栄養サプリメントは認知機能に影響せず/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2015/09/14

 

 米国立眼研究所(NEI)のEmily Y. Chew氏らは、加齢黄斑変性(AMD)を有する高齢者を対象とした試験(AREDS2)被験者について、栄養サプリメント[長鎖多価不飽和脂肪酸(LCPUFA)やルテイン/ゼアキサンチンを含む]の認知機能への効果について評価を行った。その結果、プラセボと比較してスコアの年次変化に統計的に有意な差は認められなかったことを報告した。これまで観察的研究データにおいて、食事による飽和脂肪酸の高摂取と野菜の低摂取がアルツハイマー型認知症のリスク増大と関連する可能性が示唆されており、研究グループは今回、本検討を行った。JAMA誌2015年8月25日号掲載の報告より。

LCPUFAやルテイン/ゼアキサンチンの効果を検証
 AREDS2は二重盲検無作為化試験で、米国の82の大学および地域医療センターの網膜専門医により2006年10月~2012年12月に、被験者の登録と観察が行われた。被験者は、後期AMD発症リスクを有する患者であった。

 5年にわたる試験期間中、年次ごとの眼科検診に加えて、ベースラインと2年ごとに、訓練を受けたスタッフにより電話を介して複数の認知機能テストが行われた。

 被験者は要因配置割り付けにより、LCPUFA(1g)またはルテイン(10mg)/ゼアキサンチン(2mg)を投与、もしくはプラセボを投与され、また全員にビタミンC、E、βカロチン、亜鉛のさまざまな組み合わせ投与が行われた。

 主要アウトカムは、一連の認知機能テストで確認された複合スコアの、ベースラインからの年次変化であった。ベースラインで年齢、性別、人種、高血圧の既往歴、教育レベル、認知機能スコア、うつ病スコアで補正を行い、治療群と非治療群の複合スコアの差を評価した。複合スコアは、全テストのスコアを提示したもので、範囲は-22~17であり、高スコアほど認知機能は良好であることを示した。

プラセボと比較し認知機能スコアの年次変化に有意差なし
 AREDS2被験者4,203例のうち3,741例(89%)が、付属の認知機能試験に同意し、そのうち93.6%(3,501/3,741例)が各種の認知機能テストを受けた。被験者の平均年齢(SD)は72.7(7.7)歳、57.5%が女性であった。

 結果、サプリメント投与群と非投与群でスコア変化について統計的に有意な差はみられなかった。認知機能複合スコアの年次変化は、LCPUFA投与群-0.19(99%信頼区間[CI]:-0.25~-0.13) vs.非投与群-0.18(同:-0.24~-0.12)で、年次差は-0.03(同:-0.20~0.13)であった(p=0.63)。同様の結果が、ルテイン/ゼアキサンチン投与群(-0.18、-0.24~-0.11) vs.非投与群(-0.19、-0.25~-0.13)でもみられた(年次差:0.03、99%CI:-0.14~0.19、p=0.66)。

 また、LCPUFA投与とルテイン/ゼアキサンチン投与の相互作用に関する分析でも、有意な差はみられなかった。

(武藤まき:医療ライター)