子供がいる米国女医、職場内差別を経験/BMJ

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 米国・カリフォルニア大学のMeghan C. Halley氏らが実施した大規模な質的研究の結果、子供を持つ女性医師は、母親ゆえに、頻繁で持続的な、時には露骨な差別を経験していることが明らかになった。そうした母親差別の経験は、他の専門職の女性らの報告と合致する一方で、医師研修に特有の側面もあること、また母親差別を助長する同僚(medical profession)が存在することも示唆されたという。先行研究で、女性医師の3分の2以上が性的な差別を、また女性臨床研究医の3分の1はセクシャルハラスメントを経験しているという報告はあったが、母親ゆえの差別あるいはその後の医師としてのキャリアへの影響に関するデータは限られていた。今回の結果を受けて著者は、「医学・医療分野における母親差別の影響を緩和するためには、出産・育児休暇、保育への取り組みの構造的な変化が必要である」と見解を述べている。BMJ誌2018年12月12日号(クリスマス特集号)掲載の報告。

Facebookグループで調査、差別の経験についての回答を自由記述形式で
 研究グループは、子供がいるために受けた差別の経験を自身の言葉で報告することを目的に、米国の子供を持つ女性医師のオンラインコミュニティであるFacebookグループ「Physician Moms Group」において、子供を持つ女性医師の健康と福祉に関するオンライン調査を行った。

 調査期間は2016年6月17日~8月末で、調査を完遂した参加者は計5,782人であった。同調査では、人口統計学的情報、身体的健康、リプロダクティブ・ヘルス、差別の経験、職場の変更の可能性、および燃え尽き症候群などに関する質問が含まれた。差別に関しては、「職場で次のような差別を経験したことがありますか(当てはまるものをすべて選択してください)」という質問に続き、経験を自由記述式で回答してもらった。研究グループは今回、この回答で得られた自由記述を分析した。

報酬の不平等、昇進機会の制限など、さまざまな差別が明らかに
 差別に関する自由記述は1,009人から得られ、3人の分析者がグラウンデッド・セオリー法を用いてデータを定性分析した。最終分析には、女性または母親ゆえの差別とは無関係の記述(62例)を除く947人の記述が含まれた。

 参加者は、母親ゆえのさまざまな差別経験を鮮明に記述していた。特定された重要な問題は、差別意識に基づく仕事への期待(同僚より高いレベルが求められる)、報酬の不平等(同レベルの男性医師より報酬が低く、無償労働が多い)、昇進機会の制限、妊娠中および出産後の支援不足、ワークライフバランスの困難さなどであった。加えて参加者の記述から、母親差別の潜在的ないくつかの構造的誘因が示されるとともに、こうした母親差別は、その医師自身、キャリア、家族、ヘルスケアシステムに影響を及ぼすことが示唆された。

 なお、著者は、調査への参加は自主的なもので回答が偏っている可能性があることや、差別によって専門職をすでに辞していた場合は差別感の度合いが過小評価されているといった点で、結果は限定的であると述べている。

(医学ライター 吉尾 幸恵)

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