパ節が正常の患者であった。

 手術中に、肉眼的完全切除が達成された患者が、リンパ節郭清を受ける群または受けない群に無作為に割り付けられた。参加施設は試験参加前に、手術技術に関する基準を満たすことが求められた。主要評価項目はOS期間であった。

OS:65.5ヵ月 vs.69.2ヵ月、PFS:25.5ヵ月 vs.25.5ヵ月
 2008年12月~2012年1月の期間に、647例が無作為化の対象となり、リンパ節郭清群に323例(年齢中央値:60歳[範囲:21~83]、FIGO Stage IIIB/IV:80.8%)、非郭清群には324例(60歳[23~78]、75.3%)が割り付けられた。リンパ節郭清群における切除リンパ節数中央値は57個(骨盤リンパ節35個、傍大動脈リンパ節22個)だった。

 OS期間中央値は、リンパ節郭清群が65.5ヵ月と、リンパ節非郭清群の69.2ヵ月との間に有意な差を認めなかった(リンパ節郭清群の死亡のハザード比[HR]:1.06、95%信頼区間[CI]:0.83~1.34、p=0.65)。また、PFS期間中央値は、両群とも25.5ヵ月であった(リンパ節郭清群の病勢進行または死亡のHR:1.11、95%CI:0.92~1.34、p=0.29)。

 リンパ節郭清群では、退院時の抗菌薬治療を要する感染症(25.8% vs.18.6%、p=0.03)およびリンパ囊胞(無症状:4.3% vs.0.3%、p<0.001、有症状:3.1% vs.0、p=0.001)が有意に多かった。また、重篤な術後合併症として、術後60日以内の再開腹(12.4% vs.6.5%、p=0.01)および死亡(3.1% vs.0.9%、p=0.049)の頻度が有意に高かった。

 術後の全身治療として、プラチナ製剤+タキサン系薬剤±ベバシズマブが、リンパ節郭清群の80.5%、リンパ節非郭清群の83.9%で施行された。

 著者は、「この、前向きに無作為化され、十分な検出力を有する国際的な多施設共同試験の結果は、進行卵巣がんにおけるリンパ節郭清の役割に関する長年の議論にレベル1のエビデンスを付与するとともに、臨床エビデンスの創出における適切な研究方法の使用の重要性を繰り返し強調するものである」としている。

(医学ライター 菅野 守)

掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。)

会員の方へ