グリベンクラミド、妊娠糖尿病には注意/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2015/02/06

 

 妊娠糖尿病の短期的治療について、グリベンクラミド(商品名:オイグルコン、ダオニールほか)はインスリンおよびメトホルミン両剤よりも明らかに劣性であり、一方、メトホルミン(+必要に応じてインスリン)がインスリンよりもわずかだが良好であることが示された。スペイン・Mutua de Terrassa大学病院のMontserrat Balsells氏らが、システマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。結果を踏まえて著者は、「グリベンクラミドは、メトホルミンやインスリンが使用できるのなら妊娠糖尿病治療には用いるべきでない」と提言している。BMJ誌オンライン版2015年1月21日号掲載の報告より。

メタ解析でグリベンクラミドとインスリン、メトホルミンを比較
 妊娠糖尿病治療で使用される経口薬が増えており、ガイドラインでも使用を認めているが、安全性に関する情報は限定的である。先行研究では、経口薬に焦点を当てた無作為化試験のメタ解析が複数発表されているが、グリベンクラミドvs. インスリン、メトホルミンvs. インスリン、メトホルミンvs. グリベンクラミドなど総合的な検討は行われていなかった。

 研究グループは、それらの比較が行われていた無作為化試験での短期的アウトカムを要約することを目的に、システマティックレビューとメタ解析を行った。

 試験適格としたのは、全文を公表しており、薬物療法を必要とした妊娠糖尿病の女性を対象としている、グリベンクラミドvs. インスリン、メトホルミンvs. インスリン、メトホルミンvs. グリベンクラミドを比較検討しているすべての無作為化試験とした。

 検索は、2014年5月20日時点でMEDLINE、CENTRAL、Embaseを介して行った。

 主要評価項目は、主要アウトカム14(母体6[妊娠末期のHbA1c値、重症低血糖、子癇前症、体重増加など]、胎児8[出産児の在胎月齢、未熟児出産、出生時体重など])、副次アウトカム16(母体5、胎児11)とした。

グリベンクラミドはインスリン、メトホルミンより劣性
 検索により、15論文、被験者2,509例を解析に組み込んだ。

 グリベンクラミドvs. インスリンの主要アウトカムについて、出生時体重(平均差109g、95%信頼区間[CI]:35.9~181g、p=0.003)、巨大児(リスク比:2.62、95%CI:1.35~5.08、p=0.004)、新生児低血糖(同:2.04、1.30~3.20、p=0.002)について有意な差がみられた。

 メトホルミンvs. インスリンでは、母体の体重増加(平均差:-1.14kg、95%CI:-2.22~-0.06、p=0.04)、出産児の在胎月齢(同:-0.16週、-0.30~-0.02、p=0.03)、未熟児出産(リスク比:1.50、95%CI:1.04~2.16、p=0.03)で有意差が認められ、新生児低血糖についても差がある傾向が認められた(同:0.78、0.60~1.01、p=0.06)。

 メトホルミンvs. グリベンクラミドでは、母体の体重増加(平均差:-2.06kg、95%CI:-3.98~-0.14、p=0.04)、出生時体重(同:-209g、-314~-104、p<0.001)、巨大児(リスク比:0.33、95%CI:0.13~0.81、p=0.02)、在胎不当過大児(同:0.44、0.21~0.92、p=0.03)で有意差が認められた。

 副次アウトカムについては、メトホルミンvs. インスリンでは4つがメトホルミンで良好であり、メトホルミンvs. グリベンクラミドではメトホルミンで不良であったのは1つであった。治療不成功は、グリベンクラミドと比べてメトホルミンで高率だった。

(武藤まき:医療ライター)