白血病等へのCD19-CAR改変T細胞療法、有望/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2014/10/31

 

 再発性・難治性の急性リンパ性白血病、または非ホジキンリンパ腫の患者に対する、CD19をターゲットとするキメラ抗原受容体(CD19-CAR)改変T細胞を投与する治療法について、その実行可能性は90%、最大耐量は1×106個/kgであり、有害事象はすべて可逆的であることが明らかにされた。米国立がん研究所(NCI)のDaniel W Lee氏らが、21例の患者について行った第I相臨床試験の結果で、Lancet誌オンライン版2014年10月13日号で発表した。

1~30歳の患者21例について試験
 研究グループは、2012年7月2日~2014年6月20日にかけて、1~30歳の、再発性または難治性の急性リンパ性白血病、または非ホジキンリンパ腫の患者21例について試験を行った。全被験者に対し、フルダラビン(商品名:フルダラ)とシクロホスファミド(同:エンドキサン)の投与後、CD19-CAR改変T細胞を投与した。

 CD19-CAR改変T細胞は、自己由来T細胞を用いて11日間の工程で作成。1×106個/kg、3×106個/kg、またはそれらでは十分な細胞発現が認められない場合は、すべてのCD19-CAR改良T細胞を投与し、最大耐量を見極めた。

 用量増加フェイズの後、最大耐量を投与し追跡を続けた。

最大耐量は、1×106個/kg
 被験者21例のうち、2例は当初予定した用量のCD19-CAR改変T細胞が得られなかったが、19例が予定用量のCD19-CAR改変T細胞を投与でき、実行可能性は90%であった。

 全被験者について、その治療反応性を評価した。最大耐量は、1×106個/kgだった。

 最も重篤な有害事象は、グレード4のサイトカイン放出症候群で、3例(14%、95%信頼区間:3.0~36.3%)で発症した。毒性事象についてはすべてが完全に可逆的だった。

 最も多くみられたグレード3の非血液学的毒性は、発熱(43%、21例中9例)、低カリウム血症(43%、同9例)、発熱と好中球減少症(38%、同8例)、サイトカイン放出症候群(14%、同3例)だった。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)