登録試験の報告率、ペナルティ予告メールで1.7倍/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2014/10/10

 

 ClinicalTrials.govに登録した試験で、完了1年までに結果を同サイトで公表していなかった試験の責任者に対し、試験結果の報告に関するリマインダーを電子メールで送付したところ、6ヵ月後の同報告率が1.7倍増大した。フランス・パリ大学のAnnabel Maruani氏らが行った無作為化比較試験の結果、示された。登録試験結果の報告は低率で、試験が無駄になっている主因との認識が高まっている。米国FDAは2007年9月27日に、試験終了後1年までにベーシックな結果を報告することを指針に加え、ペナルティーが課せられる可能性も生じるようになったが、報告率は低調のままで、該当する試験の約75%が未報告の現状であるという。今回の結果を踏まえて著者は、「当局からの直接的なリマインダーが効果的のようだ」と述べている。BMJ誌オンライン版2014年9月19日号で発表した。

379試験のうち190試験に電子メールでリマインダー
 研究グループは、ClinicalTrials.govに登録され、試験終了後1年を経過してもその結果をClinicalTrials.govで公表していない379試験を対象に無作為化比較試験を行った。同グループは379試験のうち、無作為に190試験を抽出し、試験結果の報告に関するリマインダーを電子メールで送信した。

 電子メールの宛先は試験責任者の1人で、送信元は同研究グループの1人、内容は試験結果のClinicalTrials.govでの公表に関する法的義務付けと非遵守の場合の潜在的ペナルティーについてだった。

 主要評価項目は、3ヵ月後にClinicalTrials.govで結果が公表された試験の割合とした。副次評価項目は、6ヵ月後の同割合だった。

リマインダー群の6ヵ月後の報告率、1.7倍に
 その結果、3ヵ月後のClinicalTrials.govにおける公表率は、リマインダー群で19%(36件)、対照群で13%(24件)と、両群で有意差はなかった(相対リスク:1.5、95%信頼区間:0.9~2.4、p=0.096)。しかし6ヵ月後は、対照群14%(27件)に対しリマインダー群が24%(46件)と有意に高率だった(同:1.7、1.1~2.6、p=0.014)。

 また、すでに結果報告がなされているにもかかわらず試験対象に誤って含んでいた試験48件を排除して事後感度分析を行ったところ、3ヵ月後、6ヵ月後の報告率ともにリマインダー群の増大が認められた(それぞれ相対リスク:5.1[p=0.02]、4.1[p=0.001])。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)