未破裂脳動静脈奇形の長期アウトカム、保存療法が良好/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2014/05/02

 

 未破裂脳動静脈奇形(bAVMs)に対し、血管内塞栓術や神経外科的切除などを行った場合と比べて、行わないほうが長期アウトカムは良好であることが明らかにされた。スコットランド・エディンバラ大学のRustam Al-Shahi Salman氏らが、204例について行った住民ベースの発端コホート試験の結果、報告した。これまで介入治療が保存療法よりも優れているのかについては、長期比較のデータが不足していたため判明していなかった。JAMA誌4月23・30日号掲載の報告より。

bAVMsの204例を最長12年間追跡
 研究グループは、1999~2003年または2006~2010年にbAVMsの診断を受けた、スコットランドに住む16歳以上の患者204例について、最長12年間追跡した。血管内塞栓術、神経外科的切除または定位放射線手術といった介入を行った群と、行わなかった群について、予後を比較した。

 主要アウトカムは、死亡、病的状態の持続[Oxford Handicap Score(OHS)で連続2年以上2以上]とし、副次アウトカムは非致死症候性脳卒中またはbAVMs、関連動脈瘤、介入による死亡の各発生率などであった。

4年間の主要アウトカム発生率、非介入群で介入群の0.59倍
 被験者204例中、介入を行ったのは103例だった。介入群は非介入群に比べ、年齢は低く、発作症状を呈して診察を受けた割合が多く、大きなbAVMsのある人は少ない傾向にあった。

 追跡期間の中央値は6.9年だった。当初4年間の主要アウトカム発生率は、非介入群が36件に対し、介入群が39件と、非介入群で低率だった(それぞれ、9.5/100人年、9.8/100人年)。非介入群の介入群に対する補正後ハザード比は、0.59(95%信頼区間[CI]:0.35~0.99)だった。この傾向は、それ以降も類似していた。

 また、副次アウトカムの発生件数も、非介入群14件に対し介入群38件と、非介入群で低率だった(それぞれ、1.6/100人年、3.3/100人年)。同ハザード比は、0.37(95%CI:0.19~0.72)だった。

 著者は、さらなる追跡調査を行い、この関連性が持続するかを確認する必要があると述べている。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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コメンテーター : 中川原 譲二( なかがわら じょうじ ) 氏

梅田脳・脊髄・神経クリニック 脳神経外科

J-CLEAR評議員