RCTの35%が再解析で異なる結論に/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2014/09/24

 

 米国・スタンフォード大学のShanil Ebrahim氏らは、「無作為化臨床試験(RCT)のデータを再解析することは、科学界が既報の試験結果の妥当性を評価するのに役立つ可能性がある」として、RCTデータの再解析報告の現状について調べた。オリジナル試験との方法論などの違いを特徴づける検討を行った結果、現在までに発表されたRCTの再解析報告はわずかで、完全に独立した著者により実行されたものはほとんどなかった。また再解析報告のうち35%が、オリジナル試験論文と比べて、治療すべき患者のタイプや数について異なる結論がみられたという。JAMA誌2014年9月10日号掲載の報告より。

オリジナル試験論文との違いを調査
 研究グループは、RCTデータの再解析報告を特定し、オリジナル試験との方法論およびその他の違いを明らかにすること、再解析を行った著者の独立性を評価し、オリジナル論文と治療すべき患者のタイプや数について結論が変わっていないかどうかを調べた。

 2014年3月9日時点でMEDLINEにて論文を検索。論文のスクリーニングとデータの抽出は4名の研究者が独立して行った。

 主要評価項目は、治療効果の方向性および大きさ、統計的有意性、治療すべき患者のタイプまたは数についての結論についての変化だった。

35%で、オリジナル試験論文と結論が変化
 検索により、発表論文36件、再解析報告適格37件を特定した。そのうち、まったく異なる研究者により行われた再解析は5件。内訳は、公的データに基づくものが2件、求めに応じて提供されたデータに基づくものが2件、残り1件はデータの入手元が不明であった。

 再解析の大半は、統計または分析アプローチ法が異なり(18件)、アウトカムの定義または測定が異なっていた(12件)。

 方向性が変化していた再解析は4件、治療効果の大きさが変化していたのは2件であった。一方で、4件が所見の統計的有意性の変化に至っていた。

 オリジナル論文と結論が異なっていたのは13件(35%)であった。3件(8%)は、治療すべき患者が変わっており、治療すべき患者が少なくなっていたのは1件(3%)、治療すべき患者が多くなっていたのは9件(24%)であった。

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コメンテーター : 折笠 秀樹( おりがさ ひでき ) 氏

統計数理研究所 大学統計教員育成センター 特任教授

滋賀大学 データサイエンス・AIイノベーション研究推進センター 特任教授

J-CLEAR評議員