アレムツズマブ、腎移植の拒絶反応を大幅減/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2014/08/15

 

 腎移植患者に対する、リンパ球枯渇抗体アレムツズマブ(国内未承認)による導入療法は、バシリキシマブ(商品名:シムレクト)導入療法に比べ、移植後6ヵ月の急性拒絶反応発生リスクが4割近く減少することが示された。英国・オックスフォード大学のPeter Friend氏ら「3C試験」共同研究グループが報告した。結果を踏まえて著者は、「今回示された効果が、移植臓器および生存に影響をもたらすかを、長期の追跡研究で評価する必要があるだろう」と述べている。Lancet誌オンライン版2014年7月28日号掲載の報告より。

約850例を無作為化、6ヵ月後の急性拒絶反応発生率を比較
 研究グループは、2010年10月~2013年1月にかけて、英国内18ヵ所の移植センターで、24時間以内に腎移植が予定されている患者852例について試験を行った。

 被験者を無作為に2群に分け、一方(426例)にはアレムツズマブによる導入療法を、もう一方(426例)にはバシリキシマブによる導入療法を行った。被験者について、退院時と移植後1、3、6、9、12ヵ月後に評価を行った。

 主要評価項目は、6ヵ月後の生検で確認された急性拒絶反応だった。

腎不全や重度感染症発生率は両群で同等
 結果、移植6ヵ月時点の急性拒絶反応発生率は、バシリキシマブ群で16%(68例)だったのに対し、アレムツズマブ群では7%(31例)と、約6割の減少がみられた(ハザード比[HR]:0.42、95%信頼区間[CI]:0.28~0.64、log-rank検定p<0.0001)。

 なお、移植後6ヵ月時点の移植不全発生率は、バシリキシマブ群が3%(13例)に対しアレムツズマブ群4%(16例)、重度感染症発生率は32%(136例)、32%(135例)と、いずれも有意差はなかった(それぞれp=0.58、p=0.88)。

 移植後6ヵ月間の死亡率は、バシリキシマブ群1%(6例)、アレムツズマブ群3%(11例)だった(p=0.25)。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)