子宮頸がん検診の間隔、5年以上でも安全か/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2016/10/19

 

 ヒトパピローマウイルス(HPV)陰性女性では、子宮頸がんおよびGrade 3以上の子宮頸部上皮内腫瘍(CIN3+)の長期的なリスクはきわめて低いが、陽性女性ではCIN3+の長期的リスクがかなり高いことが、オランダ・アムステルダム自由大学医療センターのMaaike G Dijkstra氏らが進めるPOBASCAM試験で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2016年10月4日号に掲載された。HPV検査およびHPV検査+細胞診の組み合わせによる子宮頸がん検診は、細胞診のみの検診よりも早期に、Grade 3のCINを検出することが示されているが、5年以上の間隔を置いた検診の安全性のエビデンスは不十分とされる。オランダでは、2017年に、HPVベースの検診プログラムにおける40歳以上のHPV陰性女性のHPVの検診間隔が、5年から10年に延長される予定だという。

5年以上の検査間隔の早期リスクを無作為化コホート試験で評価
 POBASCAMは、オランダのHPVベースの子宮頸がん検診プログラムの検診間隔を5年以上に延長した場合の早期リスクを評価する地域住民ベースの無作為化コホート試験(オランダ保健研究開発機構の助成による)。研究グループは、今回、14年の長期フォローアップの結果を報告した。

 本試験には、1999年1月~2002年9月に、HPV検査陰性または細胞診陰性、あるいは双方とも陰性の29~61歳の女性4万3,339例が登録された。これらの女性が、子宮頸がん検診としてHPV検査と細胞診の双方を行う群(介入群)または細胞診のみを行う群(対照群)に無作為に割り付けられた。5年ごとに3回の検診が実施された。

 主要評価項目は、CIN3+の累積発生率であった。HPV陽性女性については、細胞診陰性、16/18型HPV陰性、リピート細胞診陰性の場合に、CIN3+の発生率が低下するかについて検討した。

陰性女性のCIN3+リスクは、40歳以上のほうが低い
 介入群のHPV陰性女性では、3回の検診後の子宮頸がんの累積発生率は0.09%、CIN3+の累積発生率は0.56%であった。対照群の細胞診陰性女性における2回の検診後の子宮頸がんの累積発生率は0.09%、CIN3+の累積発生率は0.69%であり、いずれも両群で同様の結果であった。

 また、子宮頸がんのリスク比は0.97(95%信頼区間[CI]:0.41~2.31、p=0.95)、CIN3+のリスク比は0.82(95%CI:0.62~1.09、p=0.17)であった。

 これらは、HPV検査陰性の場合、細胞診陰性に比べ、子宮頸がんのリスクが低い期間が長いことを示唆する。

 HPV陰性女性では、40歳以上が40歳未満に比べCIN3+の発生率が72.2%(95%CI:61.6~79.9%、p<0.001)低く、有意差が認められた。子宮頸がんの発生率と年齢には、有意な関連はみられなかった。

 一方、HPV陽性女性のCIN3+の発生率はかなり高く、HPV検査陽性で細胞診陰性、16/18型HPV陰性、リピート細胞診陰性の女性におけるCIN3+の発生率は、HPV検査陰性女性の10.4倍(95%CI:5.9~18.4)に達した。

 著者は、「これらの知見は、HPV検査陰性の40歳以上の女性における検診間隔の10年への延長を正当化すると考えられる。HPV陽性で、細胞診トリアージ陰性の女性では、CIN3+の長期的なリスクが高く、検診期間の延長は支持されない」とまとめている。

(医学ライター 菅野 守)